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最終試験

淫魔ハンターは皆の正義のヒーロー、
小さい頃よく両親にこう言われて育った。

僕の名前はスン、今は淫魔ハンター試験を受けてる最中。
一日目は筆記試験、2日目は身体検査、そして昨日からが実技試験。
ぶっちゃけ最初の2日はどうでもよかった。淫魔ハンターに必要なのは
強い精神力と淫魔を圧倒する性技、薬の知識なんて些細な事だし、僕は
いたって健康だ。

昨日の試験はよく出来た。耐久力とテク二ックを測る試験で、試験官の
愛撫に制限時間耐え切り、試験官を制限時間内に逝かせた。どちらかを
失敗した時点で不合格だった。問題は今日、同じ受験生同士の
真剣バトルファックで合否のほとんどが決まる。昨日の試験で約半数が
落ちた。残る半数は皆つわものぞろいだ。だけど今まで支えてきてくれた
家族や親類の期待に答えるためにも僕は負けるわけにはいかないんだ。

試験会場は僕の町の養成所で、ここに近くの養成所の人が集っていた。
勝てば合格、負ければ不合格、頼れるのは己の実力のみ。
淫魔ハンターになれば負けは死を意味する。これくらいの試練を
乗り越えられない人間には淫魔ハンターは務まらないのだろう。
今日はさすがに緊張がスゴイ。指定された部屋に向かいながら
心臓が強く動悸し平常が保てなくなりそうだった。

・・・・・・ドクン・・・・・ドクン・・・・ドクン・・・・・・・・

部屋に向かいながらすれ違う人だれもが緊張した顔つきだ。女とすれ違うと
皆いい匂いを残していく。女は自分の魅力を最大限に引き出し男の劣情を
引き出すのが作戦だ。さながらファッションショーのような女の格好に
目を惹かれ、少しでも欲情したらその時点で前哨戦に負けている。
淫魔に有効かどうかは知らないが、今日の相手は人間の男なのだからその作戦も有効だ。

・・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・・ドクン・ドクン・

緊張が高まりすぎて頭がふらふらしてくる。追い討ちをかけるように女の
香水の匂いが次々に僕を取り囲んでいく。
「あっ・・・・・」
すれ違う何人目かの女のミニスカートに気をとられて思わず
立ち止まってしまった。フフッと鼻で笑う声がすれ違いざまに聞こえてきた。
馬鹿、反応するな!欲情した印をはっきりとアソコは示してしまっていた。
やばい・・・緊張は性感を高めるだけだ・・何とかしないと・・・
このままじゃ・・・・・・女に負ける・・・・・

家族の顔を思い出し・・・父親に母に姉・・・
ポケットを探りお守りを取り出す。
それを見ているといつものようにすーっと緊張がとけていく・・・
大丈夫・・・僕は・・・守られている・・負けるはず・・無い!
心臓は凪のように穏やかになり、アソコは嘘のように静まった。
よし、これなら戦える!相手がどんな強敵であろうと倒して淫魔ハンターになる。

試験部屋は何度か使ったことのある部屋で、確か小さなベッドに二人がけの
テーブルと椅子がおいてあるだけのシンプルな部屋のはずだ。
もうすっかり緊張がとけた僕はゆっくりと扉をあける。

相手は行儀よく椅子に腰掛け僕を待っていた。
「お手柔らかに」ペコリとこれも行儀よく頭を下げてくる。
「あ・・・こちらこそ」気づくと僕も頭を下げていた。
相手をよく観察するのがバトルの始まりだというのに調子の狂う相手だ。
「スンさんですね?私はハルといいます」
優しそうな口元、涼しい瞳、理知的な鼻、色白、ロングヘア・・・・
胸は普通・・背も普通くらいか・・・・
雰囲気に隙がない・・声にも余裕がある・・・かなりの実力者かも・・・

