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柔らかな、月明かりの下で。−第2話−

エルの舌は、口から首、鎖骨、そして乳首へと向かっていく。
僕の体には、まるで蛞蝓が這ったような唾液の道が刻み込まれていく。
その部分だけがひんやりとして、どこか気持ちよかった。

エルの押さえ込みは完璧だった。
僕の乳首を口に含もうと、自分の状態を少しずつ下に下ろしていく。
それでも、巧みな体捌きで僕の上半身にかかる体重は少しも減らない。
更に、あの魔性のキスで僕の体はまだ甘く痺れたままだった。
そんな僕に、エルの体を押し返すことなど出来るはずがなかった。

「んんっ・・・・・・んっ・・・ちゅっ・・・・・・」
エルは僕の左胸を口に含み、舐め回し始めた。
乳首の周りをくるくると舐めて乳首を勃起させようとしてくる。
エルの口の中は、火傷しそうなほどに熱い。

「ああっ・・・・・・ふうぅ・・・」
だめだと分かっていても、声を出すのを止められなかった。
声を出すことで快感を逃がさないと、すぐにでも乳首が立ってしまいそうだった。

それでも、乳首の辺りが次第にじんじんと痺れてくる。
軽く勃起した乳首の根元をぐりぐりされると、自然に甘い声が漏れた。
僕の乳首はエルの舌にあっさりと陥落し、ぷっくりと反り立ってしまった。

「兄さん・・・乳首、立ったよ・・・・・・気持ちいいんだね・・・」
ちろちろと擽るような動きからぺろぺろと舐めるような動きに変化した。

しかし、それは乳首に触れるか触れないかの微妙な距離。
強く、それでいて微弱な快感は、的確に僕を追い詰めていく。
乳首は完全に勃起してしまい、舌が当たる度に甘い疼きがそこから流れ込んでくる。
疼きの奔流は下腹部へと流れ込み、ぐるぐると渦を巻き始める。
体中の血が熱く滾り、全身から汗が滲み出てくる。

「はああああぁ・・・・・・」
だがそれとは逆に、体の力はゆっくり、ゆっくり抜けていく。
自分の熱で、体が溶け出していきそうな感覚。
それでもエルの熱い口内に捉えられた左胸は、頑なに存在を主張してくる。

送り込まれる快感だけが、どんどん鮮明になっていく。
体の感覚はどんどん希薄になっていく。
頭の中もどんどんぼやっとしていく。
このまま、僕の体は溶け出して――――

・・・・・・・・・かりっ。

「・・・・・・!!」
突然の、乳首への甘噛み。
溶け出していた体の感覚が、一気に戻ってきた。
それと同時に体全体を貫くような刺激電流が走り抜ける。

ねっとりとした刺激に慣れてしまったところへの、鋭い刺激。
殆ど堕ちてしまっていた僕を責めるかのように、何度も甘噛みが繰り返される。

「うあっ、ああっ、ひいっ」
乳首をかぷかぷと歯で挟まれる度に、びりびりと体が震えてしまう。
ペニスもそれに合わせてぴくん、ぴくんと動き始める。

頭の中が白く塗りつぶされていくような感覚。
僕はその感覚に、無意識の内に体を仰け反らせて抗っていた。

しかしその結果、無防備な乳首がエルの前に曝け出されてしまった。
エルは僕をしっかり抱いて固定すると、更に乳首を責め続けてきた。

優しく愛撫されたかと思うと、突然何度も甘噛みされる。
甘噛みされたかと思うと、今度は優しく舐めしゃぶられる。

頭の中が溶け出していく。
頭の中が染められていく。
頭の中が溶け出していく。
頭の中が染められていく。
頭の中が溶け出していく。
頭の中が染められていく。
溶け出して、染められて、溶け出して、染められて、溶け出して、溶け出して、染められて――

僕という存在そのものが、真っ白に溶けだしていく。


「んっ・・・ちゅっ・・・・・・くすっ・・・兄さん、気持ちよさそう・・・」
長い間しゃぶられていた乳首は、すっかりふやけてしまっていた。
エルの口から開放されると、うっすらと湯気が立ち上っていく。

「ああ、ぁ・・・・・・」
心地よい疲れが全身を支配していた。
心地よい痺れが脳内を狂わせていた。

意識は靄がかかったようにぼんやりと揺らいでいる。
左胸から送り込まれてくる、包み込むように温かな快感。
その温かさがゆっくりと体中に浸透していく。
その柔らかな感覚に、僕はどこか安心感を覚えてしまった。

