1976

呪精殿下 第1話 呪精


一人の将軍がいた。
その将軍は、戦乱の中にあった国々を戦い抜き勝利し、治めた。
そして、平静の時代が訪れ将軍は一人の子を授かった。
それは、元気な男の子で、その名を「天(あまつ)」と名付けられた。
国中が世継ぎの誕生と盛り上がった。

しかし、ある者の手により幸せは理不尽にも奪い去られる。

戦により敗れ去った「月羽(つきは)家」の末裔、月下姫が生まれたばかりの天殿下に呪いをかけた。

「その者一度の射精のごとに魂が欠け、十度の射精の後にその魂失われん」

さらに、殿下が呪いをうけた数日後、将軍は事故に遭い死亡する。
よって、正式な跡継ぎは呪いをうけた天殿下一人となった。



月日は流れ、天殿下が元服を迎えた日の夜、
天殿下は母に自身にかけられた呪いについて聞かされる。

「それは・・・・本当ですか母上」
「信じがたいかも知れぬが、本当のことです」
母上は、真っ直ぐにこちらを見たまま告げる。
「このままでは、貴方の代でこの国は滅びましょう」
「しかし、どうすることにも・・・・・」
「どうすることにも出来ないこともありません。呪いを解けばよいのです」
僕の言葉を遮る様に母上が言葉を発する。
「火鉢」
「ここに・・・・」
母上が告げると同時に後ろから声が聞こえる。
振り返るとそこには、燃えるような紅い髪の女の人が座っていた。
燃えるような髪とは対照的な冷たい目と、体の線がはっきりとわかる服に、
申し訳程度の鎧がついていた。
そして、そのあまりの美貌に僕は声も出せずにただ唾を飲むだけだった。
「火鉢よ貴方はこれより、天の供として一緒に阿門法師の許へと向かってもらいます。恐らくは、刺客が送られてくる事でしょう。頼みましたよ」
「御意に」
「その人のところまで行けば・・・・・呪いは解けるのですね」
「阿門ならば・・・・可能でしょう。気をつけて参るのですよ」
「はいっ!!」
こうして、天と火鉢の旅は始まった。



その光景を見つめる一匹の鴉羽が月光に照らされ飛び立った。
「天殿下はとうとう呪いを解きに阿門の許へと向かったか・・・・。月刃衆」
玉座に座る女の呼びかけに応じて、暗闇の中、十の影が浮かび上がる。
七人の女と三人の男の影、
「天の後を追い、阿門の許へたどり着く前に・・・・・・殺せ」
声も出さずに、頷き影は散っていった。
「わらわの呪いの前に朽ち果てるがいいわ・・・・」
月明かりに照らされて、再び鴉羽が闇夜に舞う・・・・・
プロローグ的な感じで、
まだBF展開にはなってませんしエロくもありません。
すいません。
次回からはBF的な展開が出来ると思います。
指摘・感想あればお願いします。

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