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ある世界の話 序章 第二話

  「そこのかわいい坊や、私とSEXしない?」

 後ろから聞こえてくる艶やかな声。振り返ると、予想以上に色っぽくスレンダーな女性がいる。クリッとした瞳に、厚めの唇。肩まで下ろしたストレートの黒髪。年は20前後に見えるが、大人の色香を併せ持っていて、「絶世の美女」と言われても、文句のつけようがないほどだ。

  「今すぐ・・・ですか?」

 僕は買い物袋を見せながら、目を逸らす。BF法が施行されてもう半年。昼夜問わず街中のいたるところで、SEXバトルが行われている。もちろん僕に拒否権は無い訳だが、青姦はできれば避けたいし、何より僕には彼女がいる。

  「もちろん今すぐよ」

 言葉の旋律が耳に入ったと思った瞬間、溢れてくる快感。正面から見据えた色っぽい肢体。そして、徐々にペニスが鎌首を上げ始める。
 (うぅ・・・まずい、この人めちゃくちゃ強い・・・)
 僕は今までできるだけ、彼女とのBF以外避けてきた。それでも何回かは、無理強いされたけど・・・・。情けないことだが、必死に相手に懇願して、なんとか今までやってこれた。法律は厳しいけど、女性が納得してくれたら、助かるんだ。

  「すみません!!僕恋人がいて・・・できれば彼女以外の人としたくないんです。あぁ・・後、僕すごく弱くて、一度も勝ったことないんです」

 そう言いながら、僕は頭を下げる。恥ずかしさと、緊張感で心臓が波打ち、顔を赤くさせる。
 (大丈夫。優しそうな人だし)

  「あら‥断られっちゃた。純情なのね。私の知ってる男はみんなあの法律に喜んでるのに・・・」

 髪を整えながら、微笑む女性。

  「でも・・・見つけたわ」

  「ありがとうござい・・えっ?どういう・・っ!!!」

 彼女が言葉を紡いだ瞬間、変化する雰囲気。そして、僕の口内で急速に生成される生唾。さっきまでの彼女は、すべての男を魅了する妖艶さだったが、今は、男たちの総てを飲み込もうとする妖女・・・まるで淫魔そのものだ。

 ハッと正気に戻った時には、彼女はもう目の前にいて、僕は裸にされていた。そしておもむろに伸びる手?

  「うあああああアアアーーーーーーーん」

 手が耳に触れただけのはずなのに、生涯一番の快楽が襲い掛かる。そして、唇でむさぶるような愛撫。

  「!!!!!!!!!!」

 さらに追い討ちをかけるように、その唇は乳首のほうへと下がっていく。   〈カプッ、ジュルルル〜〜〜〜〜〜〜〜〉
 掃除機よりも凄まじい吸引力。そして、仕上げとばかりにいきり立った乳首の根元を噛みながら、舌で先端を舐めしゃぶられる。全神経が乳首に集まり、それを舐めまくられるような快感が襲いかかる。

  「もうダメ〜〜〜。イクイグっ――――!!」

  「ふふふ。あなた今舌と唇で愛撫されてると思ってるようだけど、違うわ。途中までは分かってたみたいだけど、片手で愛撫してるだけよ。ふふっ、それに・・・」
 
 そう言うと彼女は、上を向き快楽に喘いでいる僕の頭を下に向けさせる。

  「あなた耳を触った時から、散々逝きまくってるわよ。」

 虚ろな目で見ると、僕のペニスからはとめどなく精が出ていて、足元に精液の水溜りができている。僕にはそれがこの世の光景とは思えなかった。

  「無理もないわ。射精する快感よりも、乳首と耳が受ける快感の方が強かったんだから。でも、私がペニスを直接愛撫するとどうなるか・・・分…よ‥?」

 彼女が言い終わらないうちに、僕の意識は闇に包まれていった。



 

  ふわふわとして、暖かい。温もりを感じる・・・・・・
 (ここはどこだろう?彼女にどこか連れ去られてしまったのか)
 徐々に覚醒していく意識の中、だんだんと増してくるペニスからの快感。魔性の手が、亀頭を覆い、極上のフェラと同じ快感を与えてくる。
 
  「うわぁっ!!もっと優しく手コキしてください、お姉さま」

 あまりの快楽に絶えられず、嘆願するが、それに答えるかのように刺激を増していく。

  「ああああっーーー」

 〈ビリュルルル!!〉精巣から無理やり引き出されるような射精感を感じ、僕の意識はまたとぎれていった・・・・

  「ってちょっと待てぃ!!早く起きろ!この浮気者!!」

 甲高い声とともに、股間と睾丸に走る快楽と痛み。暴力的だが、ペニスの根元を足指で強弱をつけながらはさみ、睾丸をかかとでひねり、押し揉みしだかれる。断続的な強弱の快楽に、睾丸に精が溜まっていく。

