「あれ・・ここはどこ?」
ジーニアスは牢屋の中にいた。確かサキュバスに襲われ、城に連れて行かれる途中に失神してしまった事を思い出した。
牢屋の中で脱出する方法を考えていたら、足音が聞こえてきた。それも一人じゃない二 三人程だった。ジーニアスは慌てて寝たふりをした。
「ん〜、まだ起きないのかな?」
「もう起きてもおかしくない筈よ。多分狸寝入りしてるんじゃない?」
「じゃあ、私が中に入って確かめるわ。セリ、ひょっとしたらこの子逃げちゃうかもしれないから、ドア閉めといて。」
「いいわよ。でも気を付けてよ。シェリナ。」
ジーニアスは気付かれないように、うっすらと目を開けていた。そこにはサキュバスが三人いた。セリと呼ばれたサキュバスは緑色で髪で胸はBぐらいだった。
シェリナと呼ばれた者は腰まである青のロングヘアーで、胸はCとDの間ぐらいの大きさ。
名前は分からないが、もう一人ジーニアスを此処に連れてきたサキュバスだった。
(このサキュバスを人質にすればここから逃げられる)とジーニアスは考えていた。幸い武器も手元にあり、下級魔法ぐらいなら詠唱なしで使える。シェリナが近づいてくるのを待つジーニアス。
完全に近くに来た時。ジーニアスは魔法を使おうとした。
「食らえ!ファイアボール!!」
し〜〜〜〜〜〜ん(あれ?)とジーニアスは思った。
「クスッ、坊やが魔道士だってことは判ってたから、結界が張ってある牢に入れたの。」
「そっそんな・・」
シェリナにそう言われ、脱力してその場に座り込むジーニアス。
「マリア、セリ、女王様を呼んできて。」
「はいはい。」
もう一人はマリアという名前のようだ。二人は上に向かって飛んだ。よく見ると天井には穴が開いていた。女王の部屋に直接繋がってるのだろうか?
「残念だったわね坊や、多分今からこの城全体に結界は張られるわ。その瞬間、あなたは只の可愛い子供になるわね。」
「うるさい!!」
ジーニアスは持っていた剣玉でシェリナを攻撃した。しかしシェリナに当たっただけで、剣玉が木端微塵になった。
「えっ!!何で!!」
「乱暴な子ね、女王様が来るまで遊んであげるわ。」
シェリナはジーニアスの首に手を回し胸元に抱き寄せた。ジーニアス抵抗するが力や体格で勝てるはずもなかった。
「私の胸気持ちいい?」
「うん、んんんっ」
「苦しそうね。」
シェリナはジーニアスを解放した。
「ぷはあ、うう・・」
「気持ちよかった?」
ジーニアスはイヤイヤと首を振った。するとシェリナは残念そうな顔をした。
「そう・・じゃあもっと良い事してあげる。」
突然キスをされたのでジーニアスは何も抵抗できなかった。キスをしてると意識が朦朧としてきた。暫くしてから声が聞こえてきた。
「何してるのですか?」
「これは女王様!何でも御座いません。」
慌てて牢から出て、何事も無かったかのように言う。
「この子が今日捕まえて来た子ですね。」
女王らしきサキュバスがいるが意識がはっきりしてないためよく見えなかった。
「う〜ん???」
「どうしました女王様?」
「この子何所かで会った気がするんです。」
「えっ!!」
牢の中に入りジーニアスの顔を覗き込む女王、ジーニアスもようやく意識が戻ってきた。ジーニアスは女王の顔を見て顔を赤めた。栗色のロングヘアー、凄く大きい胸Gぐらい、何より印象に残るのは緑色の綺麗な瞳だった。
「ねえこの子顔赤くない?」
「女王に一目惚れしたんでしょ。」
「誰が!!」
否定しようとしたが、ますます顔を赤くした。女王は必死に思い出している。そして突然「あっ」と言った。
「思いだしんですか?」
「まだ確証がないから確かめます。失礼・・」
「なっ何するの!?んっ」
女王はジーニアスと深いキスをした。女王の髪からいい匂いがして抵抗する力がでなかった。
「んっうん・・んーーーー」
「んっむうん・・ぷはっ、ふふ、この味間違いありませんね。四千年前、私を倒した者と同じ味です。」
「そうだ。僕はあの英雄リースの子孫だ!!お前を倒すよう、国王の命を受けた者だ!!」
「へぇ〜坊や、あの悪魔の子孫だったんだ。」
「坊やたら、いけない子ね、黙ってるなんて・・」
「でもちょうどよかったわ、そろそろディア王国を滅ぼそうという声も、多くなってきたし。」
「ふふ、あの青年の子孫がサキュバスに捕まったなんて事が、公になったら世界は終焉を迎えますね。この際私達と協力し、人間を滅ぼしませんか?」
「誰も淫魔と協力なんてしないよ!!」
ジーニアスは強く拒んだ。しかし・・・
「そうですか、少し二人で話したいので、席を外してください。」
「分かりました。」
三人は女王に言われると牢獄から出て行った。女王は深刻な顔をして話始めた。
「貴方は人間に強い恨みがありましたね。何故人間の味方をするのですか?」
「うっ、恨みなんてないよ!」
「本当ですか?知ってますよ、貴方の父が異種族の女性と結ばれ、フォルティア帝国で差別され続け、ディア王国に亡命した事。」
女王の口から自分の過去を言われ、哀しい顔をするジーニアス。
「父は暗殺、母は公開処刑され、姉は兵士に捕まり、薄汚い研究所で休む間も無く研究を強いられ過労死。貴方は帝国の追手から逃げ続け、どこでも受け入れられず、辺境で暮らしていたこと。あなたから大切な物を全て奪ったのは、紛れも無く人間です。」
「うっ・・グスッ・・ヘグッ・・」
忘れたい事を言われ泣き出すジーニアス。泣き声を出さないようにしようとするが、哀しみに堪えれず声が出てしまった。しかし数分後には泣き止めた。
「私達に協力すればフォルティアを滅ぼすのに手も貸します、それに快楽の毎日が貴方を待っていますよ。どうします?協力してくれますか?」
「いやだよ。」
「何故です?」
「人間は憎いよ、でも滅ぼしたところで差別は無くならない、何の解決にもならないよ。」
「意志は堅いようですね、じゃあ一つゲームをしませんか?」
「ゲーム?何するのさ??」
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