「見定めは終わりましたか?」
余裕たっぷりといった感じで聞いてくるが、その目はしっかりと僕を観察している。
抜け目ない性格、バトルの相手としては最も嫌なタイプだ。こちらも余裕を見せてやる。
「ああ・・たいしたことない相手みたいで良かった・・・」
ハッタリでも構わない、相手が呑まれればもうけもの位のつもりで言ってみる。
「あら・・・私もそう思っていたところなんです・・奇遇ですね・・ふふ」
余裕のある笑みを浮かべながら軽くいなされた。
一筋縄ではいきそうもない相手だ・・・

「試験の開始はチャイムがなってからですよ。そんなに怖い顔
してないで腰掛たらどうですか?」
そうだ・・・まだバトルは始まってないんだった。確かに立っていても
疲れるだけだ、ここはひとまず腰掛けて相手の観察を続けよう。
「昨日の試験はどうでした?」
椅子を引きながらかるく揺さぶりをかけてみる。
「ええ・・・もう・・・大変でした」
言葉とは裏腹に余裕の表情を崩さない。かなりしたたかだ。

テーブルに腰掛けてからあることに気づかされた。
テーブルの真ん中がガラス張り
になっていて、そこからハルのミニスカートから伸びる
脚がよく見えてしまうのだ。
くそ・・どいつもこいつも衣装の力を借りやがって、
悪態をついてみても視線が
脚から離れない。ハルは「フッ」と軽い嘲笑を浴びせ、こちらを見据える。
・・・ドクン・・
・・緊張が戻ってくる。すれ違った女の笑いとハルの笑いがだぶり、
身体が同じ反応をしてしまう。
ドクン・ドクン・ドク・ドク・・
女の全裸なんてもう飽きるほど見てきたというのに、腰をお飾り程度に布で
覆うだけで何故こんなにも興奮させられるのだ・・
もう抑えるすべは無い・・完全に勃起してしまった。

「あらあらスンさん、どうしたんですか」
脚を組み替えながら余裕の表情を崩さずハルが問い詰める。
ハルからはこっちのペニスが丸見えなのだ、隠しようがない。
此処にいる女全員の作戦に敗れてしまった男の一人になった
屈辱をかみ締めながらハルを睨む。
「これからアンタを犯せると思うと嬉しくてね」
緊張を相手への闘争心に昇華させようと敢えて強気に出る。
緊張と弱気をさらけ出してしまうことだけは避けなければならない。
相手を勢いづけ、こちらが気後れしてしまったら、同じ実力同士でも
まったく歯がたたなくなる。

「私も明日から淫魔ハンターになれると思うと嬉しくて」
もう一度脚を組み替えながら神経を逆なですることを言う。
冗談じゃない、淫魔ハンターになるのはこっちだ、
無言で睨みながらハルを制そうとする。

「あなたで人間の男の相手は最後です、ですから私の持てる
全ての力で叩きのめしてあげますね」
顔つきが少しまじめになり、声にもかすかに高まりが見える。
これがハルの本心か・・上等だ・・
「こっちも人間の女の相手はアンタでおしまいだ」
だが三度目のハッタリにもハルは余裕のある笑みをなんとか保ち、
もうお前の強がりは十分と言わんばかりの鼻笑いを投げかける。
・・お互い臨戦態勢だ・・・あと3分ほどでチャイムが鳴る・・

お互い相手の目を見ながら時間が過ぎていく。僕はハルに強い
敵愾心を燃やそうとしている。女は一瞬で変化する生き物だ。
可憐な少女から妖婦へと、瞳の色一つで変化してしまう。
男はそれに惑わされ、女に敗れる。養成所で痛いほど思い知らされ
たことだ。だから、相手を憎むことが一番効果的な精神作用だ。
幸い先ほどの舌戦で憎む材料にはこと欠かない。ハルを斃していく
イメージが次々に浮かんでいく、上手く敵愾心が出てきた。

