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柔らかな、月明かりの下で。−第1話−

ゆっくりと、階段を一歩一歩踏みしめて、僕は妹の部屋を目指す。
深夜1時。近所の人たちはもう寝てしまっている時間。
僕は、僕を待っているはずの妹の部屋へ、静かに、ゆっくりと、歩んでいく。

妹とBFを始めたのはいつのことだっただろうか。
あれは確か、そう、2年前。妹が戦士養成学校に入学した、その日の夜だった。
僕たちは、二人きりで妹の入学を祝い、そして――初めて戦った。

結果は、僕の圧勝だった。
当時の妹は、確かに入学試験を優秀な成績で突破するほどの実力を持っていた。
しかし、その学校で1年間研鑽を積んだ生徒を倒すには、まだ力不足だった。
妹は、悔しくて、泣いて、泣いて、泣いて――そして、修行に打ち込んだ。
絶対に僕を倒してやると、そう僕に言い放って。

その日から、僕たちは時間があれば戦っている。
時間は、邪魔が入らない深夜に。
場所は、最初に僕たちが戦った妹の部屋で。
それが二人の間の暗黙の了解だった。

――こん、こん、こん、こん。
妹の部屋の扉を4回ノックする。これも僕が妹の部屋を訪れる時の決まりだった。
返事はない。これもいつも通りだ。
僕はドアノブに手をかけると、ゆっくりと扉を開いた。

部屋の中は、月明かりで満ちていた。
その柔らかな光に身を委ねるようにして、一人の少女が佇んでいた。

流れるような、整った長い髪。
パッチリとして、愛らしい目。
触れば、跳ね返されてしまいそうな、弾力がある唇。
小ぶりながら、肉付きのよい胸。
柔らかにくびれを描く、細い腰。
吸い付かれてしまいそうな、ふくよかな太もも。

その体は月明かりに濡れて、幻想的な淫靡さを醸し出していた。
この少女が、現在2年生主席にして僕の妹――エル・スェイムだ。
彼女は血のにじむような努力をして、あっという間に主席にまで上りつめた。
その結果、僕に負けた頃に比べて、エルの実力は大幅に上がっていた。
そう、それは――――僕を追い越してしまうほどに。

僕はゆっくりと、その世界に足を踏み入れた。
それと同時に、エルの双眸が僕の姿を捉え、彼女はにっこりと微笑んだ。

「いらっしゃい、兄さん」

エルはそれだけ言うと、後ろを向いてベッドの方に歩き始めた。
僕も無言でそれに続く。
戦いを始める前は余計なことをしゃべらない――
これも、僕たちの間にいつの間にか出来た習慣だった。

エルの部屋の隅には、大きなベッドが一つある。
僕たちはいつもそこで試合をする。
エルは、その大きなベッドにゆっくりと上がっていった。
ぎしり、とスプリングの軋む音が部屋の静寂を破壊した。
しかし、その音はまるで存在していなかったかのように、周囲に溶けて、消えていった。

僕は脱いだ服を丁寧に畳んで床に置くと、エルの後に続いてベッドに上がった。
そして、僕は今日もエルと対峙する。
月明かりに濡れた、この空間で。

「では・・・準備はいいですね、兄さん」

エルの言葉に、僕は無言でうなずく。

「では・・・始めましょう」

その言葉と同時に、エルを取り巻く、辺りの空気が変わった。
少なくとも僕にはそう思えた。
エルは構えを取るのでもなく、そこにただじっと立っている。
けれどもその両目は、僕の些細な動きも見逃さないように、じっと僕を捕らえている。
僕は、一見隙だらけのエルに向かっていくことはしなかった。
なぜなら、エルはカウンターがとても上手だからだ。

隙だらけだと思って向かっていったところを、綺麗に迎撃する。
何が起こったのか分からない内に、主導権を取られて射精されられてしまう。
これが、エルの一番得意な手法だった。

しばらくの間、僕たちはにらみ合っていた。
絶対に、僕のほうからエルに向かっていってはならない。
意気地なしと言われるかもしれないが、それが僕がエルに勝てる唯一の方法だった。