目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
口はだらしなく開き、端から涎が一筋垂れている。
でも、それらは本当に些細なことだった。
エルが絶え間なく送り込んでくれる、この甘い甘い快楽の前には。

僕は、エルが思ったとおりに感じ、喘がされた。
エルは、キスと乳首だけで僕の精神を殆ど支配してしまった。
まるで、快楽という糸に縛られた操り人形のように。
僕はひたすら惨めなダンスを踊らされていた。


「くすっ・・・そろそろ、こっちもしてあげるね・・・・・・」
エルは左胸を口に含んだまま、右胸を指先で弄ってきた。
右の乳首は、左胸への愛撫だけでもうびんびんだった。
胸全体を軽く揉むと、人差し指で乳首をくりくりと転がしてくる。
「はあっ・・・・・・ふうううっ・・・・・・・・・」
たったそれだけの行為。
しかし、その行為から生み出される快楽電流が僕を焦がした。
乳首を一度転がされる度に、睾丸の中の精子がざわざわと蠢く。

「ふふっ・・・・・・もうすっかり敏感だね、兄さん」
エルが僕の左胸から口を離した。
胸と口との間には一本の唾液の橋が出来ている。
それが重力に従って僕の胸に落ちると、ひんやりとした快感が襲いかかった。

「それじゃあ・・・こっちも・・・・・・」
エルは僕を焦らすようにゆっくりと、左胸に口を近づけていく。
その間もくりくりと乳首を弄んで、決して僕が快楽から解放されることを許さない。
エルの吐息が左胸に降り注ぎ、だんだんそれが近づいてくる。
「ふふっ・・・あ〜ん・・・・・・」
エルが僕の左胸を飲み込もうと、大きく口を開いた瞬間――

エルに、初めて隙が生まれた。


「おおおおおおおおおっ!!!」
僕は、状況を頭で理解するより先に動いていた。
僕は咆哮とともに、エルの体を思いっきり押しのけて立ち上がった。

エルの体重が左側に傾き、押さえ込みのバランスが崩れたのだった。
その瞬間を、僕の奥底に眠っていた理性は見逃さなかった。
エルは完全に油断していたのか、驚くほどあっさりと跳ね飛ばされた。

僕はエルを押しのけた方とは反対の方向へと、距離をとった。
とにかく今は、体中が敏感になってしまっている。
このような時は無理に深追いをせず、一端逃げるのが得策だ。
それに、さっき押し倒された時のような技は、一回見せてしまうともう使えない。
だから少し時間をおけば、少し僕に有利な状態で試合を再開できる、そう考えたのだ。

しかし、その僕の思惑は見事に外れてしまった。
そこに転がっているはずのエルの姿が見当たらないのだ。
飛びのいた方向が間違っていたのか?
それは・・・・・・ありえないはずだ。
・・・じゃあ、エルは一体どこに――

僕がそう考えて、辺りを見回そうとした瞬間――
「・・・つかまえた、兄さん」
突然エルに後ろから抱きつかれた。
そしてすぐさま、両手を前に回してくる。

「ひああっ!?」
竿には一切触れずに、たまだけを揉みしだかれる。
左手は下から掬い上げるようにマッサージし、
右手は指だけで睾丸を握り、こりこりと揉みこんでくる。
時には玉を優しく握って、微妙な振動を送り込んでくる。
更には片手で玉袋を鷲掴みにし、こねくりまわされる。

「あっ、あっ・・・はあっ!!」
急遽始まった直接的な責めに、僕はなす術もなく嬌声をあげさせられてしまう。
それに加えて、密着しているエルの体の感触が更に僕を高めていく。
僕のペニスが一層大きく膨張し、先からは我慢汁が滲み出してきた。

「兄さん・・・いくら勝負中とはいっても、おんなのこに乱暴はだめ」
不意に耳元から声がした。
同時に何か花のような芳香が漂い、僕はそれに一瞬恍惚としてしまった。
その隙にエルの両手が玉を離れ、肉棒に添えられる。

「・・・・・・・・・・・・おしおき」
僕の包皮が一気に根元までずり下ろされた。
「ああっ!!ひいいいん!!」
突然のぴりっとした快感に、僕は即座に現実へと引き戻された。
僕の亀頭はすでに真っ赤に腫れ上がり、我慢汁でべとべとになっていた。
 この作品は全体的にスローテンポで進みます。今回でやっと前戯が終わり、次回からは本格的にイかせにかかる予定です。
 意見、感想、要望等があれば遠慮なく仰って下さい。

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