僕はもうハルを見るのをやめ、壁に掛かった時計をじっと見ていた。
あと数十分後には、僕は淫魔ハンターになっている。家に帰ったらまず
家族と祝福をし、それから親類の家を回り、街の淫魔ハンター登録所に行き、
軽い仕事を引き受け、それを皮切りに徐々にランクを上げていき、
大淫魔クラスの敵を倒し、ゆくゆくは街の英雄・・・
成功していく自分のイメージが心身を充実させていく。
今はもう望ましい心理状態だ、勝てる、自身が沸いてきた。

「ちょっと失礼・・」
ビクッ!・・アソコに加わるはずの無い快感が・・・
見るとハルはテーブルの下から脚を伸ばしアソコを踏んづけてきていた。
白くしなやかな足、靴はもう脱いでいた。アクセルを踏み込むように
足裏で刺激してこられた。
明らかに規則に反している、何のつもりだ。
「お前・・・・ルール違反だぞ!」
「ええ・・知っていますよ。ただあなたがあんまりにも気分良さそうなので
これはまずいなと思いまして」
「馬鹿か!早く止めろ!さもないと本部にいいつけるぞ!」
ハルの嘲笑が再び始まった。
「いいつけてもらってもいいですよ。それであなたは晴れて淫魔ハンターに
なれる。言うことなしですね・・フフフ」
くそ・・ふざけやがって。
「本当に言うぞ、もう止めろ!」

「なんて言うつもりですか?私のミニスカートを覗いて興奮して
いたところに脚で刺激され不利な状況に追い込まれました。
ずるいです、失格にしてください、とでも言うんですかね。」
く・・確かに本部に伝えればこっちが相手の脚に欲情していたことを
言わなければならない。これから淫魔ハンターになろうという男が
ミニスカートなんていう通俗的なものに興奮していたと知られたらどんな
目で見られるか・・・そもそも最終試験を戦わずして淫魔ハンターに
なったところで周りの人間は認めてはくれないだろう。
あいつはバトルが始まる前に女の脚にいいように弄ばれて
それで淫魔ハンターになれたんだ、こんなことを言われたら・・・

「もう一度失礼・・・・」
今度は両足のつま先で擦るような動きにしてきた。すりすりっとズボンの擦れる音が
生じて、それにあわせてまたあの鼻笑いが聞こえてきた。
あっ・・声を漏らさないように歯を食いしばる。
もうあと30秒でチャイムは鳴る、それまで耐えれば・・・耐えろ・・耐えろ・・
「またまた失礼・・」
そう言うとハルは今度は十本の足指を器用に動かしあっという間にチャックを下ろし、
アソコを捕まえて外に出してしまった。この間わずか10秒たらず・・
ハルの余りにも器用な脚さばきに完全に勃起したペニスがもう攻撃にさらされる
位置にこさせられた。ヤバイ、想定外すぎる・・

「あと20秒・・」
僕とハルは同時に同じことを呟いていた。
「頑張ってくださいね?」
「はう!」
気づくとハルはがに股になり両足の土踏まずでしっかりと僕のペニスを
はさみこみ、そのまま上下運動を開始した。これは・・足コキか・・
養成所の授業で一応耐える訓練をしたが実践でこんな技を受けたことは無い。
足コキを繰り出す体勢はバトルの流れの中では生じ難い体勢なのだ。
そもそも足なんかが武器になるものか、養成所の男は皆そう思っている。
僕も訓練で耐えている時は殆ど感じず、足コキなど恐れるに足りないと
思っていた。今だってこんなの・・・・
「おっ!・・アッ!・・・」
気持ちいい・・・ハルは足コキが得意なのか・・・
土踏まずですり潰すローラーのような感触と、つま先で亀頭を
コチョコチョとする毛筆のような感触とが未知の快感をもたらしてくる。

