「いい天気ですねぇ…これだけお日様が出てるのに明日には嵐が来るだなんて信じられないくらいに…」
「ああ、本当だな、暖かくて時間がゆっくり動いているような感じだ。お〜い!リュカ!!あんまり走り回るとすっ転ぶぞ!!」
普段は隣町の鉱山で鉱夫をやっている俺だけど3日前の落盤事故で左肩を骨折しちまった。勤続12年間サボる事も無く真面目な姿勢が評価されてか解雇されることなく10日間の休みが許された。4歳になる一人息子、リュカが生まれてからは初めての長期休暇だった。
仕事が終わってから酒を呷るのも幸せだけど穏やかな日にようやく俺になついてくれるようになったリュカと遊び、それも横には俺にはもったいないくらいの美人妻エイミがいてくれる。これこそが本当の幸せなんだろうな。
「これだけのんびりしていると、この前の落盤事故のことや戦争をしている国があること…世界中の悲しい事辛い事が何も無いみたい、だな。」
「そうですねぇ…それでもあのいn…!」『ポン!』
「ママァ〜!パパァ〜!ボール遊びする!!」
リュカの投げたボールがエイミの頭に当たったみたいだ。
「よっしゃ!リュカァ!キャッチボールだ!!」
「うん…パパは腕イタイだけどへぇきなの?」
「パパは大丈夫だよ、リュカが前より遠くへ投げられるようになったかみてやるよ」
「うん…いくよぉ、エイ!」
「リュカ!腕だけじゃなくもっと足から!体全体を使って投げるんだ!」
「うん!こぉ?」
「そうだ!!いい感じじゃねぇか!」
「きゃぁぁ〜〜〜ぁ♪」てってってってって…
「おお!リュカ!随分走るの速くなったじゃないか!」
「パパァ…」
「気持ちよさそうに眠って、寝言まで言ってる。ヨダレまで垂らしやがって…」
「そうですねぇ、それよりあなた肩のほう大丈夫??やっぱり私がリュカをもつわよ。」
「いいんだ、どうせ怪我が治ったら今まで休んだ分まで頑張らんといけねぇし、今日だけは家族…いやリュカへサービスしてやらんと。風呂も俺とリュカが一緒に入るからな。」
「まぁ、はいはい♪今日はいっぱい汚れてるでしょうから頭の先からつま先まで洗ってあげてくださいね。」
「おぅ…ただ、こいつ起きるかなぁ?」
「汗かいたんだし、私が起こしますよ。」
こうして俺が一番幸せに感じる日は終わってっいった。リュカと入る風呂も、エイミが作る飯も何もかもが全てこの日の夜に終わっちまうだなんて夢にも思わなかった。
ビュルルルルルゥゥ〜…
「風が強くなってきたな、明日の朝来るはずだった嵐が早く来たみたいだな…こりゃ、怪我してなくても鉱山は2 3日休業だろうな。」
「ぇぇ、義弟さんのおうちは大丈夫かしら?」
「ウォルターの所か、丘の上だし雷は鳴ってないし…大丈夫だろ。それよりうちが雨漏りしないか、ウォルターん所のほうが安全かもな。」
ヒュルルルルルゥゥ…風が一層と強くなった。その瞬間外に閃光が走った。
「きゃっ…か…雷?」
「ぉ…ぅ…そうだろぉっ!!!」エイミと話している最中窓を割って3人の女が、それも3人そろって一糸纏わぬ格好で入ってきたんだ。
「ぁぁん、もうディーンったら何でいっつもこう荒っぽい行動しかしないのよぉ。」
「ぅッるせーな、人間がいたんだからいいじゃねーかよ」
「1人ずつの2人か、私男のほうね!年はともかく体もタフそうだから餌としてはたっくさん出してくれそうだしぃ。」
あっけにとられていたが…こいつらヤバイ。耳がとがって羽が生えて尻尾があって、紫色の肌をしてるのや羊みたいな角が生えてるのまでいやがる。魔物の類はどっかの国の勇者達が滅ぼしたおかげで獣に少し刺やら巨大化したものくらいしかいないはずだ。だとしたらこの悪魔みたいな輩は…?魔物の残党で勝ち目が無いとしても今の俺には守るべき家族がいる!