  「うっうう・・うがーーー」

 金切り声と共に徐々に出てくる精液。かかとによる睾丸への押しが強くなるたびに、ピュピュと出てくる。

  「このこのまだ起きないか!!このーー!!」

  「も、もう起きて、てるから、そ、それを止めないと、きれない」

 やっと両足と股が解放されたころは、さらに2回絞られた後だった。


  極度の疲労感のなか、朝食のトーストを口に運びながら、さっきの夢のことを思い出す。冷静に考えれば、あんな人間離れした体とSEX技術を持つ人なんているわけなかった。それに、この世界のBFでは、公の死合でないかぎり、お互いが死合のルールを決め、合意した上で死合開始となる。今振り返るとそれがないのもおかしな話だ。
 それにしても、夢とはいえ奴隷になりかけたり、疲労困憊で、朝のゆとりが無いのも・・・

  「全部、おまえのせいだー」

 向かい合って食事をとっている、自称妹兼仮の彼女に向かって、指を突きつける。

  「何いきなり大声出してんの?そんなことより早く食べちゃわないと、検査に間に合わないよ。」

 ぱっちりとした目を細めながら、彼女は冷静に言う。彼女の名は、カレン。一応僕の彼女だ。身長は僕より頭1つ低く、全体的に細身で胸は並のCカップぐらい。ショートカットでウェーブのかかった茶髪は、より彼女の可愛さを引き立たせている。
 5年前、天外孤独の身となってた二人は出会い、それ以来お互い切磋琢磨して暮らしている。昔は、泣き虫でよく僕のことを「お兄ちゃん」と言って頼っていたせいか、今は恋人とはいえ兄弟みたいなものだ。まあ今では、互いに言い争ったりするのが普通なんだけど・・・

  「だからー、カレンが、電気按摩やらフェラやらするから遅れてるんじゃないか!!」

 他の女の人とは、うまく話せない僕だが、カレンにだけは変に気をつかわず話せる。それが、僕がカレンに惹かれる理由かもしれない。

  「確かにやりすぎたとは思ったけど‥‥お兄ちゃん、フェラしてるのに、何で手コキと勘違いしてるの?何で<お姉さま>という言葉が出てくるの?」

 まずい・・・他の人とBFをした日には、必ずといっていいほどおしおきをしてくるカレンに、夢の中とはいえ奴隷にされたなんて・・言えないよな。

  「それはだな・・・フェラを手コキと念じることにより、予想外の快楽に対応できるような特訓法を試してだな・・・んっ??お姉さまの件?それは、まあその日頃のカレンの行いに対する尊敬の念をはらって・・」

  「はいはい、分かったから。それよりもう家出ないと。まあそのことについては、夜にたっぷりと聞かせてもらうからね、お兄ちゃん☆」

 ☆とは程遠い声色を最後に残し、自分の部屋にカレンは入っていった。
 (現実では妹の奴隷か‥‥トホホ)


  
  身支度を急ぎすまし、僕はカレンと共に検査会場に向かう。1日に1回行われるこの検査は、15歳から30歳までのすべての人が受けることとなっている。通称{BF検査}。
 SEXをちゃんと1日のうち1回以上行ったかを調べる検査だ。女性は膣の状態と、女性ホルモンの分泌量を調べられるだけだが、男性の場合、女性によって文字通り剥かれて、さらに耐久力まで調べられる。
 女性の場合違反したら、軽い労働を強制されるだけだが、男性の場合は恐ろしいことが待っていると言われている。検査を受けない場合はもっとすごいらしい・・・何がすごいのか分からないけど・・・・

  しばらく列に並んだ後、名前を呼ばれ看護服を着た女性の前まで来た。目はきつい感じだが決して細くなく、かけられたメガネと合わせると理知的な印象の美人だった。真ん中分けの赤髪が、看護帽の両サイドから伸び、首元まで達している。唇は薄いが十分弾力はありそうだ。
 視線を少し下にずらすと、看護服に納まりきらないほどの、はちきれんばかりの胸の谷間がのぞいている。そのボリュウームとバランスをとるかのように、くびれたウエストと大き目のヒップが続いていた。

 〈ゴクッ〉
 おもわず溢れ出した生唾を飲むと、ナースは見透かしたような微笑を浮かべた。

  血液検査等一通りの検査を終えると、ナースは僕の前まで来て、膝をついた。

  「では、ペニスの状態を確認します。」
 
 羞恥心も無くさらりと言うと、ズボンとパンツを下ろされた。いつもながら、慣れずに顔を赤くしてしまう。なにせナースだけでなく、前のほうで順番待ちしている人にも見られるからだ。

