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輪廻-起- 食

ドンドンドンドンドン!
激しく荘助たちの長屋の戸が叩かれる。何事かと身構え、2人はお互い目で合図しながら引
き戸に手をかけ、勢いよく引き開けた。そして手に持っていた刀を鞘から抜こうとして入
ってきた人物がよく知った人物だったため踏みとどまる。
「浜路ちゃん?」
町中といえど夜は危ない。妖魔だけでなく追剥も出る可能性があるからだ。そんな危険を
犯してまで夜這いをかけるような娘ではない。恐らくただ事ではないのであろう。浜路の
慌てた雰囲気が伝染したか信乃もなぜか慌てふためいている。
「ん〜…なんだ。浜路ちゃん、夜這いか?」
場を落ち着かせる意味も含めて荘助は言ってみた。しかし少し棒読みがちだったのかもし
れない。予想もしない単語に一瞬長屋の中が静まり返る。
『えええ!』
信乃と浜路の驚く声が重なる。お互い顔…耳までを真っ赤にしている。
「はいはい、お前ら落ち着け。とりあえず深呼吸だ。」
声に出してあわあわと慌てる2人を咎めて深呼吸させる。ようやく落ち着いたようだ。
「で、こんな遅くに慌ててどうしたんだ?ひょっとして本当に…」
落ち着いたのを見計らって荘助が尋ねる。
「違います!大変なんです!父が…お父様が!」
再び興奮する浜路に荘助は信乃に視線を送り、落ち着かせる。
「ゆっくり。落ち着いて話せ。」
諭すようにしかし優しく荘助は声をかける。不安を紛らわせようと信乃は浜路の手の甲に
自分の手を重ねて優しく微笑みかける。2人の優しさにようやく安堵した浜路の目から涙が
溢れ出した。
「お父様が…いえ、うちが妖魔に襲われました。私が気付いて父の元に駆けつけたときは
既に父は…」
浜路の説明で荘助の目が仕事をする時の鋭いものに変わる。
「他の者は?」
詳しく聞くのは浜路につらいことなのは荘助もわかっている。しかし町中しかも庄屋を殺
したともなるとすぐにでも調伏しにいかねばならない。
「…わかりません。お父様の悲鳴に私は目を覚ましましたが屋敷内は静まり返ってました。」
術かそれとも既に妖魔にやられた後か…しかし先に家の者を殺して回っていたのであれば
浜路も殺されていたはずだ。ということはやはり術なのであろうと説明から推察する。
「妖魔の姿は見たか?」
荘助の質問に見てきた光景を思い出したのであろう。嗚咽しながら泣き出してしまった。
「信乃、浜路ちゃんの傍にいてやれ。俺が行って来る。」
胸を貸し、泣きじゃくる浜路を支える信乃に荘助はそう言うと、刀を置き両手に長い数珠
を巻きつけた。そして刀の変わりに六角柱の長い棒に鉄の輪がついた杖を持ち、立ち上が
った。
「大丈夫か?」
荘助の目には怒りの色が浮かんでいる。それを危惧して信乃は尋ねた。
「俺を誰だと思ってるんだ?」
荘助は不敵な笑みを浮かべてそう答えると、行って来ると長屋を飛び出した。
「大丈夫。荘助がきっと旦那さんの敵を取ってくれるから。」
悲しみに泣きじゃくる浜路に信乃はそう言うと手で印を切り、浜路を眠らせた。
「ほう。術士の家に逃げ込んだか。」
突然聞こえた女の声に自分の粗末な布団に浜路を寝かせていた信乃は驚き振り返った。輝
くように白い全裸の女が目の前に立…いや、浮いている。
「貴様か?浜路の家を襲ったのは。」
驚く様子を隠しながら信乃は指を立て、向かい合う。内心はかなり焦っている。声をかけ
られるまで信乃はまったくこの女の気配に気付けなかった。そして今向かい合っているだ
