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『第55期対淫魔戦士養成学校卒業検定・首席卒業者の顛末』・中編の3

 「ど、ど、ど、ど、ど……」


 それは、3年間1度も見たこと無い光景だった。いつもは鋭く細められた目をいっぱい
に見開いたユリアは、慌てた手つきで乱れた髪を撫でつけ、はだけた稽古着の胸元を合わ
せ、袴の埃をぱたぱたとはたいて、大きく深呼吸した。
 その間数秒、息を吐き終わったユリアは、いつものクールな美少女だった。


 「どうしてあなたがここにいらっしゃるのですか」


 「どうして、って……」


 ユリアの態度の変わりように、二の句が継げなかった。そもそも、俺自身だってどうし
てここに来てしまったのか分からないのだが。


 「いや、お前こそ……」


 かろうじて、口から出た言葉はそれだけだった。


 「わたくしは自分の家の庭にいるだけなのですけれど」


 「え?」


 その返答は俺の混乱をさらに深めるものだった。


 「……本当に、アイナさん以外の女性のことには興味がないのですね」


 ユリアはため息とともにそう言い捨てると、


 「わたくしの父はこの街の剣術道場で師範を努めていますの」


 と、言った。


 「……え!?」


 俺の混乱は頂点に達した。


 「だって、お前、俺が道場にいた時……」
 「ええ、お会いしませんでした。父がどうしても娘相手には教鞭が鈍ると言うので、隣
街の道場に預けられていましたから」


 言われてみれば、師匠からそんな話を聞いたような気がする。


 「剣の道を極めることを断念して、帰ってきたのが3年前のことです。あなたと入れ違
いですね」


 まさか、ユリアが師匠の娘だったとは。混乱は収まったものの、俺はまだ言葉を告ぐこ
とができずに呆然としていた。


 「父から聞いていませんの? わたくしのこと」


 呆然としている俺に、ユリアはゆっくりと歩み寄ってきた。


 「わたくしはあなたのことを、父から何度も聞かされましたけど」


 その白い頬は薄紅色に色づいたままなのに、視線は氷のようだった。


 「会いに来るたび、帰省するたび、ワシの跡を任せられるヤツはあいつしかいないと、
それはそれは嬉しそうに……」


 そして視線の冷ややかさと裏腹に、声には火のような熱が篭っていた。耳から熱を吹き
込まれたように、俺の体からどっと汗が溢れ出した。


 「それで、リッツさんはどうしてうちの修行場にいらっしゃるのです?」


 だが次の瞬間には、またユリアはクールな美少女の顔に戻っていて、何事もなかったか
のようにそう言った。


 「剣の修行をなさりにいらしたようには見えませんけど」


 すっ……と白く細長い指先が、俺の纏っているシーツをなぞった。その瞬間、俺は自分
がクラスメートの女の子の前でどんな格好をしているかに気がついた。


 「いやっ、こ、これは……」


 シーツだけの姿どころか、何度も全裸を見られているのだが、いや全裸の何倍も恥ずか
しい姿だって見られているのだが(女の子に舌を尻の穴にねじ込まれて、泣きながら射精
している姿とか)、やはりTPOが合わないと別種の恥ずかしさがある。
 さっきから動揺しっぱなしの俺に、ユリアはまたため息をついた。ため息が首筋にかか
る。恥ずかしさとその吐息に、俺の体はかぁっと熱くなった。


