「うっう〜ん・・あれここは・・?」
「気が付いた?」
僕は声がした方を向いた。そこには黒い髪をした女性と、緑の髪をした男性がいた。
「ここは宿の医務室よ。貴方が女子の脱衣所で倒れてるのを、私とこいつが見つけたの。」
「君大丈夫か?あの状況から見ると、淫魔に犯されていたようだが?」
「正確には手先です。」
僕は脱衣所でティファに襲われた事を言った。そして城を目指して旅していることも・・
「そうか災難だったな・・」
「良くある事だから慣れてきた。それより城のこと何か知ってる?」
「城の事はさっぱり分からないわね、サキュバスを女王の側近でも、捕まえることができたら話は別だけど。」
「側近か・・あっ!」
「どうした?」
「僕ちょっと心当たりあるんで。」
マリアの事を思い出した。そろそろ意識が戻ってるかもしれない、僕はハウスに急いだ。
「小父さん、僕が捕まえたサキュバス目が覚めた。」
「ああ〜あいつか・・スマン坊主!ちょっと目を離した隙に脱獄されたんだ!」
「ええっ〜!!」
僕は少しショックだった。折角手掛かりが手に入ると思ったのに振り出し戻った。
「そうだ!代わり脱獄する前に手紙を渡されたよ、坊主に渡してくれって頼まれて・・中を見たんだが、ハーフエルフ語だから読むことはできなかったが。」
手紙にはこう書かれていた。
「坊やへ、勝手になんか脱獄してご免ね♪クリス様から城に来るように言われたからここに居るわけにはいかなかったの、お詫びに城に行くための道を教えるわ。
この街から西へ行き港に向かいなさい、とはいってもあの辺りにはセイレーンが出るから、船乗り達は船を出してはくれないでしょうね。それでも行くなら自分一人で海を越えないさい・・
海を渡ったら、セルフィ草原を越えなさい、今の時期雪原になっていて寒いから暖かくして行きなさいよ。
その次はロックタウンに向かいなさい、そこにある教会から城へ繋がる隠し通路があるわ、そこからこっちの世界に来るのつまりここからしか来れない訳、分かった?分かったら早く来なさいよ。
それとこの手紙は読んだら直に燃やして!王国の兵士にバレたら大変だからね、この手紙を王に渡したりしたら・・全勢力を挙げて世界を滅ぼすわよ。忘れそうで不安なら持ってていいわよ。」
なんて滅茶苦茶な手紙なんだ・・とにかくこの手紙を燃やすそう。世界を滅ぼされちゃ堪らないし。
「何が書いてあったんだ。」
「待ち合わせ場所。すぐ来いって。」
「そうか、気を付けろよ。」
適当に小父さんを誤魔化すと、僕は町を出た。港はここから一時間もかからない距離だ。
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