むせ返るような甘い香り。
汗の混じった、アイナの髪の匂い。
俺はベッドに四つんばいになったアイナを後ろから抱きしめ、そのうなじに顔をうずめて口付けながら、限界までいきり起ったペニスでアイナのなかを掻き回していた。
パンパンパンパンパンパンパンパン!
小さいが意外と肉付きの豊かなヒップが、俺の下腹で弾ける。
俺は荒い息をつきながら、汗をアイナの背にしたたらせ、無数の襞を蠢かせつつペニスにぴったりと貼りつく粘膜の感覚に耐えながら、アイナの小さな身体を渾身の力で突き荒らす。
「はぁっ! はぁっ! ど、どうだっ!!」
「んー」
アイナはいつもの調子で俺に応えた。
「リッちゃんに力まかせに突きまくられるのって大好きなんだよ? 大好きなんだけど……」
「き、効かねーのかよ」
目がくらむ思いだった。自分では技巧を尽くしたつもりの愛撫を、力任せと表現されては。
「ならっ、これでっ! ……どっ、どうだっ!!」
「あっ! ダメダメっ!」
俺はアイナの揺れるおっぱいを後ろから掬い上げた。
「うはっ……!」
どくっ! どくん! どぴゅどぴゅっ!!
指先に乳房の弾力が弾け、てのひらをとがった感触がくすぐると、俺はたまらず射精に突入していた。
「あっ! あっ! ……あ……」
「もー、だからダメだって言ったのに」
アイナは膣圧をゆるやかに落とした。
危うく失神を免れた俺は、アイナに覆いかぶさってゼェゼェと荒い息をつく。
アイナは俺をそっとベッドに仰向けに横たえた。
「もう限界みたいだね。今日はこれでおしまいにしよ?」
「ちくしょー……」
俺の頬を撫でる優しい手つきに、俺はたまらず弱音を吐いた。
「全然歯が立たねー…… 何がいけないんだ?」
「うーん」
アイナは困ったような顔をした。
「へこんだりしねーよ。遠慮なく言ってくれ。じゃないとユリアに勝てねーだろ」
俺がそう言うと、アイナは歯切れ悪く語りだした。
「リッちゃんの体力と運動神経は凄いよ? 筋力もスタミナも精密動作性も反射神経も、私はもちろん、ユリアちゃんだって全然かなわないくらい」
「それなのに、何でこうもボッコボコにヤられちまうのかって聞いてんだよ」
俺が少し不機嫌そうに言うと、アイナは慌ててまくし立てた。
「あのねっ! リッちゃんの愛撫って、微妙にポイントがずれてるの」
「ポイントがずれてる?」
「うん。一番感じる性感帯とその責め方って、その時その時で微妙に変わるでしょ? リッちゃんは、そこを外してるの」
「それって、どうすりゃいいんだよ?」
「うーん、基本的な性感帯の責め方は、学科で習った解剖学的な知識があればそれでいいんだけど…… それ以上を目指すんだったら、大事なのは感度かな」
「感度?」
「うん。相手が今責めて欲しいところ、責めて欲しくないところをね、肌と肌を触れ合わせて直に感じるの」
「そんなことができるのか?」
「うちのクラスだと、できるのは私とユリアちゃん、後はエミリーちゃんとクリスさんぐらいかな」
「……でも、感度が良いと、相手の愛撫で感じちまって不利なんじゃねーのか?」
「それは気合で我慢するんだよ。我慢して相手のこと気持ちよくしてあげてたら、すぐに攻撃がへろへろになってくるから……」
「あー、さっきの俺みたいにな……」
「うん、それが二つ目……リッちゃんって、痛いのには強いのに、気持ちいいのには弱いよね」
「く……」
「だっ、大丈夫だよ! だんだん我慢強くなって来てるし、攻め方だってじっくりばっちり教えてあげるから!」
「……あと3日でか?」
「うっ……」
アイナは一瞬口ごもると、
「ほら、もうこんな時間だしご飯にしよ? リッちゃんいっぱい出したからおなかすいてるよね? 美味しいのいっぱい作るから、気分転換にそのへん散歩でもしてて!」
服をあわただしく掴んで、台所に逃げていった。
「…………」
俺はのろのろと服を纏って、言われたとおり夕暮れの町を散歩に出た。
特訓が始まって3日。俺は、まだユリアに勝算を見出すどころか、アイナに勝つことはおろかただ一度イかせることさえできていなかった。
「それで、こーして落ち込んでるわけですねー」
「うるせーよ」
そのサイドポニーの少女はいつも通り、俺をみかけるとしっぽを振って近づいて来て、図々しくも俺の腕にしがみつき、さらにぺちゃくちゃとうるさくさえずり回り、気がつくと俺の愚痴に合いの手を入れていた。
「でも、だいじょーぶ! 問題無しですよー」
そのちょうど俺の視線と同じ高さに頭の天辺がある少女は、俺の肩をばしばし叩きながら、けらけら笑って言った。
「アイナさんが先に卒業しちゃっても、来年は私が同じクラスでめんどー見てあげますからー」
「てめっ!」
俺はその小生意気な少女の額をこづく。
「あぐっ!?」
頑丈なおでこに合わせてやや力をこめてやると、その会ってからずっとしゃべり続けていた少女はようやく静かになった。
「……おし、壊れた蓄音機を直すにはやっぱこれだな」
「しつれーな。大体、センパイみたいなびんぼーにんが持ってるんですか、あんな高いもの」
「もう一回直してやろうか?」
「心の底から謝りますので、それで済まなかったら警察を呼んでください」
その挑発的に丸く張り出した胸を持つ少女は、ベンチに手をついてくりくりと額を擦りつけたので、ようやく俺の腕はその双球の谷間から開放された。
「とにかく、おめーと同級生にはならねーよ」
「えー、退学しちゃうんですかー」
「勝つんだよ!」
頭を上げたと思ったら、ろくなことを言わない。
「……センパイっ、いけませんよ現実逃避は。私に生きる道を教えてくれたあの日のセンパイはどこへ行っちゃったんですか」
ごすっ!
