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月の女王 / 第4話『過去』

・・・ここは暗い所
暗い所に女が寝ている
女は黒く長い髪を広げて一人で寝ている
“一人は寂しい・・・”
女は心の中でつぶやく
“でも、もう少し。もう少しで彼が傍に来てくれる”
ようやく見つけた女と同じ能力を持つ彼
その彼の事を思うと女の表情が自然と柔らかくなる
これから女と共に永い時を過ごすべき彼との戯れを思い描き
女はようやく眠りにつく
次の満月の夜を心待ちにしながら・・・

「はぁ・・・」
俺はもう何度目かになるか分からないため息をつく
ここは闘技場の医務室
俺の前には1組の男女がベットの上で呼吸器をつけて眠っている
男は俺が知らない間に殴りたおした闘技場の元締め「ボス」
女はさっきまで犯しつくしていた女で「マーキュリー」だ
(この闘技場では自分は本名を明かす必要は無い変わりに自分を表すコードネームがあればいい
皆、主にギリシャ神話における神々の名を使用している)
トン
俺の肩にふいに手が置かれる
振り返った俺の目に映るのは美しいブロンドが目立つ混血児の美女「アテナ」
今回の1件の恩人だ
「二人とも大丈夫、直に目を覚ますわ。だから、そんな顔しない!
 そんな顔してると、もう一発抜いちゃうぞ?!」
人さび指を俺の鼻先にあて、子供に言い聞かせるように茶目っ気たっぷりに微笑みかける
その言葉にようやく俺の表情が和み始める

ガチャッ
医務室のドアが開き、1人男が入ってくる
「どうだ?」
心配そうに声を発した男は若く、逞しい
闘技場の男闘士で最強の名を持ち「アポロン」を名乗っている男だ
ギリシャ神話同様に美男子であった
同時に「マーキュリー」の実の兄でもある
「一体何があった?そろそろ教えてくれないか?」
俺とアテナに説明を求めるアポロン
「え、えっとぉ・・・」
苦笑いしながら説明に困るアテナ、困った表情も可愛い
説明も何も彼女は俺から1発抜いただけに過ぎず、説明などできるわけも無い
俺に至っては気がついたら自分の精液にまみれている始末・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3者3様の沈黙が続く
「・・・・アルテミス・・・・」
低い呟きが沈黙を破る
「ボス!!」
声の主を確認した3人が同時に叫ぶ
「おう、アテナ、世話かけたな。おかげで助かったぜ。礼に今度1晩つきあってやるぜ?」
いつの間にか呼吸器を外して上体を起こし、元気を装って明るく話しかけるボス
「アポロン、俺がついていながら妹をこんな目に合わせちまってすまねぇ・・・、許してくれ」
軽く頭を下げる
「お前・・・・・・」
ボスは俺を見ると珍しく口ごもり、俺から目を逸らす
「一昨日の晩、闘ったな?」
ボスは宙を見ながら俺に質問をする、むしろそれは質問というより確認のようでもあった
「うっ」
俺は咄嗟に言葉がでてこない
闘ったな?を示すのは「月の女王」以外考えられない
“何故ボスが知っている?”
死闘禁止令を破っている俺は目が宙を泳ぐ
「やっぱりか・・・・」
ため息交じりにボスは昔を思い出すようにゆっくりと語りだした
「俺の現役時代、闘技場で“アルテミス”と呼ばれていた女がいた・・・」