けで恐ろしいまでの強さがびんびんと伝わってくる。
「ほほ。先ほどの男もいい魂を持っていたがお主の魂も素晴らしいものじゃな。」
いつでも戦えると言った雰囲気の信乃とは打って変わって女は余裕に満ちている。
「私の質問に答えろ。」
信乃の目は女の一挙一動も見逃さないという具合ににらみつけている。
「それほど熱い視線を送られると照れてしまうの。質問の答えか…浜路というのがそのお
なごのことならそうじゃ。」
余裕から隙だらけの女から答えを聞いた瞬間信乃は目を大きく見開き、すばやく印を切る。
「オンアボキャベイロシャノウマカボダラマニハンドマジンバラハラバリタヤウン!」
真言を唱え指先を女に向けて放たれた。気の波動が女に突き刺さる。
「何か…したかの?」
しかしまったく通じていない。舌打ちをしつつ信乃は別の印を切った。
「ノゥボゥアキャシャキャラバヤオンアリキャマリボリソワカ!」
再び気を放つ。しかしやはり通じない。
「ほほ…人ごときが妾にそのような方法で傷をつけられると思ったか。力というものは、
こう使うのじゃ。」
女はそう言うと無造作に手のひらを前に出す。その瞬間信乃の体が何かに縛り付けられた
ように動かなくなった。
(金縛り!)
気合を入れて術を解こうとするがまったく解ける様子がない。
「無駄じゃ。お主程度の力で妾の術を解くことなど不可能。」
身動きの取れない信乃に女は近づくと乱暴に衣服を引き剥がした。勢いあまって信乃は仰
向けに倒れてしまう。
「ぐ…な…何を…」
全裸の男女が向き合ってすること。それは信乃の頭にも容易に想像できたが想像の時点で
それを拒否する。すぐ横には浜路が安心して寝息を立てているのだ。
「お主に生涯最上の快楽を与えてやろう。」
女はそう言うと信乃に跨り、胸に舌を這わせ始めた。女のざらついた舌の感触に思わず信
乃の体がびくつく。
「ほほ…うぶな反応じゃ。お主、初めてじゃな?」
信乃の反応が気に入った女は焦らす様に片手で乳首をはじきながらもう片方の乳首を舌で
弄ぶ。
「う…くぅ!」
身を捩じらせて避けようとするが金縛りで身動きがうまく取れない。
「感謝するのじゃな。初めての快感が生涯一の快感になるのじゃから。ほれ!」
爪を立てて女は信乃の乳首に力をこめてつまんだ。激しい激痛が走る。
「ぐ!」
痛みを堪えて歯を食いしばる。そんな信乃の表情が楽しいらしい。どれだけ耐えられるか
試すように更に捻るように指を動かす。程よく楽しんだ後手を離すと爪の痕をつけて赤く
なった乳首に吸い付く。痺れる様な甘い刺激が今度は襲い掛かってくる。
「ひぅ!」
思わず声に出してしまう。恥ずかしくなって顔を背けるがそうはさせまいと女は逆の乳首
に爪を立てた。
「んぐぅ!」
再び激痛が走る。激痛と同時に女は舐めることをやめている。そして捻るまたは引っ張る
等を繰り返した後に解放し、痛みの余韻が残るうちに今度は舌で弄ぶ。それを何度か繰り
返しているうちに信乃はいつの間にか爪を立てられたときにも痛みの奥でなにやらむず痒
い何かを感じ始めていた。
「気に入ったかえ?」
そんな心意を読み取ったか女はそう言うと今度は両方の乳首へ同時に爪を立て勢いよく引
っ張った。
「ひぐぅ!」
激痛が走りうめき声を上げる。しかし金縛りで抵抗できない信乃に女はやはり捻りなどを
入れていたぶる。皮が伸びるのではないかというぐらい強く引っ張って離すと、今度は舐
めずに息を吹きかけ、円を描きながら優しく撫でる。
「ふうぅぅ…」
こそばゆいようなむず痒いような感触に痛みで止めていた息を吐き出す。吐き終わったの