「あと十秒・・・フフ」
ジュルジュルと我慢汁の纏わりつく音が響き始める・・・
嘘だ!なぜもうこんなに感じているんだ!・・・・だが・・・
思い返してみれば僕はもう長い間ハルや廊下ですれ違った女に興奮
させられていたのだ。試験への高揚感がそれに気づかせてくれなかった
のか・・くそ・・落ち着いていた気分でいたが自分の状態をまるで理解
していなかったのか・・。

よ・・よし、チャイムと同時に立ち上がりハルに襲い掛かろう。
ハルは今不自然な格好だ、突然の押さえ込みに耐えられまい。
かなり不利な状況に追い込まれてはいるが・・まだ闘争心と
敵愾心だけはメラメラと燃えている。卑怯な手段を使ってくる
相手にも正々堂々戦い勝つのが淫魔ハンターだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おかしい!チャイムが・・鳴らない・・・?
グチュグチュと卑猥な音だけが室内に響き渡る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「な・・なんで・・・」
絶望的な気分になり思わず心の声がでてしまった。血の気がひいていき
身体が冷たくなっていく・・ハルの足にはさまれシゴかれているペニスだけが僕の
身体の中で熱くなっていた。
「あ・・・あ・・・・」
なんで・・なんで・・なんで・・・なんで鳴らないんだよ・・・
「はあ・・・はあ・・・うあ・・・・・・はあ・・」
はやく・・はやく・はやく・・はやく・・・はやく・・鳴ってよ・・・
ようやくハルのほうを見ると鈍感な男を見くだす目つきでこちらを見ていた。
・・・・もしかして・・
「お・・おま・・え・・時計・・・を・・」
ニコっと妖婦の笑みを浮かべるハル。
より深い絶望感に突き落とされていく、全部ハルの計算どおり。
ニコニコとしながら激しくシゴきたてる。

でも・・まだ・・耐えられる。このくらいの刺激は許容範囲だ。
それにもうこの責めに耐える必要もない。
一旦逃れ回復する時間は十分にあるはずだ。

バッと勢いよく椅子を後ろへ弾き立ち上がりかけた瞬間、「今だ!」掛け声と共に
ハルの足がペニスから離れ僕の足首当たりを思い切り刈った。「ウオ!」
あまりの急さに反応できず僕は面白いほど無防備に後ろへ倒れさせられた。
ガツンと鈍い音が頭に響き鈍器でなぐられたような痛みが広がる・・
頭を椅子のカドに強く打ち付けてしまった!
身体の末端神経が途切れてしまったかの
ような感覚になり、まな板の上の魚みたいにピクピクと震えた。

「大変・・・・・」
ハルの不安げな声が聞こえてきた。
ハルはテーブルの下をもぞもぞと潜り抜け僕に覆いかぶさってきたが、僕は
払いのけることも出来なかった。

「ごめんなさい、こんなに上手くいくとは思わなくて・・・・」
僕の顔のすぐ近くでハルが謝ってくる・・・上手くいくって・・・
僕が頭を打ったことか・・それともさっきまでの一連の流れのことか・・
「時計は5分だけ早めていたんです」
・・・・・キーンコーンカーンコーン・・・・・・
もう・・身体が動かない・・・でも・・さすがにここまで
やられたら・・本部に言いつけてやらなきゃ・・気がすまない・・

ハルは愛おしそうにぎゅ〜っと僕を抱きしめて耳元で囁きはじめた。
(本当にゴメンなさい、もう私の負けでいいです。まさかこんなことに
なるなんて)
「・・・・・・・・・・・・・・」口が開かない。
(私どうしても淫魔ハンターにならなくちゃいけない理由があったんです。)
ハルは涙目になっている。真剣な表情だ。
(私もうこれで淫魔ハンター試験を受けるの3回目なんです。最終試験まで
始めて残れたんです。でも対戦相手のあなたのことを調べたらこの養成所で
12位の人だったので・・私なんかじゃとても勝てる可能性が
なかったから・・強がったりしてたのも全部演技だったんです・・・
少しでも勝てるようにって作戦を練ってきてたんです・・)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」なるほど・・
(私の住んでいた村は淫魔に滅ぼされてしまったんです。
私は偶然街に出かけていて助かったんです・・
ロール村って知ってます・・?私あの村の只一人の生き残りなんです・・)

