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スライムバスター 最終戦

激戦の末、僕は敵の首領である少女レベッカを絶頂に導いた。
今でも信じられない。たくさんの偶然がなければ勝てる戦いではなかった。

「あ、ああぁ・・・そんなバカな・・・あのお方がバトルファックで負けるなんてありえないわ。」
意識を取り戻したライムは唇を震わせ、絶頂に達した少女が光の中に消えていく様を見つめている。

肩をがっくりと落とし、床に手をついたまま愕然とする彼女に、僕は声をかけた。
「ねえ、ライム・・・」
僕の声に肩をビクッとさせ、怯えるように振り返る彼女。
「なによ。 今度はあたしを消すの?・・・」
呪縛を解かれた神官長ミサが見守る中、僕は彼女にある選択を強いることになる。

「そうじゃなくてさ・・・うまく言えないんだけど、僕のところに来ないか?」
僕の提案に、目を丸くするライム。
しかしすぐに僕をキッとにらみつける。
「な、なによそれ! 私に情けをかける気なの!? 『こいつ行くところもないだろうから、かわいそうに・・・』って。捨て猫じゃあるまいし、ふざけないでよ・・・さっさと殺しなさいよ!!」
負けたからには潔く死にたい、か・・・いかにも気丈な彼女らしい返答だ。
僕は首を小さく横に振る。

「そうじゃないよ。君の中に、僕の大事な人たちが3人住み着いちゃったんだ。
スライムのルル・ミリア・メタリカなんだけどさ・・・もうライムの魂に溶け込んじゃってるみたいなんだよね。」
これが僕の提案の理由だった。
実際に、スライムリングから解放された彼女たち3人の魂を拾い上げる術がない。
普通なら解放と同時に魂が消滅してしまうのがスライムリングに宿る彼女たちの宿命。
たけど、今は奇跡的にライムの身体の中で生きている。

「だから、その・・・僕も彼女たちとは離れたくないし。」
「私に彼女たち3人の魂の器になれというの?? 死ぬよりも辛い選択をしろというの? あなたってひどい人・・・」
今度は泣きそうな顔をするライム。
うぅ・・・なんとなく気まずい展開だな。
たしかにこれだけだと、残酷な提案に聞こえてしまうかもしれない。
だけど・・・

「ち、ちがうよ! 器になって欲しいんじゃないよ、僕はライムのこともちょっと・・・いや、かなり好きなんだ。」
「っ!!!」
これまで一番の驚きを見せるライム。
こっちのほうがもっとドキドキしてるんだけどね・・・思わず告白してしまった。
僕はやっぱりライムみたいな女性が大好きなんだよね。
勝気で、クールで、スタイルが良くてエッチが上手な人。こんな人とはなかなか出会えない。

「い、いけませんわ!ウィルさん・・・相手はこの神殿を混乱させた大罪人ですよ!」
神官長ミサがあわてて僕の言葉をさえぎろうとする。
でも僕はミサの言葉を無視してライムを見つめていた。
僕と見つめあって、しばらく黙っていたライムが突然クスっと笑い出す。

「いいわよ。あなたについていってあげるわ。そうしないと、他の3人が頭の中で暴れだして毎晩眠れなそうだし・・・。
ただし、私はまだあなたのことを好きでもないし、これからも好きにならないかもしれない。それと、気を抜いたら今度は本当に脚奴隷にしちゃうからね? それともすでに私の責めが忘れられないのかしら・・・まあいいわ、ふふっ♪ いきましょ、ウィルの家に。」
ライムは立ち上がると、僕に腕を絡ませて僕の頬に軽くキスをした。

そのあと、小声で僕にささやいてきた。
(ねえ、ウィル? あなたといっしょになるなら、私は無罪放免よね?)
ライムがパチッとウィンクをする。やっぱり計算高い女性だなぁ。
僕は神官たちに見えないように、小さく頷いてその場をあとにした。



あれから半年・・・僕たちは幸せに暮らしている。

神官たちには僕からお願いをして、今回の報酬を受け取らないかわりにライムの無罪放免と彼女の管理権限を与えてもらうことにした。
「即刻死刑に!」という反対意見が多数の中、神官長の鶴の一声でライムは執行猶予の身となった。

僕と一緒の暮らしにライムも始めのうちは戸惑っていたけど、多重人格を楽しめるようになってきたようだ。
ルルと一緒の夜は「お兄ちゃ〜ん」と妹のようにひたすら彼女が甘えてくる。
ミリアの時はその逆で「おねえさま・・・」と僕が甘えさせてもらう。
メタリカが出てくる夜は、エッチ抜きで徹夜でひたすら遊んだり・・・
ライムの夜は恋人(候補)同士として?抱きしめあう。
相変わらず、僕は彼女の脚責めに勝てそうもない・・・ちょっとくやしいけど、気持ちいいからしょうがない。

僕らはいつも2人組みで行動して、ハンターたちと共に敵と戦っている。
ライムの活躍のおかげで、僕のスライムバスターとしての名前も売れてきた。
今度は氷山が浮かぶような北の国に遠征する予定だ。

僕にとっては念願の彼女も出来たわけだし、どんなに強い敵が現れても二人ならがんばっていけるような気がする。

次はどんな相手なのだろう・・・僕は彼女の手をぎゅっと握り締めた。
ハッピーエンドにしちゃいました(笑)
読んでくださった方々に感謝です
ありがとうございました

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