「・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ・・・・・・」

溜め息を一つついて、エルは僕の方に歩み寄ってきた。
緊張感が嫌でも高まる。
あと3m・・・2m・・・・・・

突然エルの動きが素早くなった。
僕の目の前に走りよって来ると、素早く後ろに回りこんで僕を抱きかかえようとしてきた。

「あまいっ!」
しかし、僕のほうもその動きは予想していた。
素早く反転して、エルの体を正面から抱きしめる。
そのまま体重をかけてエルの体を一気に押し倒し――

「あまいのは・・・兄さんですよ」

突然僕の視界がぐるりと回転した。
エルは、僕が後ろを向いた時の回転力を利用して、更に半回転。
気がついたときには、もう僕の体はエルに押さえ込まれていた。

「うあっ!!」
そして、それと同時に、エルの柔らかな肢体が僕の体に押し付けられた。
そのまま少しこすり付けられるだけで、僕の体にはじわじわと火照っていく。

「兄さん・・・・・・かわいい・・・んっ・・・・・・」
「ん〜〜っ!!」
そのまま流れるような動きで、キス。
僕は、咄嗟に唇を閉じて舌を入れられないようにした。
しかし、それでも唇の感覚だけで下半身に血液がどんどん流れ込んでいく。

エルは、僕の閉じた唇を舌でちょん、ちょんとつついて催促してくる。
だが、この舌を口の中に迎え入れてしまえば、散々に蹂躙されてしまうだろう。
僕は唇をきつく閉じて、この体勢から脱出するチャンスを待った。

エルは僕がどうしても口を開かないのを感じ取ると、今度は唇をぺろぺろと舐めてきた。
その優しい刺激に、思わず口の力が緩みそうになる。
その瞬間を狙って、エルは舌を差し込んできた。
何とか力を入れなおして、エルの舌の侵入を防ぐ。
すると、またエルは唇をぺろぺろと舐めてくる。

そんな攻防がどれほど続いただろうか。
エルは決して僕の唇を離してくれなかった。
唇どうしが紡ぎあう、ちゅっ、ちゅっ、という音がただ室内に響き渡る。

「兄さん・・・そろそろ・・・・・・」
そう言って、エルは再び唇を重ねてくる。
もう僕の唇は、エルの唾液でべっとりと濡れていた。
僕も、エルのキスに対抗しようと唇を閉じようとするが――

その時、エルの細い指が僕のわき腹を撫でてきた。

「ひあっ!」

予想していなかった刺激に、僕は短い悲鳴を上げてしまった。
エルはにっこりと微笑むと、僅かに開いた口に舌を差し込んできた。
「――――――――!!」
次の瞬間、エルの舌は僕の口の中を蹂躙し始めていた。
歯の根元をねっとりと這い回り、僕の舌には激しいスキンシップを要求してくる。
そして、絶えず僕の口には唾液が送り込まれてきた。
僕とは温度が違うその液体は、どこか官能的で、甘い味と匂いがした。

エルの巧みな舌技に、僕の理性は少しずつ侵食されていっていた。
股間のものは痛いほどに腫れ上がり、先端からはとろとろと汁が溢れ始めていた。
僕は、エルが送り込んでくる快感の荒波に耐えようと、必死で抵抗するが――

「んっ・・・・・・ちゅっ・・・んふ・・・・・・」
エルの圧倒的な技術力の前には、そんなものは無いにも等しかった。

エルは一通り僕の口内を舐め終わると、今度は僕の舌を自分の口に招き入れた。
しかし、エルの口の中でも僕の舌に自由は無かった。
ねっとりと舌を這わされ、優しく甘噛みされ、激しく吸引されて――
僕の舌はエルの口の中で、めちゃくちゃに犯された。

「・・・・・・・・・ちゅぱっ・・・」
僕の舌を十分に味わい尽くすと、ようやくエルは僕の口を開放してくれた。
しかし、まだ僕の口はじんじんと疼き、体には力が入らなくなってしまっていた。
心の内側から溶かしていくような、魔性のキス。

エルの舌は僕の口を離れ、首へ、鎖骨へ、そして乳首へと向かっていく。
しかし僕は、エルのその小さな体を押し返すことが出来ないでいた。
 久しぶりの投稿となります。幻螺旋です。少しずつ書いていた作品が一区切りまで書けたので投稿してみました。妖精物語とは趣向を変えて、こっちは「じんわりとしたエロス」を目指した作品です。まったりと書き進めていくつもりなので、お付き合いいただければ幸いです。
 妖精物語の方は、一気に書き上げなければ書けないのですが、最近リアルの方が忙しくなってきたので少し休筆中です。また、忙しさが緩和されたら書き始める予定なので、済みませんが気長にお待ちください。
 以上、長文失礼しました。

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