ロール村・・・聞いたことがあった。
僕の街の近隣の村で険しい山々に囲まれた村だ、
いや、村だった。5年前にこの周辺にかつて無
いほどの淫魔の集団が近づいてきて
いたことがあった。街には結界が張られて村の人間は皆街へ避難した。
ただ、ロール村へだけは誰も伝えにいかなかった
・・皆途中の山で淫魔の集団に襲われることを恐れたのだ。
ちょうど淫魔ハンターの数も少ない時だった。
結果ロール村は全滅。ロール村のことは自分達の
やましさを思い出させるので誰も口にせず、いつしか初めから無かったことになっていた。

(私は村に帰ってから気が狂いそうになりました。このお守り見てください・・
これは父が母からもらったものでこれをいつも父は首にかけていたんです。
このお守りがなかったらどれが父の遺体かも分からないほど干からびた姿に
なっていたんです。)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(私は来る日も来る日も皆のお墓を掘りました。
村の皆が知り合いの小さな村だったんです。朝も夜も穴を掘り続けて、
途中から遺体が腐っていくのが分かっていたのに・・
穴を掘ること以外できませんでした。村の人みんなの
穴を掘り終えた時にはもう雪が降る季節になっていました・・
ちょうど村が襲われた日村の入り口の銀杏の木が満開だったのを
よく覚えてるの・・・私は自分もミイラみたいな
身体になりながら街へ降りていった・・)

ここで彼女の表情が険しくなっていった。
(私は街の人にロール村のことを話そうとしたけど誰も
話を聞いてくれなかった・・みんな私がロール村の生き残りだと言うとまるで化け物でも見たような顔で逃げていったの。何十人目かのおばあちゃんだけが私の話を最後まで聞いてくれたわ・・・おばあちゃんは話を聞き終えると涙を流しながら私に全部話して聞かせてくれた。
私は人間嫌いになった。それ以上に淫魔も憎んだ。おばあちゃんは私に部屋と職をくれた。私はお金を貯め、隣街の養成所に入った・・淫魔に復讐するために・・)

僕は気がつくと涙を流していた。そんなことって・・・ハルにこんな
深い過去があったなんて・・
僕も街の人間だ、ハルにこんな悲しい思いをさせてしまった責任は僕にも
あった。罪悪感からハルを見ることが出来なかった。目を逸らすと窓の外から
銀杏の木が満開なのが見えた。涙が止まらなく溢れてくる・・・

(スンさんは優しいんですね。涙まで流してもらって、でももういいんです。
こんな卑怯な手を使ってまで淫魔ハンターになったところで村のみんなは喜ばないだろうし、私には才能があまりないこともよく分かっているんです。だからもう辞めにします。
最後にスンさんに話を聞いてもらってなんだかもう未練がなくなりました。
私これから本部に言ってきますね。スンさんの実力は皆知っていますから不戦勝でも誰も文句なんて言いませんよ)

ハルは言い終えると僕に軽い口付けをして、ニコっと憂いを帯びた笑みを
浮かべた。胸が高まっていく・・心臓の鼓動が激しく聞こえてくる・・
さっきまでの緊張とは違う心臓の鼓動・・・僕は・・ハルに心を奪われた・・

「い・・・いかなくて・・・いい・・・このまま・・・・
しょ・・・しょうぶだ・・・・」
僕はかろうじて口だけ動かした。もう今年はいい、
また来年受ければ。今年は彼女に淫魔ハンターの
栄誉を譲ろう。それが街の人間の
せめてもの罪滅ぼしであり僕個人が望むことだ・・・