 「アイナさんの匂いがします」


 ユリアは俺の胸に顔を埋めるようにして言った。
俺の体の熱さが一瞬で引く台詞だった。


 「大方、アイナさんと対練して、こっ酷く叩きのめされた挙句泣きながら逃げ出して来
た、といったところですか」


 「っ!」


 全くの正解だった。俺は返事はおろかうなづくことさえできず、声にならない呻き声を
上げてその言葉を肯定してしまうしかなかった。


 「図星、ですのね」


 ユリアはジト目でそう言った。貴重な光景だったが、屈辱感と自己嫌悪を思い出した俺
には、それを堪能する余裕はなかった。


 「試合まであと一週間だと言うのに、惨めなものですね。言っておきますけど、わたく
しのカラダはアイナさんよりずぅっと気持ちイイですよ?」


 ユリアの追い討ちは微塵の容赦もなかった。俺はがっくりとうなだれた。できることな
ら地面にうずくまってしまいたかった。


 「……いいですわ。少し情けをかけて差し上げましょう」


 どんな表情で、ユリアがその言葉を口にしたのか分からない。俺が顔を上げた時には、
ユリアはすでにいつものクールなまなざしを俺に向けていた。


 「今、この場で勝負をしましょう。ただし、わたくしは絶頂に達したら、気を失わなく
ともその時点で敗北で結構です」


 「え……?」


 驚く俺に、ユリアは軽く鼻をならして続けた。


 「さらに、あなたは精根が尽き果てるまで敗北を認める必要はありませんわ。何度気絶
なされても、わたくしが起こして差し上げます」


 それは、同級生同士が試合をする時のルールではなかった。それは教官や、現役の戦士
である先輩達を招いて行われる親善試合の時のルールだった。


 「あなたが負けてもわたくしは何も望みませんが、あなたが勝ったらわたくしは卒検を
棄権いたしましょう。いかがですか? 悪い条件では無いと思いますけど」


 一息にまくしたてると、ユリアは挑発的な微笑を浮かべて俺を見た。それも初めて見る
表情だったがどうでも良かった。表情以前に、突き付けられた条件自体がこの上ない挑発
だった。


 「本当にそれで良いんだな」
 「はい。なんならもう少しつけたしましょうか? わたくしは手に拘束具をはめると
か」
 「てめぇっ!」


 もはや挑発を通り越して侮辱だった。俺はユリアの肩に手をかけ、草の褥の上に乱暴に
押し倒した。


************


 俺はユリアにのしかかって、稽古着の胸元を乱暴に割り開いた。千切るようにスポーツ
ブラを剥ぐと、白く輝くおっぱいが弾け出た。何人もの男に天国を見せた、危険な盛り上
がり。俺は臆せずにしゃぶりついた。右手で左の乳房を責める。乳房全体を揉みしだきな
がら、乳首に直接触れないように絞り上げる。右の乳房に顔を寄せる。こちらは容赦無く
乳首に吸いついて一気に吸い上げる。


 「あっ……」


 ユリアの唇から息が漏れた。それは上品だったが、確かに嬌声だった。
 片方の乳房には強い刺激を与え、もう片方の乳房からはもどかしい快感を送り込み、2
種類の快感で女体を翻弄する。
 時折り乳房を揉む右手の指で乳首を挟んで、くりくりと捻ったり、乳首を吸う唇を離し
て舌で乳輪をなめまわしたりする。さらに素早く左右を入れ替えて、左手で乳房を揉んで
左の乳首に吸いついたりと、耐えず刺激を変化させて慣れる暇を与えない。


 「んっ!」


 真っ白い大きな乳房を彩る小さな桜色。それは湖面に落ちた一片の花びらのように、芸
術的で神秘的でさえあった。その芸術品が震え、硬く尖る。
 いける。あの天才少女が、俺のテクニックで感じている。
 俺は調子に乗り、ますます熱を込めて、二つの球を嬲りまわした。だから、気がつかな
かった。ユリアの瞳が、自分の胸に顔をうずめている俺を冷静に見下ろしていることに。


 「ああっ…… うぅん……」


 甘い囁きが、耳から脳に入って俺の思考を白く濁らせる。少女の汗の香りが、雄の本能
を奮い立たせ、理性を奪う。木目細かい肌は下の上に美味とも言える感覚を残し、知らず
知らずのうちに繊細な動きを鈍らせていく。いつのまにか、俺はすっかり夢中になって、
ただただユリアの乳房をむさぼっていた。