「勝者、アルテミス!!」
大歓声の中、闘技場内にアナウンスが響き渡り、女が歓声に応え、笑顔で両手を振る
“くそぅっ!”
敗れた男がベットの上で大の字に倒れ、両手でシーツを掴み悔しがっている
アルテミスと呼ばれた女は男を見下ろし、ふっと笑う
「また私の勝ちね、負けてばかりじゃいつまでたっても私をモノにできないわよ?」
男をからかう女の目は笑っている
“彼との闘いは本当に楽しい・・・、闘いの最中でも彼の思いがドンドン伝わってくる
 だから私は全力で闘う、彼の思いを受け止めているからこそ・・・・”
“でも・・・、次こそは私を負かして欲しいな”
自分の考えに顔を赤らめ、アルテミスはベットに男を残し、逃げるように控え室へ去っていく
その表情は恋する乙女のようでもあった
一方、敗れた男は控え室に戻ると長椅子に座りうな垂れていた
1人の女が背後に立ち、後ろからそっと男を抱きしめる
「また負けてしまったのね・・・可哀想」
「触るな、ヴィクトリア」
「ねぇ、あたしにしておきなよ、あたしが全部忘れさせてあげる・・・・」
女は甘い声をだしつつ、自慢の柔らかい巨乳を男に押し付け、耳へ熱い吐息を吹きかける
やがて女の手は男の胸部をなでながらゆっくりと下へ降りてゆく
男の下半身を覆う邪魔なタオルを取り除き、男のモノを触る
1戦交えた後のしなびたモノを弄びながら女は1つの提案を持ちかける
「ねぇ、あんたさ、あの女に勝ったらさ、あの女モノにできるんだったよねぇ・・・」
「だから、何だ」
男はモノを弄ぶ女を手を掴み、女の方すら見ずにそっけなく答える
「ならさ、あたしと同じ条件で勝負しない?」
「?」
顔をしかめる男
「ふふふ、だからさ、あたしがあんたに勝ったらあんたはあたしの男になる
 あんたが勝てば、あたしはあんたを諦めるって事さ、どう?」
・・・・・・・・・・
男はしばらく考える
男はアルテミスを愛している、おそらくアルテミスも・・・・
しかし、ヴィクトリアは男に執着し、二人の仲を裂くのに躍起だ
“そろそろ、こいつともケリをつけるか・・・?”
思案をめぐらせた結果
「いいだろう、次の試合でお前との対戦カードを組もう」
「ふふ、約束よ・・・、でも勝負は今から始まるのよ?」
そういうとヴィクトリアは男から離れて前に回る
「何?」
男の不意をつき、ヴィクトリアはしゃがみ、目線で男のモノを捉える
「あたしは今すぐにお前が欲しいの、我慢できないの。だからすぐにお前を逝かせてあげるわ」
口調も態度も戦闘モードに変わったヴィクトリアはいきなり男のモノを巨乳で挟み、巨乳ごと揉みしだくように刺激を与え始める
彼女の一番の得意技であるパイズリだ
「おぉ・・」
一気にたぎる男のモノ
「どう?、あたしの乳に挟まれて起たない男はいないのよ」
自信満面に上目遣いで男をみるヴィクトリア
「ぐっ・・・」
高ぶる自分を抑えようとする男
それを逃がさずに追い討ちをかけるべく激しく揉みしだき男を感じさせる
ヴィクトリアはモノを挟みながら口でモノを咥えて更に男を感じさせる
男のモノからは粘液がにじみ出てヴィクトリアの涎と混じりローションの役割を果たす
スベリがよくなった男のモノとヴィクトリアの巨乳はくちゃくちゃといやらしい音を鳴らし始め、彼女は視覚、触覚、聴覚で男を攻める
自慢の胸で十分に攻めたヴィクトリアは立ち上がり、俺に跨って狙いを定め、一気に腰を落とす
ジュブ
対面座位で強制挿入され、向かい合ったヴィクトリアがゆっくりと腰を前後に動かす
初めて味わうヴィクトリアの狭い膣に男のモノはドクンと反応する
反応を膣で感じたヴォクトリアはせせら笑う
「分かるかしら?今お前は私の体で感じているのよ!愛しいあの女でなく、私のこの体で!」
ずり、ずり、ずり、ずり、ずり、ずり
ヴィクトリア巨乳を揺らしながらどんどんとスピードを上げて男のモノを擦り上げる
「く、くっそぅ・・・」
男は目を瞑り刺激に耐える
「さぁ、目を開けて私を見なさい!」
命じられるまま男はつい、ヴィクトリアを見てしまう
「お前を感じさせているのは、このいやらしい体、思い描きなさい、お前を擦り上げている私の中を、そしてもっと感じるのよ」
そう言いながら巨乳を揺らし、自らの指を唇に絡めるように舐め、いやらしい表情で男を見つめて腰を振る彼女
そのいやらしさに男は嘗め回すような視線でヴィクトリアの体を見つめてしまう
男の興奮度が一気に高まる
「ふふふ、もう出したくなったんじゃない?はやく出して私のモノになりたくなったのね・・・
 そうなればこのいやらしい体は全部、お・ま・え・のモノよ・・・」
ヴィクトリアは言葉で男の心を揺さぶりだす
・・・コノカラダガホシイ・・・
欲望の渦が男の心を支配し始める
「いつでも、どこでもこの体を好きにできるのよ?私の唇、胸、お尻、ふともも、そして、もう一人の私、最高でしょ?
 私もお前の全てが欲しいのよ、欲しくてアソコが疼くのよ、だから早く出して、私の中を熱いもので満たして」
ヴィクトリアの体と言葉に反応し、男が狂ったように反撃を開始する
男はヴィクトリアの両足を両肘で抱えるように立ち上がり自らの腰を激しく彼女へ打ち付ける
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
男の激しさにヴィクトリアの頭が前後に激しく揺れる
「す、すごい!あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
予想外に激しさにヴィクトリアは意識が飛びそうになる
意識が飛びそうになる寸前に目の端であるものを捉えた瞬間、気を持ち直し、今までの態度を一変させる

