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淫魔の復讐 第十一話 共存から戦争へ

「ふあ〜あ・・あれから何日たったのかな・・」
日にちを表している時計を見て、半年眠っていたようだ。本当に半年も経ったのかなと思ったが家具が埃まみれだったので確信できた。
とりあえず、テパの村長に会いに行こうと思った。半年も会ってない筈なのに昨日会ったような感覚だった。そして20分ぐらいしたらテパの村に着いた。いや正確には在った場所だった。
「何これ・・何があったの?・・」
僕は非常時に使われる地下の軍事基地に向かった。そして入り口のドアを叩いた。
「誰じゃ!!」
「僕だよ、ジーニアス・セイジだよ!」
「何じゃと!今開ける暫し待てい、・・おおっジーニアス!」
村長は少し痩せていたが、元気そうなのは相変わらずだったので安心した。他の村人も無事のようだ。
「村長さん村で何があったの!?まさかサキュバスが騙し討ちを!?」
「いや違う、あの日からずっとサキュバス達は我々と共に暮らしていた。最初の頃は互いに恐れあっていたが一月もすると普通に接することができた。我等ディアの国民、王族は共存の道を歩んでいた。しかしそれを良く思ったものがいたのじゃ。」
「一体誰が!」
「お前も知っている筈じゃ、フォルティア帝国の帝王ヴァーグじゃ。」
「ヴァーグが!」
「そう奴はディアに戦争を仕掛けてきた。何とかサキュバスの協力もありフォルティアを滅ぼす事はできた。しかしサキュバスの女王、クリス殿は自分達の原因で戦争が起こった、やはり共存は不可能なのだろうかと、考えてしまった。
ワシ等は必死で否定したが、共に暮らしていると、何時第二、第三ヴァーグが現れるか判らないと言い、半年前に逆戻りとなった。村を壊滅させたのはサキュバスじゃが・・上から受けた命令は村を壊滅させること言い、村だけ破壊して行った。そう村だけな・・村人は一人も死んではおらん、生活に必要な最低限の物まで置いて行ってくれた。抵抗があるのかもしれんな・・村を襲ったのは共に暮らしていた者じゃからな。」
「全てヴァーグが!!」
「そうじゃ奴は死んだが、奴は目的を達成できた。ワシ等は今もサキュバス達を説得しているが・・このままでは共倒れじゃ。ジーニアス、国王に会って来るのじゃ、あの英雄の血を受け継ぐお前なら希望があるかもしれん!」
「分かった。国王は今何処に・・」
「ここから少し離れた所にある。ムーンライトに居られる、お前の家から二番目に近い村じゃ。本当はこの村に居たかったのじゃろうが廃墟では待つこともできんからな。」
「よしっ!じゃあ行ってくるよ。」
「気を付けるんじゃぞ、あの辺りにサキュバスがいないとは言い切れんからの・・」



2時間後・・何事も無くムーンライトに着いた。国王は村長の家に居た。
「久しぶりだなジーニアス。」
「はい、今国で起こってることは、村で聞きました。」
「そうか、なら話は早い、お主にやってもらうのは、サキュバス達の説得だ。再び共存の道を歩むためにな。」
「はい、承知しております。」
「だが、向こうはどちらかが生き残るしか道は無いと考えておる。つまり敵対関係にあるということだ、元々淫魔の中には人間に恨みがある者もいる。そしてお前はあのリースの子孫、サキュバスは皆お前の先祖に沢山の恨みがある。道中サキュバスには気を付けるようにな。」
「はい!」
第二部に突入です。ここからが本編かもしれませんね・・

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