 「ハァハァ、ハァハァ」


 自分自身の荒い息が聞こえる。チ○ポはガチガチに勃起して、先走りに塗れている。気
付かないうちにユリアの女袴が捲れ上がっていて、白いフトモモの上に俺の汁がしたたっ
ていた。無意識にガクガクと震わせた腰が、俺のチ○ポとユリアのフトモモを触れ合わせ
た。
 吸いつくような柔肌。俺は吸いつけられるようにチ○ポを擦りつけていた。


 「あっ!? うわぁぁぁ!」


 ものすごい衝撃が下半身に走り、たまらず、目の前の柔らかなモノに助けを求めるよう
にしがみつく。責めて責めて責め抜いていたはずの、ユリアのおっぱい。
 気がついた時には、何もかも遅すぎた。もうどうすることもできなかった。俺は乳房に
顔を埋めたまま、真っ白なフトモモに白濁をぶちまけた。


 「あっ…… あ…… あ、あぁ……」


 がっくりと、ユリアの胸の谷間に突っ伏す。体が動かなかった。体力も気力も、根こそ
ぎ放出したような射精だった。指一本動かさないユリアにイかされた。戦士を志し、3年
も修行を積んできた者として、あるまじき失態だった。これじゃ戦士どころか、まるで童
貞の少年じゃないか。


 「あらあら……」


 くすっ、とユリアが笑う。あきらかに嘲笑を含みながら、その笑顔はやはり美しく愛ら
しかった。


 「お気になさらず。まだ正規のルールでさえ負けにはなりませんよ?」


 ふざけるな。俺の勝ち目など万に一つも無いことを、誰より知ってるだろう。惨めな叫
びを上げずにすんだのは、たっぷりと射精させられたせいで息が整わないおかげだった。


 「来られないんですか? では」


 ユリアは軽く俺を押しのけて転がすと、その上にまたがった。その時になって、俺は自
分がふてくされている場合でなかったことを悟った。
 戦士の戦いにギブアップは無い。降伏を認めてくれる淫魔などいないのだ。だから、戦
士学校の生徒たちの試合にも、当然ギブアップは無い。力及ぶまいと命搾られようと、最
後まで戦う精神を養うために。


 「うわあぁっ!」


 俺はなりふり構わず、力づくでユリアを押しのけて逃れようとした。が、それより早く、
ユリアのヒップが、俺の反り返ったチ○ポの上に落ちてきた。


 「おぅっ……」


 これまたとんでもない尻だった。小さくひきしまっているように見えたのに、もの凄い
ボリュームだった。俺は鈴口から先走りを飛ばしてのけぞった。
 ユリアを押しのけようと突き出した手が虚空をさまよう。ユリアはその手をとって自分
のおっぱいに導いた。ついさっき俺を魅了し尽くした感触が掌によみがえり、俺は悶絶し
た。どうして拘束具をはめてもらわなかったのか、心の底から後悔していた。


 「待て、待ってくれ!」


 絶対に自力では逃げられない。それを悟った俺は、恥も外聞も無く悲鳴を上げていた。


 「参った。俺の負けだ。だから……」


 汗と涙でグチャグチャになった俺の顔に、ユリアは自分の顔を近づけて笑顔のまま囁い
た。


 「だから…… なんですの?」


 甘い甘い、とろけるような囁き。


 「だから……」


 その時自分がどんな顔をしていたか、俺は考えたくも無い。


 「優しく、してくれ……」


 この快感から逃れることはできなかった。ユリアはにっこりと笑った。あるいはこれが
ユリアの本当の笑顔だったのかもしれない。月光に照らされたその笑顔は、月よりも綺麗
だった。


 「優しく、ですね」


 ユリアは軽くヒップを浮かせて、腰をゆっくりと振り始めた。


 「ああ……」


 気の抜けた声が俺の口から漏れる。柔らかなヒップに優しい摩擦を受けたチ○ポは、す
ぐに喜びの涙を流し始める。ものの30秒で、俺の股間はグチョグチョになってしまった。
 体の柔らかい部分を用いて、絶頂に至らない程度の刺激を与えつづけ、快感を蓄積させ
ていく。しかも、力加減が絶妙だ。俺が射精してしまうギリギリの線を完全に見切ってい
る。胸でやる女はいくらでもいるが、尻でやる女はユリアが初めてだった。
 胸でやるなら、器用な手を使って乳房を操作できるし、ペニスの様子を目で確認しなが
ら与えるダメージをコントロールできる。
 だが、尻でやるには、腰を正確に動かす足腰の強さと、ペニスの一挙一動を敏感に感じ
取るヒップの感度、この両方を並外れたレベルで持ち合わせていなければならない。
 ユリア以外の生徒には到底できない芸当だった。