「もう駄目ぇぇぇ!お願い、きてぇぇぇぇぇぇぇ」
いきなりヴィクトリアは男にしがみ付き、自らの唇で男の口を塞ぎ、積極的に腰を振る
「?!」
男はヴィクトリアの突然の豹変と行動に驚く
「い、い、いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう」
男の口から唇を離した彼女は天を見上げて大きく叫び、力をなくしたように男にもたれかかる
見た限りではヴィクトリアは完全に逝ってしまったように見える
逝ってしまったと思われる衝撃で膣内に痙攣のような振動が走る
「うぉぉぉぉ?!」
ドク、ドク、ドク、ドク
気が揺るいでいた男のモノは振動による刺激によりヴィクトリアの中に精を放ってしてしまう
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
彼女の両手で顔を挟まれた状態で正面で見つめあう男とヴィクトリア
「愛してるわ、あなた・・・」
謎の言葉を残したまま最後に男の唇に唇を押し当てて彼女は気を失う
合点がいかないままヴィクトリアを椅子に寝かせた男はそのままモノを引き抜く
男はその時初めて自分が見られている事を感じて、視線の方向を見る
「ア、・・・・」
男は言葉を発する事ができない
そこには男の様子を見に来たアルテミスが呆然と男とヴィクトリアの痴態を眺めていた
“何で、何であの二人が・・・”
両手を胸の前で組んだまま小さく震えながら後ずさる彼女
“そっか、私、振られてたんだ・・・、馬鹿みたい!”
彼女は男を正視できずにそのまま走り出す
男が見たアルテミス横顔にはキラリと光るものがみえた
光が雫となり、床へ落ちてゆく・・・・
男もアルテミスを追いかけるべく全裸のまま走り出した

「ふ、ふ、ふ、ふふふふふふふ あーはっはっはっはっはっははぁー」
二人が走り出した後、一人控え室に残された彼女は大声で笑いはじめた
全てがヴィクトリアの思い描いた通りに進んでいた
“これであの二人はお終い、あの男はあたしのモノになる”
そう思い、彼女はうれしさのあまりいつまでも笑い続けた・・・・・


続く
毎度長い文章にお付き合いくださいましてありがとうございます。
登場人物を増やすとどうしても名前が必要になるので
仕方なく名前をつけました(趣味の名前でごめんなさい)
ちなみに次も過去編にします

では、また・・・

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