地獄のような朝練が終わる。
へたばったまま授業を終えると、今度は午後の練習が始まる。
「ねぇねぇ、コウジぃ」
机に突っ伏したままのオレに、女が離しかけてきた。
名前は… なんだったけ? カズノコ天井を自慢してたことは憶えているんだが……
「今日これからヒマ?」
「んーん、部活」
オレが口を開くより早く、茜が答えた。
「ほら、コウくん、行くよ」
引きずられていくオレを、カズノコ天井が目を丸くして見送っていた。
午後の練習は、スパーリングを中心に行われる。
ベッドの上、オレの前には、蘇芳が無愛想に座っていた。
「……」
「よろしく」
「……」
右隣のベッドでは、茜と藤が、左隣のベッドでは、紫先輩と山吹が、
すでに激しく体を重ねているというのに、この女はオレに近づこうともしない。
「なぁ、BF部って中学のころからやってたの?」
にこやかに話しかけてみるが、答えない。
そのクセ、オレから視線を放そうとしない。
扱いにくいことこの上ない。どんなに美人でも絶対にコンパには呼びたくないタイプだ。
そうこうしている間に、
「うひょぉっ!!」
抜けた悲鳴が聞こえた。
声のした方を見ると、藤が茜に股間を踏みつけられて射精していた。
大の字になってぴくぴく震えながら、精液を茜の腰の高さまで打ち上げている。
「…マゾだから」
「え?」
オレがその壮絶な光景を眺めていると、ボソリ、と蘇芳がしゃべった。
「藤さん。マゾ」
振り返ったオレに見つめられた蘇芳は、それだけ言うとぷい、と横を向いてしまった。
右のベッドにもう一度目を移す。
確かに、藤の表情には、あからさまな喜悦が見て取れた。
一つ年下になるだろう茜を、薄ら笑いを浮かべながら見上げている。
マゾって、そんなヤツが試合で勝てるのか?
倒錯した光景を見ながらクビを捻っていると、
「おおっ!! さ、さすが紫くん…… あっ、あっ!!!」
実に耳障りな、野太いあえぎ声がした。
振り向くと、山吹が射精していた。
二回りも小さな紫先輩に仰向けに押さえ込まれた山吹は、キスされながらペニスをしごかれている。
そのぶっといバズーカ砲からは、バカみたいな量の精液が今も撒き散らされていた。
「……去年の全国大会、学年別個人1位。無差別個人ベスト8」
「へぇ。強いんだな」
二度目の呟きは、なんとなく予想できた。
紫先輩の白く細い指が、巨大なペニスを征服していく様を食い入るように見つめながら言葉を返す。
全国大会。
野球部で言えば甲子園。サッカー部の国立、ラグビー部の花園。
オレの認識はそんなものである。
「…金さんは、公式戦で勝ったことが無い」
「え」
「…練習試合でも」
「三年だったよな、あの人」
「…うん」
山吹の射精が終わった。ぐったりとベッドに沈んで荒い息をついている。
紫先輩は汗ひとつかいていない。優しい笑顔を浮かべながら、山吹の汗を拭いていた。
「藤は? 勝ったことあるの?」
「…無い」
「…大丈夫なのか、この部」
「…強い人は、みんな辞めちゃった」
「ああ、そうだっけ」
ここの男子部員は、みんな茜に叩きのめされて辞めていったんだった。
残ったのは、負け慣れてる男だけか。
「…だから、貴方には期待してる」
「…そりゃどうも、ありがとう」
反応が一瞬遅れた。
まさか、この女の口から、好意的な言葉が飛び出してくるとは思わなかったのだ。
「しよう」
蘇芳は振り向いたオレの目を覗き込むように近づいてくると、
そのままオレを押し倒した。
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