僕は必死の思いで腕を動かすとハルの胸をなんとか掴み、
そのまま揉んだ。「バトルだ・・・僕の意志だ・・勝負だ・・」
自分に言い聞かせるように言いながら
指先に神経を集中させてぎこちなく動かす。
ハルは自分に抱かれピクピクと震えながらもバトルを
しようとする僕を優しく見つめてくれた。僕は心が満たされていくの
を感じた・・・さあ・・・勝負だ・・・

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
ハルは何度もこう口にしながら僕のペニスをシゴいていく。
ハルの手はペニスに触れても暖かさを感じさせた。ぼくはその両手に
包み込まれ、今までのどんな手コキよりも感じていた。
「いいんだ・・・僕がこう・・したい・・んだ・・」
謝るのは僕たち街の人間のほうだ・・
「私なんて全然淫魔ハンターに向かないのに・・・本当にごめんなさい・・」
もう手も動かせない・・勝負に負ける・・・淫魔ハンターにはなれない・・・
「君は・・勘違いしてる・・・今の手コキも・・さっきの足コキも・・
凄く気持ちいいよ・・才能あるよ・・・」
嘘じゃなかった・・手コキにはハルの愛情も感じたからなおさらだ・・
ハルに少し笑顔が見られた。その笑顔で僕はもうメロメロになる。
「僕が逝けば君が淫魔ハンターだ・・頑張って・・・君が・・好きだ・・・」
「ありがとう・・・私も・・・あなたのこと・・・好きかも・・」
照れ笑いも可愛い・・・これを合図に射精感が一気に高められ、
両手に包み込まれたペニスが温もりで感じてしまう。
ハルの憂いの瞳が僕と合わさった瞬間、逝く前兆を感じた。
抑えきれない精液がもう少しで溢れてくる。
ハルと僕はまるで恋人のように見つめあいながら心を通わせた。
幸せだ・・・僕は精神的充足を感じた。
ハルは手を動かすのをやめ、ぴったりとペニスに添えたまま僕の思いに答える
ように瞳を覗き込んでくる。(ありがとう、私も幸せよ)
そう言っている気がした。ビクビクとペニスが痙攣し始め、
逝くのが確定した。これから精を吐き出すまでの時間、
男が一番気持ちいい時だ。ハルは勢いよくシゴき、
僕はその気持ちよさの中で、ハルの瞳の色が一瞬で変化したのに
気づかなかった。頭が真っ白になる中で懐かしい鼻笑いと共に
信じられない言葉が聞こえてきた。「早く逝っちゃえ、ばーか」

・・・・・どぴゅどぴゅうびゅびゅう・・・・・・

「あははは、出てる、出てる。逝ったね?私に逝かされたね?
これ勝負なんだよね?あんたの意志なんだよね?やった、私淫魔ハンター。
あんた馬鹿じゃないの?ロール村の生き残りなんているはずないじゃん。
全部とっさの作り話なの。君が好きだとか、僕がこうしたいんだとか、
もうお願い笑わせないでって感じ。
まあこんなお人よしのお馬鹿さんじゃ淫魔に騙されて殺されるのが
目に見えているから不合格がピッタシだよね。じゃあね、おまぬけさん」

ハルは僕を振り返らず部屋から消えていった。
僕は人生で一番悔しい涙を流しながら自分に何が足りないのか教えられた気がした。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                           
「あっダーリン、受かったよー」
「凄いなあ、どうやって勝ったんだ、相手は強かったんだろ?」
「えへへへ、ひ・み・つ。それより早くエッチしようよ。
ハルもう我慢できないの」
「エッチしてきたばっかりじゃないのか?」
「う〜ん、弱すぎたからエッチになんなかった」

おしまい
エロくないです。マゾ専用です。

女の子の鼻笑いっていいですよね・・・・
フッとかされるともう・・・・

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