  「勃起を確認。仮性包茎なので皮を剥きます。」

 さすがの僕もこの淡々とした口調に苛立ちを感じてしまったが、恥ずかしさのほうがまして、ただ顔を俯かせるだけだった。

  「ふむ。オナニーはしてなく、女性との性行為で5,6回は射精してますね。」

 {あら、坊や高校生でしょ?盛んなのね}、{いいなー、俺昨日は3回だよ}とか後ろの方から聞こえてくる。
 (今までの検査では、ここまで言われたこと無かったのに!!)
 さすがに怒りが湧いてきて、文句でも言ってやろうかとナースのほうをにらみつける‥‥

 「ちょ‥!!!」

 出掛かった言葉が喉元から押し返される。そのナースは夢で見た美女のような妖艶さをまとって微笑していた。僕は、この人には逆らわない方がいいと直感した。

 「では、耐久力検査に移ります。知ってると思いますが、1分間私のフェラで逝かないように耐えてくださいね。」

 僕は、さきほどの妖艶さが消えたことに安心すると共に、緊張感を漲らす。はっきりいって今までの検査員の中で一番の強敵だと思う。でも、今朝あれだけ射精した後だからなんとかなるだろう。不幸中の幸いだ。

  「では、始めます。」

 いい終わると同時に、他の検査員がタイマーを押す。そして、ナースの唾液に塗れた舌が、亀頭を舐め始める。

  「くっ・・!!」
 さすがにいままでの検査員とは一線を駕していた。心地いい舌触りをふんだんにいかすため、亀頭と舌の接触面積をできるだけ大きくし、さらに、唾液による潤滑効果で、素早い嘗め回しを行っている。かと思うと突然舌の先で尿道口を穿ち、唾液を送り込んでくる。その奇妙な逆流感に、ペニスは悲鳴を上げる。
 
  「ぐあああっ」

 まるで射精のような勢いで噴出してくる我慢汁。なんとか攻めを見極めて、
あらかじめくる快感を予測しようと、下を覗くが、

  「…………!!!!」

 妖艶な瞳で見つめ返してくる、ナース。口元はかすかに笑っているようにも見える。そして、プルプルッとわずかに揺れる乳房。それだけでも、まいってしまいそうだが、さらに目を疑うような速さで、舌が変幻自在に動いていた。惹きつけられるように、目を逸らすことができない。

 (まだか・・・・)

 もう1分経ったようにも、まだ数秒のようにも思われた。時間間隔、いや、周りの情景すらも定かではなかった。ただナースと僕の2人きりの世界があたりには広がってるだけのように思われた。

  「じゃあそろそろ仕上げを・・・」

 一瞬唇を離してナースがそう言うと、また舌で舐めしゃぶる。

  「えっ?!わっわわあああああ・・・」

 自分の目を疑うような光景。舌がさらに速さを増し、尿道を責めているのか、亀頭を責めているのか分からないほどだった。そして、射精感がこみあげてくると同時に、咥えられるペニスそして、
 <ドビュルルルル――ーー>
 強烈に吸い上げられるペニス、それと共に僕の意識も吸い上げられた。

  「はい、終わりです。そして、あなたの人生も・・・」
 
 一瞬だけ気を失っていたようだが、ナースの言葉に顔を青ざめる僕。

  「あっ!!主任。タイマーのアラーム音offになってました。」

  「あらそう。残念ね。」

 (この人検査員の主任なのか…強いはずだ。)と思いながら、主任とその補佐役の検査員を見ると2人とも妖艶に微笑していた。その瞬間、踊らされたと分かったが、何も言わず逃げるようにその部屋から去っていった。


 
  
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 



 主任マリスは、今さっき相手をしたアルクという少年のデータを調べていた。案の定、今までは、検査員のお情けでどうにかギリギリ突破できてるほどの早漏だった。

 (やはりあの方との接触で、著しく強くなったようね)

 男への救済処置として、マリス自ら検査を行うことはなかった。それほどまで、主任の技術はすごいのだが、アルクはそれに2分以上耐えた。

 (あの方も道楽がお好きなようだ)

 微笑しながらも、マリスは軽く溢れた愛液を流すため、シャワー室へと向かった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


  「お兄ちゃん!遅いよ。学校遅刻するよ」

 検査所前で待っていたカレンが、ぷりぷりしながら駆けてくる。僕はふらふらしながら迎える。

  「大丈夫?なんか朝食の時よりもっとやつれてるよ」

 僕の顔を心配そうに見上げてくるカレン。やっぱりこいつに僕は癒される。

  「カレン・・・ありがとう」

  「えっ?!何て言った?」

  「いやっ!なんでもない」

 不思議そうにしながらも、どんどん先に歩いていくカレン。なぜかそのいつもの光景が、今はいとおしいものに思えた。
 
 

一応主人公は作らない予定ですが、アルクが物語の中心にはなります。

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