スティアの動きは決して速くなかった。
慌てる事も急ぐことも無く、ただ自然に歩き、しゃがむだけの動作。
それでもう、スティアの乳房は、コールのペニスの目の前に迫っていた。
このままじゃ、負ける。
避けなければ、負ける。
歯を食いしばり、足腰を踏ん張るコール。しかし、その体は微動だにしなかった。
ただ、乳房に向かって突き出されて行く腰を押し止めるのが精一杯だった。
「お兄さん、避けなくていいんですか?」
スティアが上目遣いで見上げる。
その視線に、乳房の吸引力がさらに強くなる。
じり、じり、と腰が前進をはじめた。
コールは必死の形相で、その約束された敗北に向かう死の行進を押し止めようとする。
ヤバい。
ヤバい。
ヤバい。
焦燥と絶望と屈辱に歪むコールの顔を見上げて、スティアは優しく微笑んだ。
「あは、ごめんなさい。お兄さんが可愛いから、ついついやっちゃいました」
ぺろ、と舌を出す。そして、
「だいじょうぶ。これはご褒美なんですから、これ以上ひどいことしませんよー」
コールが全身全霊をかけて抗い、引き伸ばしていた瞬間はあまりにも呆気なく訪れた。
「ふぁっ………?」
当然である。
スティアにとって、それは体力を消耗させる必要も精神を集中させる必要も無い。
ただ、胸を突き出すだけという、あまりに簡単な行為なのだから。
満身の力を込めていた腰が砕け、コールは糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちた。
乳房は、吸い付くようにその動きを追尾した。
草の上に尻をついてへたり込んだ、コールの投げ出された脚の間で、
コールのペニスはスティアの乳房に挟み込まれていた。
チンポが熔ける………
コールは呆けた表情で、あどけない少女の豊満な乳房にすっぽりと包み込まれた自分の股間を見ていた。
体にも、心にもまったく力が入らなかった。
女の象徴が、男の闘争心を完膚なきまでに破壊していた。
ただただ気持ちよく、心地よかった。
「あは… お兄さん、もうとろとろになっちゃいました?」
スティアが優しく微笑みかける。
「いーんですよ? 男として当たり前のことですから。誰もお兄さんを笑ったり責めたりしません」
少女にしてはあまりにも優しすぎる笑顔。
少女にしてはあまりにも大きすぎる乳房。
ああ……
これが、乳魔なのか。
圧倒的な乳房。
……圧倒的な母性。
「ゆっくり、楽しんでくださいね」
スティアの乳房が揺れた。
そよ風にそよぐように。
「ふぁぁ……」
コールは緩みきった息を漏らした。
弛緩しきった筋肉がわずかにその身をくねらせる。
そして怒張しきった海面体が激しく痙攣し、大量のカウパー液を溢れさせた。
「ふふっ…… 大丈夫ですよお兄さん。知ってるでしょう? おっぱいを柔らかく使う限り、男の人は絶対射精できませんから……」
急がず、焦らさず、落ち着いて間をとってから、もう一度。
スティアは乳房をそよがせた。
「安心して、いっぱい気持ちよくなってください」
抵抗などありえなかった。
乳魔の乳房に挟まれたコールは、もう首の座らぬ赤子と変わりなかった。
何度、乳房がそよいだだろうか。
コールのペニスは締まりの悪い蛇口のように先走りを溢れさせ、少女の谷間をべとべとにしていた。
しかし、無粋な粘液が少女の乳房の滑らかさを失わせることはなかった。
――奇妙である。普通なら潤滑液となった先走りがさらなる快感を呼び起こすところ。
だが、若く瑞々しい肌はまとわりつく粘液を弾き散らして、直に亀頭を愛撫し、
そして少女の乳房は、男の分泌物など汚らしいと切って捨てざるを得ないほど、あまりにもすべすべだった。
カウパー氏腺液は、男の快感コントロールのメカニズム。
快感が足りない時には、貪欲な潤滑液となってさらなる摩擦を求め、
そして快感が強すぎるときは、ペニスをコーティングして女の肌の直撃を防ぐ、男の最後の抵抗となる。
……もっとも、女体の神秘の前ではあまりにも浅はかと言うしかないようだが。
結局コールはスティアの為すがままに、力の入らない体をわずかによじるだけだった。
「……あ、お兄さん、そろそろキツくなってきました?」
乳房を揺らすだけだった少女が囁く。
その言葉に、顔に、嘲りはなかった。
優しい目でスティアは言った。
「じゃあ、そろそろ1回目、イかせてあげますね?」
その言葉に、弛緩していたコールの体に緊張が走る。
蕩けていた瞳にわずかな光が戻る。
淫魔ハンターとして受けてきた、耐え抜いてきた、過酷な訓練。
それが脊髄反射のレベルで射精を拒ませる。
「……もぉ…… 大丈夫ですよ。1回イったくらいで終わりにはしませんってば」
光の戻ったコールの目に見つめられて、スティアが苦笑する。
「だから、変なガマンなんてしなくていいんですよ?」
優しく諭されて、コールの瞳の光が和らいでいく。
しかしコールの体の緊張は消えなかった。
精一杯こわばった腰が苦しそうに慄きを繰り返す。
「ん…… そっか。うん。それでも大丈夫ですよ」
震える腰をそっとさすりながら、スティアはまた優しく笑った。
「ガマンなんて……できないようにしてあげますね」
喜びと屈辱が、コールの安らぎに満ちた心を静かに走り抜けた。
震え続ける腰を撫でながらスティアは優しい陵辱の言葉を紡ぐ。
「知ってます? 男の人が耐えられる快感って、射精程度が限界なんですよ」
それは、
「でも…… 乳魔のおっぱいは、射精なんかよりずーーーーーっと気持ちがいいんです」
今まで、必死に射精を堪える術を学んできた愚かな男を、
「だから、お兄さんがどんなにがんばっても、絶対ガマンできません。安心してくださいね♪」
遙かな高みから哀れみの視線で踏み躙る、無邪気で無慈悲な女神の陵辱。
スティアは手を下すことはなかった。
乳房に手をかけることもなく、
ただ、吹き抜けた風に煽られたかのように乳房を揺らしただけ。
それが、乳魔の言葉が絶対の真実であると、この上ない形で証明を完了した。
どぴゅっ
どぴゅう
どぴゅどぴゅっ
淫魔ハンターの誇りは、乳魔の谷間で弾け散った。
撒き散らされる誇りの残骸を、少女が優しく受け止めた。
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