「なんだてめぇら!!」俺はそう一喝し近くにあったイスを思いっきり赤い髪のやつに投げつけた。
しかし、イスは女悪魔達にぶつかる前に不思議と消滅しちまった。
「暴力はいけませんよ〜♪それに私達にはそういう著しく肉体的苦痛を伴う行いに対して無効化できる結界がありますから無駄ですよ。」
「ただの人間の男なんか大体焦って腰ぬかしたまま逝っちまうのが多い中、度胸はあるんだな。私もルーと男のほうもらうわ。」
「じゃぁ、私はおんなの方ね…」
こいつらが話している間にエイミだけでもリュカと共に逃げて欲しかった。しかし、エイミは突然起こったことへ対するショックでか筋肉が弛緩しているようだった…こうなったら俺がリュカの部屋に行って抱きかかえてエイミを見捨ててでも逃げるべきだったのかもしれない…
「えぇいっ!ままよ!!」俺は左肩がろくに動かない事も省みず三人へ向かって突進して行った。時間を稼いでエイミが正気に戻ってくれれば俺の愛する二人だけは助かるかもしれない…普段信仰深くない俺だけどこの瞬間ばかりは神にすがる思いだった。『俺は死んでもいい…ただ、リュカの命だけは守ってくれ』と…
「きゃっ!」「ぅあっ!」「危ない、危ない…と☆」左腕が動かない分二人を押し倒せたけど一人はかする程度にしか触れられなかった。皮肉にもさっき悪魔が話していた通りになってしまった。
「おにーさんったら、そんなに私達を抱きたかったの??私たちもいっぱい感じさせちゃうんだから。」そう言い悪魔は俺に濃艶なキスをしてきた。
「ぢゅぱぁれろれろれろ…ぁはぁはぁ…んんっ、お前等淫魔ってやつらヵ!?」
魔王が死んで一時の平和がもたらされた後、数年経ち人間同士の戦争がちらほら表面化してきた。そんな時バレント帝国の小さな町で男たちはミイラのように枯れ果て、女たちは姿を消してしまい幼子と数少ない生き残り以外は死、あるいは行方不明となる事件が起こった。
事が終わるまで身を隠していた数少ない生き残りの証言では
『異形の形をした絶世の美女が数人、町へやってきて男達と交わり精を吸い尽くした。女たちとも交わり絶頂の果てを迎えた女たちは綺麗に透き通った宝石のようなものに変わったり、別の女性は異形の女性の仲間へと姿を変えた』言う。
軍国主義のバレント帝国で起こったことであったがため聖職者たちは
「人と人との争いを戒めるべく神がよこした使い。天使様なのだ。神と天使による粛清なのだ」と発表し、国と国との間で戦争に対する緊張は沈静化されつつあった。しかし、その『天使様』による粛清は沈静化せず被害も徐々にではあるが増加の一途であった。人々は天子などとは信じず『淫魔』と呼ぶようになり次第に恐れ畏怖していった。
「ぁふぅん…最近はそう言われるみたいね。でも私たちがこの世にいながら天国見せてあげるんだから、ぁはっ」
「あんたの嫁のテクの100倍感じさせて体液全部精液になって空っぽになるまで吸い取っちゃう。」そうだ…エイミは?
「ぁ…ぃゃ…」「おねーさん♪本能に身を任せて、あなたのダーリンのことなんか忘れさせちゃうね…あなたが人間であるっていうことも全部忘れさせちゃうんだから。」そう言って淫魔はエイミの服を笑顔で引き裂きエイミは胸と女性器を露出させる格好になった。
「イヤーーーー!!!!」「エイミィーーーーッ!!!」
「ふぁ…大きな声で目がさめちゃうよ。下がうるさいし。何だろぉ??」僕は階段を下りてリビングへ行った、そこには…
「くちゅくちゅくちゅ…ぁぁ…だめぇ…」ママの上に女の人が乗っている・・・
「ぐぁ…てめぇら…」パパのおちんちんを女の人が食べている…別の女の人がパパのおっぱい吸っている…みんな裸で・・・
「パパァ…?」
「あん、可愛い男の子がいるじゃない…」パパの胸を吸ってた人が僕を見つけて言う。
「リュカァ!逃げ…いや競争だ!!ウォルター伯父さんの所まで走るんだ!!」
「夜なのにぃ??雨なのにぃ??パパとママとその人達は??」
「パパたちは10数えてから行く…リュカが先についたらほしい物買ってやるぞ!…いいから速くするんだぁ!!」
そう言われて僕はわけがわからないけどパパに怒られてるような気がして玄関をでて、走ってウォルターさんのおうちを目指したんだ。
「逃がすかよっ!」とディーンがペニスから口を離し翼を使い一気にリュカを追いかけようとした刹那
「うぉぉぉぉぉ!」ディーンの肢体は足によってカニバサミをされ、またルーも右腕一本で抱き締められていた。
「きゃぁ…決めました。さっきの子供はどうでもいいしあなたを枯葉みたいにくしゃくしゃにしてあげます。」
これでいい…エイミも最後の理性一本で淫魔を動けないよう捕まえていたし、リュカが生き残る可能性があるのであればこれでいいんだ。
リュカは闇夜の中走っていた、わけはわからなかった。ただ幸いなことに雨風も弱くウォルターの家まで丘を登るように舗装された道を行けば迷うことはなかった。
ウォルターさんはちょっぴり変だけど、偉い魔術師なんだ。きっとパパもママもウォルターさんを呼んで来てほしいんだ。リュカはさっきの父との会話の中に本能的に危険を感じていたのかもしれない。
とにかく今はウォルターさんを頼るため丘を走り抜けていった。
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