を見越して女は再び両乳首捻り上げた。
「んぐぅ!」
激痛に息が吸えない。叫びそうになるも息を吐ききった後で声も出せない。女はそれがわ
かっているかのように淫猥な笑みを浮かべて苦しむ信乃の表情を楽しむ。酸欠から意識が
ぼやけてくる捻られる乳首の痛みも痺れたようなぼやけたものに変わっていった。意識が
堕ちるか堕ちないかの寸前で女は解放する。苦痛が治まり信乃は慌てて息を吸い込み荒れ
た呼吸で足りない酸素を補充しようとする。しかし
「ふぅぅぅ…」
「ふぁぅぅ…」
再び乳首にかけられる吐息と指による優しい刺激に思わず声を上げ、脱力してしまう。
「ほほ…可愛らしい声じゃな。まるで未通の娘のようじゃ。」
蔑んだ笑みで女は言う。
「だ!誰が!」
声を荒げて否定しようとすると女は視線を信乃からそらせるその視線の先で浜路が寝息を
立てているのを思い出し思わず信乃は口を噤む。
「そろそろ捻られるのも快感になってきたじゃろう?」
「誰…ぐうぅ!」
否定しようとするがそれを邪魔するように女は再び乳首を捻り上げる。頭では否定してい
るが信乃は自分の中に痛みの向こうで再びされるのを期待した気持ちがあるのに気付いて
いたが、首を振ってそれを否定する。
「素直になれば楽になるぞえ?」
引っ張るだけではなくぐりぐりとすり潰すように指を動かす。息が整わないうちにされた
攻めに再び信乃の意識がぼやけてくる。しかし堕ちる前に激痛からは解放される。
「はぁ…はぁ…」
 何度か繰り返した後、女は乳首を解放すると信乃が息を整えるのを見守るように眺めた。
「ふむ…そろそろかの?」
以前金縛りはかかったままだ。女に馬乗りになられてどれほど時間が過ぎたのだろうか。
しかし女は羽根の様に軽く、乗られている信乃に特に負担はない。十分に息が整ったとこ
ろで女はおもむろに信乃の乳首を指ではじいた。
「ひぅん!」
明らかにはじめとやってくる快感の量が違っている。それだけではない。信乃の本能が更
なる快感を求めているのがわかる。
「ほほ…ずいぶんと素直になったの。ここはもう十分のようじゃ」
しばらく遊ぶようにはじいた後そういうと女はぴたりと手を止めて立ち上がった。
「え…」
物足りなさげな声が思わず信乃の口から漏れてしまう。女は聞き逃さず振り返り淫猥に微
笑む。
「ほほほ。心配せずともあとでたっぷりと可愛がってやるぞえ。…つぎは、ここかの。」
女は軽々と信乃の足を持ち上げると金縛りで身動きを取れないのをいいことに信乃の腕に
足を絡ませ、臀部を晒させる。その屈辱的な体勢に信乃は奥歯をかみ締めた。
「怖い顔をするでない。すぐに心地よくしてやるぞえ」
信乃の視線に女はそう答えると指で尻の穴を撫で始めた。むず痒さが信乃を襲う。
「やめろ!気色がわひぅ!」
文句を言うのを邪魔するかのように女は信乃が話している途中で乳首を撫でる。両乳首を
指で撫でながら舌で尻の穴を皺1本ずつ愛撫し、穴をほぐしていく。十分に舐めほぐしてい
るうちに信乃はいつの間にかその刺激が気持ちよくなってきていた。信乃変化に気付いた
女は舐めるのを辞めると裸のどこに持っていたのか小さな小瓶を取り出した。
「な…なんだそれは…何をする気だ!」
透明だがややぬめりのあるその液体に信乃は身を強張らせた。この状態で毒を盛られれば
ひとたまりもないからだ。
「そんなに怯えるな。これは女が髪を梳くのに使う椿の種の絞り汁じゃ。」
女はそう言うと椿油を自らの指に垂らした。ほのかな椿の花の香りが長屋を包み気を落ち
着かせる。しかし、
ズブ!