自分でもやや手加減に失敗したと思う。
その俺と浅からぬ因縁を持つ少女は、うずくまって動かなくなった。
「だってぇ……」
と、思ったら、もう復活してきた。
少し慰めてやろうと思ったのに、こういうところは要領の悪いヤツだ。
「センパイ? わたしとユリアさん、どっちが強いと思います?」
「そりゃ……ユリアだろ」
「むぅ、残念ながら正解です。では質問その2」
指が二本、ビッとピースサインのように俺の目の前に突き出された。
そして、その性悪な少女はにまーと笑う。
「わたしとセンパイとぉ……どっちが強いですかぁ?」
「ぐっ……」
「ねーえ……答えてくださいよぉ……ほらほらぁ……♪」
身体をくねらせ、胸を揺らして、器用に下から俺を見下ろす。
ラフに着崩したブラウスの隙間から、艶やかな稜線が危うげにちらついた。
「俺の方が強いに決まってるだろ!」
「えー」
その小麦色の肌の少女は不服そうに唇をとがらせた。
「なんでー!? この前バトったらわたしが勝ったじゃないですかー」
「あ、アレはちょっと油断しただけだろ! その前は俺が勝ったぞ?」
「あぅっ…… アレは、その、センパイのプライドを慮って花を持たせて上げたんじゃないですか? 何せそのさらに前と、さらにさらにその前と、わたしが2連勝しちゃってましたもんっ!」
「うっ…… あ、あの時はちょっと調子が悪かっただけだ! その前は俺が勝っただろ! お前俺のチ○ポをマ○コにぶちこまれたままケツに指入れられて、白目剥いて潮吹いちまっただろうが!」
「その前はわたしが勝ちました。ちんぐり返しに持ち込まれたセンパイはどーすることもできないまま、空っぽになるまでせーえきを飲まれ続けたのです」
「その前は俺が勝った!」
「その前とその前はわたしが勝ちましたよう!」
「うーっ!」
「ふーっ!」
睨み合う、俺とそのツリ目の少女。
「むー、そこでセンパイが、『コレットの方が俺なんかよりずっと強いよ』って言ってくれたら、『じゃあ、わたしより弱いセンパイと私より強いユリアさんとどっちが強いですか?』ってゆー見事な三段論法でセンパイを現実に引き戻してあげられたのに!」
「誰が現実逃避してるんだ誰が! ちゃんと勝つために特訓だってしてるんだ!」
「その特訓の成果が上がらなくて、アイナさんに八つ当たりして飛び出して来た挙句、わたしになぐさめてもらってるんじゃないですかぁ」
「ぐぐっ……」
なんでこんなヤツに、ぺらぺらと自分の弱みを語ってしまったのか。
「と、ゆーわけでセンパイ」
その俺との言い争いで一度も負けたことの無い少女は、勝ち誇った顔でにぱっと笑った。
「来月からわたしと楽しいスクールライフを送りましょーね♪」
「送るかっ!」
「えー、退学しちゃうんですかー」
「話を戻すんじゃねー! 勝つんだよ!」
「ですからセンパイ。そーゆーことはせめてわたしより強くなってから言いましょーよ」
「……どーやら、まずお前の認識を根本から改めてやらなきゃならんよーだな」
「そーみたいですねー。カラダで教えて上げる必要がありますねー」
その俺より2つ年下で1つ後輩の少女は、俺のガンにも全くひるまず含み笑いを返して来た。
「そこの芝生の茂みがちょうどよさそうだな」
「いいんですか? ギャラリーが来たら情けないとこ見られちゃいますよ?」
「心配いらねー。すぐに終わるさ」
「わたしが本気を出したらそーなりますね。あいにくたっぷり遊ばせていただくつもりでいますが」
「そりゃ残念だったな。アイナが夕飯作って待ってるんでね。冷めないうちに帰る」
「あら、じゃー足腰立たなくならない程度に手加減してあげちゃいましょう。わたしってばなんて先輩思いのかわいー後輩なのかしら」
それ以上、小生意気な口を利けないように、
俺はそのコレットと言う名の少女にキスをした。
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