城を出てすぐのことだった
「ねぇ・・・・もう休もうよぉ・・・・」
「まだ城を出たばかりですが?」
「でも、疲れちゃったんだもん」
「・・・・・・・へたれ・・・・・」
「ん?何か言った?」
「いいえ。それでは、城下町を出て少し行った所に国最大の商業地があります。そこで、宿を取りましょう」
「へぇ〜〜〜そんなとこあるんだぁ」
「はぁ・・・・それでは、早く行きましょう」
城を出てからずっと後ろに三人の気配を感じながら、その気配から着かず離れずの距離で歩を進める。
「あぁ〜〜〜〜!!もう歩けないよぉ!!ねぇ、火鉢おぶって」
あともう少しで街に着くかという所で殿下がねをあげる。
「あともう少しですから・・・・・」
「もう少しなら、おぶって」
「仕方ありませんね・・・・」
しょうがなくおぶる。
後ろの三人がまだ着いてきているのを、確認して街に向かう。
国最大の商業地、この街で手に入らないものは無いとまで言われている。
その街で一番の宿を取る。
何も言わずとも、殿下の顔をみるや一番いい部屋を用意される。
「あのさぁ、こういう旅の時ってさ、ぼろ宿とかに泊まるものじゃないの?」
「はぁ・・・・殿下は体力だけでなく知力も無いと・・・・」
「なぁっ!!」
「何を見たのか知りませんが、ぼろ宿でへたれの殿下が素直に休むとは思えませんし、この旅で殿下の命を狙うものが必ず現れます。その際に、ぼろ宿などより確実に警備がしっかりされているでしょう。もう一つ、殿下の命を狙うものが取る方法、恐らくは呪精の呪いでしょう。私のようなくの一相手では一瞬と持ちますまい、くれぐれもお気を付けを」
下手に快楽を覚えられて自慰などされては本末転倒だ。
「うん、わかった・・・・」
「それでは、さっさとお風呂にでも入ってしまいましょう」
流石に一緒に入るわけにもいかないので、それぞれ風呂場に向かう。
女湯は露天になっているらしく、外へ出た時・・・・
「これは・・・・血の臭い・・・・・!?」
急ぎ外へ出て血の臭いのする方へ向かうと、三人の侍の死体が目に入る。
「これは・・・・」
と、急に分銅が襲う。
「っちぃ・・・・」
それを避けて、飛んできた方を向くと、そこには派手な化粧をして鎖鎌を手に持った男がいた。
「弱い、弱い、よぉぉぉぉわぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!おんなぁ・・・・・お前はちったぁ・・・・楽しませてくれんだろぉ!?」
叫びながら鎖を振るう。闇に紛れて分銅が襲う。
それを後ろに飛びのき避けながらくないを投げつける。
あっさり、鎌に弾かれ地面に落ちる。
「おい・・・・おい、おいおいおいおいおいおいおいおいっ!!がっかりさせんじゃねぇぞこらぁぁぁぁぁ!!犯して殺して、もっかい犯して殺すぞうぉい!!」
怒りに震え叫びながら鎖を振るう。縦横無尽に、正確無比に迫る分銅、
その分銅をひたすらに避け続ける。
その内に攻撃に違和感を感じる。
追い詰めると言うよりは、追い払う・・・・何かから自分を遠ざけるような・・・
「くそっ・・・・・!!!」
姿勢を低くして、地面に敷き詰められた小石を手一杯に掴み、投げつける。
それを鎖で、防がれる。その一瞬、相手の脇をすり抜け殿下の下へ向かう。
「なぁぁぁぁぁ!!てめぇ、こらぁぁぁぁ逃げてんじゃねぇぞ」
追いかけてくるのを確認して振り返る。
「お前を生かすと思っているのか?」
振り返りざまにくないを投げつける。
走り出すと同時に投げつけられたくない・・・・その体勢からでは鎖鎌は自由には扱えない・・・・額に突き刺さるくない、
刺さったまま暫く止まらず走り続け崩れ落ちる。
その様子には一瞥もくれず、殿下の下へ駆け出す。
服を脱ぎ湯桶を前にして悩んでいた。
「じぃもいないのにどうやって身体洗えばいいんだろ?」
風呂場の空気は冷たく、寒い・・・・
「うぅ・・・寒いな・・・・もういいや、はいろ・・・」
と、不意に甘い香りが鼻腔を擽る。
「なんなら私が洗ってあげよっか?ぼ・う・や」
振り向くと身体を隠すのがやっと位の布を纏った女性が立っていた。
急に音もなく目の前に近付く、
鼻腔に甘い香りが広がる。
頭の中がぼーっとする。
冷たい風呂場の床に押し倒される。
「うふっ、たーっぷり気持ちよくなってねぇ」
「いや・・・あの・・・・ちょっと・・・・・」
静止にも構わず、股間に手を添え性器を掴む。
「すーっぐいかせてあげるからねぇ〜〜〜〜」
意思とは別に、血が集まる。
「あ・・・・あの・・・イクって?」
「頭が真っ白になって、すっごく気持ちよくてねドピュー・ドピュ・ドピュ!って、せーえき一杯出るの」
いいながらも手は巧みに動き続ける。
「うっ・・・うぁ・・・・それって、つまりは・・・・」
「射精するって事」
「ちょ・・・・やめ・・・・やめてくだ・・・うあぁぁ」
快感の波には逆らえず、情けのない声が出る。
「ふぁーへ、ひっはひへぇーへひはひへほはふはは」
性器を口に含まれる。
「うっうあ・・・・それ・・・・あ・・・うぁ・・・・」
舐められ、擦られ、吸われ、
どんどん意識が遠のいていく・・・・鼻腔一杯に甘い香りが広がる。
「あっ・・・うあっ・・・あぁぁぁぁ!!!」
頭が真っ白になり、凄まじい快感が襲う。
「ん・・・・んん・・・・ん・・・・あははっ・・・おいしぃ・・・・・」
起き上がろうにも、脱力感と甘い香りにより起き上がれない。
「それじゃ、殿下の初物いただきぃ〜〜〜!!」
女が上に跨り腰を落とそうとした時、視界が反転し頭が真っ暗になる。
胸に黒い模様が浮かび上がる。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
体を燃えるような苦痛が襲う。
「ちょ・・・・な、なによ・・・・・?」
苦痛と模様はすぐ消えてしまう。
「これが・・・・呪精の呪い・・・・・?」
「しっ!!!」
跨ったまま呆然とする女の頭が蹴りつけられ吹き飛ばされる。
「あがっ!!!」
「大丈夫ですか殿下っ!!!」
おぼろげな意識の中最後に火鉢の顔が見えて、意識を失う。
「いきなり人の頭蹴りつけるなんて、さいてーだわ・・・」
瓦礫の中女が立ち上がる。
「黙れ外道・・・・楽に死ねると思うなよ」
燃えるような赤髪とは対照的に敵を見る眼は凍えるように冷たい。
「っていうかあいつ・・・・ほんっと役にたたねぇ!!!あいつ死んだ?」
「生きてると?」
質問に質問で返す、
「あぁ〜〜〜〜死にやがった・・・・・まぁいいわ、ばぁ〜〜〜い」
「逃がすか・・・!!」
後ろに飛び上がると夜空に女の姿は消え去る。
「っく・・・・・殿下・・・・」
恐らくは一度はイカされただろう・・・・・不甲斐ない・・・・
気を失った殿下を背負い部屋へと戻った。
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