 「どうですか? 優しいですか?」


 息一つ切らさず、ユリアが聞いてくる。


 「ああ…… 優しい、優しすぎる。あぁ、もうダメだ」


 俺の方は、とっくに限界まで息が上がっていた。


 「もうダメなんですか? こんなに優しくしているのに」


 「でも、あぁ、ダメなんだ。あぁ、出るっ!」


 俺はたまらず、腰を突き出して射精しようとした。だが、ユリアは俺の動きに合わせて
腰を浮かせてしまう。与えられる刺激は一定のまま。
 俺は何度も何度も腰を突き上げたが、その度にユリアのヒップは絶妙な上下を見せ、俺
はむなしく腰を震わせるばかり。


 「ユリア、あぁっ、頼む、ユリア、ユリアっ!」


 もはや自分ではどうにもならない。ユリアに助けを求めるしかなかった。


 「もう、さっき優しくしてくれって言われたばかりなのに。リッツさんってわがままな
のですね」


 ユリアは楽しそうに、嬉しそうに、にこっと俺に笑いかけた。


 「はい、どうぞ」


 ユリアが腰を落とす。それだけで十分だった。待ちかねた刺激を受けてチ○ポがわなな
いた。ユリアの尻に敷かれた俺のチ○ポは、盛大に溜め込んだモノを解き放った。
 大量の白濁が、まだパンツを脱いでさえいなかったユリアのヒップにふりかかった。


************


 軽く天国を覗いてしまったらしい。俺は草の褥に横たわり、シーツに身を覆われながら、
頭をユリアの膝に預けていた。


 「気がつかれました?」


 ユリアが笑う。信じられないほど優しい表情だった。


 「気持ちよかったですか?」


 「……分かってるだろ」


 「ちゃんと言わないと、もうしてあげません」


 「すげぇ気持ちよかった」


 即答している自分が情けなかった。


 「……アイナさん、よりも?」


 アイナ? ユリアの口から不意に出たその名前に、俺は一瞬、誰のことだろうと考えを
めぐらせた。そして、次の瞬間、その一瞬を死ぬほど恥じた。
 アイナ。あれから何時間くらい経ったのだろう。素っ裸で夜中に飛び出していった俺を、
今も待っているのだろうか。それとも、夜の街を捜し歩いているのだろうか。俺を傷つけ
てしまったのは自分のせいだとか思いながら。


 「リッツさん?」


 「……アイナに比べりゃ、どうってこともないぜ」


 俺は勢い良くユリアの膝から体を起こした。


 「……えっ……」


 ユリアの笑顔が凍りつく。それだけでも、一矢報いた気分になった。だが、それだけで
はダメなんだ。


 「俺は何度気絶してもいいんだよな? まだ俺のチ○ポはギンギンだぜ」


 アイナは何も悪くない。悪いのは俺だ。弱すぎる俺だ。恐怖に負け、快感に負け、敵で
あるはずの女に恥ずかしげも無くイかせてくれとねだってしまうほど弱く情けない俺だ。


 「……そうですか」


 ユリアの凍った笑顔が消えた。そこにあるのは、いつも学校で見るクールな美少女の顔。
正直、足が震えた。体の性能も、テクニックのレベルも段違い……いや、桁違いだ。
 けど、心だけは。心だけは屈しないでいられるはずだ。


 (リッちゃん)


 待っててくれ、アイナ。少し強くなって帰るから。俺は正面からユリアを睨み付けた。


 ふぁさっ……


 ユリアが服を脱ぎ捨てた。

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