その後の女の行動と激痛に信乃は声にならない叫び声をあげた。女は油ですべりのよくな
った自らの指を躊躇なく信乃の尻の穴に突き入れたのだ。
「ひ!ぐ…ぐぅ!」
そして指の油を塗りつけるようにぐりぐりと指を回す。回す度に信乃の口からうめき声が
あがった。
「ほほ、すごい締め付けじゃの。」
そう言いながらも難なく女は第一関節ぐらいまで指を引き抜き再び思い切り突き入れる。
「はぐぅ!」
腹の裂けるような激痛に信乃は声を上げる女はそんな信乃の表情を楽しみながら何度も何
度も指を出し入れさせた。そのうちに指の出し入れに尻の穴が順応し始めると、今度は出
し入れの快感が信乃を襲う。尻を犯されるという屈辱を感じながらも本能は更なる快感を
求めている。その証拠に始めに尻を犯されて縮んだはずのモノが今は怒張している。
「女の恥肉に包まれる前に尻の快感を覚えるとはお主には男色の気があるのかえ?」
女の侮辱を否定しようとしたが2本目の指を突き入れられ、苦痛に言葉を出せない。
 その後も女はじっくりと信乃の尻の穴を広げるように出し入れを繰り返し信乃の尻は女
の指3本を受け入れるまで広がっていた。途中何度か絶頂に達しそうになったのだが、女は
絶妙な力加減を持ってそれを留め、信乃の鈴口から噴出した我慢汁で腹は滑り輝いていた。
「そろそろこれが入りそうじゃな。」
再び女はどこからともなくものを取り出した。それはかなりの太さがある張り型でそれを
見た信乃は思わず青ざめた。あれがもうすぐ自分の尻に入れられるという恐怖に顔が引き
つる。
「安心せい。これにもしっかりと椿種の絞り汁が塗られておる。」
陶器のようなその張り型は確かに滑り輝いている。しかしそれでも…と思う暇なく女はや
はり躊躇なく一気に奥まで張り型を突き入れる。
「ひぐぅ!」
女の指3本よりも太い張り型に悲痛の叫びがあがる。しかし特に出し入れされるわけでもな
いのですぐに尻の中は張り型に順応していく。
「しっかりと収まったの。では次じゃ。」
女は信乃の腕に引っ掛けていた足を下ろすと股を閉じさせて再び馬乗りになった。途中股
を閉じるときに張り型が更に奥に入り込み、信乃の口からうめき声が漏れる。
「さて、なぜ足を閉じさせたかわかるかの?」
女は信乃の竿の部分を誨淫部で挟みながら尋ねた。しかし信乃にそんなことわかるはずも
ない。女もただ尋ねてみただけのようだ。
「それはの、こうするためなのじゃ。」
女は嬉々とした表情でそう言うと指をはじいた。その瞬間信乃の尻に収まっている張り型
が激しく振動し始めた。
「ひいぃぃぃ!」
腹に直接伝わる刺激に信乃は叫び声をあげた。否応なしに快感が高められるしかし女は意
のままに振動を操り、絶頂に導かせない。
「気に入ってもらえたかの?ではそろそろ仕上げじゃ。」
そう言うと女はモノの上に跨った。女の様々な攻めで全身が敏感になった中で更にもっと
も敏感な部分が女の秘部の中に埋もれていく。その全方向から来る快感に信乃はあっさり
と絶頂に達し、奥まで突き入れられたと同時に今まで何度も抑え込まれた精液と共に一気
に注ぎ込んでしまった。
「んふ…やはり初めての男の精は美味じゃ。」
顔を高揚させながら女はつぶやいた。
今までにないハイペース(苦笑)
ちょっと現実逃避中で勢いに任せて書いてしまいました。
この起となる平安篇は次で終わりの予定です。
淫魔召喚では書かなかったちょっとハードな部分も書いていきたいと思っています。
しかしバイブやサディスティック等をなしに書くのは
案外難しいですね…

[mente]

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