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エッチバトル戦争第10話「コートルークにて」

翌朝、船は無事にコートルークへとたどり着いた
南西大陸は僕らのアジトがある中央大陸に比べると賑わいがある
実際、港町コートルークは最大の都市でもあった


「これから、どうするんだ?」
船を下りた後、適当に朝飯を取ることにした僕と先輩は近くの喫茶店のようなところで落ち着いていた
「まずはイージス島に忍び込む方法を考えないといけませんね」
「しかしイージス島は周りがクラウ湖に囲まれた孤島だ、あそこは口淫魔の本拠地でもある」
「船の当てもない…ですね」
「ああ…」
僕と先輩はふうとため息をつく、ここで行き詰まることはある程度予想できてはいたが、いざ実際になってしまうと途方に暮れる
「仕方がない、とりあえず今日はこの町で情報収集といくか…待ち合わせ場所を決めとこう」
「はい」
食事を終え、僕等は立ち上がった


結局、正午に一度宿屋に集合という形になり、僕と先輩は別れた
コートルークはかなり広い町だ、迷ってしまうということもある
慎重に、地図を見ながらいかないと…
と、地図を見ながら歩いていた僕の体と誰かの体がぶつかってしまった
「すいません」
謝る、しかしグズグズしてもいられない、それだけ言って僕はその場を離れようとした
が、その体をぶつけてしまった人物は僕の肩を掴んできた
「……?」
「………」
振り向く僕、相手は黒いフードを被っていて顔が伺えない
だが、少し見えた眼鏡…緑の髪…
「っ!?」
僕は思わず後ずさる、相手は笑ったように見えた
「久しぶりね、スーク……だったかしら?」
「お前は…!」
そう、忘れもしない
相手はフードを取った、戦慄する
「チロ…」
手淫魔の幹部、チロ
イートルさんを殺し、僕を苦しめた上級淫魔だ
「何故、お前がこんなところに…!」
「人間達はホントに鈍感ね…ちょっと気配を消しただけで淫魔との区別もつかなくなっちゃうんだから」
「くっ…」
確かに僕もコイツの気配に気づかなかった
つまり、いつでも犯れる、そういう意味だろう
「そんなに怖い顔をしないで…今日は戦いに来たわけではないわ」
「何だと…」
僕はこみ上げてくる怒りをなんとか抑えながら、問う
「話…正確にいえば交渉、かしら」
「断る」
僕は即答した
「つれないわね」
「淫魔と話すことなんてない…何よりお前は、イートルさんを殺した…ここじゃなかったら速攻でお前を倒してるところだ」
「ふふふ、一度私に勝ったぐらいでいい気になってるの…?あの時の私の力は、全力の半分程度だったというのに」
「負け惜しみを…」
「まぁ、そう思うわよね…」
「ここで戦う気は無いし、お前達手淫魔勢はもうおしまいだろう…」
チロは肩をすくめる、否定はしないようだ
「そうね、でもやられてばっかではない」
「………」
「私のメンツもあるし、何よりテオナ様に申し訳が立たないわ」
「テオナ…?」
「あら、知らなかったかしら…私達のリーダー、極淫魔よ」
「極淫魔……」
初めて淫魔から聞く“極淫魔”の存在
それは僕を震えあがらせた
「テオナ様があなたに会いたがっているわ」
「何故僕みたいな人間に極淫魔が会いたがるんだ」
「私を退けた力を見込んだ…からね」
「?」
僕は頭の中で疑問符を浮かべる
さっきからコイツの言っている意図がわからない
「会ってどうするんだ?」
「我ら手淫魔勢は口淫魔に最後の戦いを申し込む…」
「何?」
僕の言葉など気にせず、チロは続ける
「あなたにもそれに協力してほしいのよ、スーク」
「な……!!」
驚愕するしかなかった
淫魔が人間に協力を申し込むなど
「何を…ふざけるのもいい加減にしろ!」
「あら、あなたに断ることができるの?………アキさんを救いたいんでしょう」
「…………」
そんなことまで知っているとは
淫魔の情報網はかなりのものかもしれない
「どうする?私達ならイージス島まで潜入することは容易よ」
「…………」
「ただ、あなたにも少し淫魔殲滅に協力してもらうことはあると思う…今回の作戦は本当の総力戦、向こうの極淫魔“クー”を倒すことまで考えてあるから」
クー
それが口淫魔の極淫魔……ってことか
冷静に考える
ここで手淫魔と同盟を結び、口淫魔を倒す
それは僕達人間にとって悪いことではないだろう、手淫魔ももはや風前の灯火だ
一気に2勢力がいなくなれば、これからの戦いはぐっと楽になる
だが、問題は……
(淫魔と協力するってことだ…)
人間と淫魔の協力
この世界で言う、倫理破壊と言っても他言ではない
それくらい恐ろしいことだ…
だが、このままではアキが救えない
どうすればいい……?
僕はしばらく考えたが、ようやく一つにまとめる
「……とりあえずアンタのボスに会わせてくれ、話はそれからだ」
「ふふふ…少しは脈ありと判断してもいいのかな?」
「勘違いするな…僕はまだ協力するとは言ってない」
「十分よ、今は会ってくれるだけで」
その後、チロは待ち合わせ場所を教えてくれた
場所はここから少し南に行ったところにある洞窟
隠し砦というやつか
どうやら手淫魔の今の本陣はそこらしい




正午が過ぎ、僕と先輩は一度宿屋に戻り、状況報告
僕は何もなかったと嘘をついた
そして再び午後、探索開始
町をぶらぶらと歩いたが、すっかり情報収集という気分ではなかった
(このことは先輩には話せない…)
話せば、僕と先輩は敵同士になってしまうような気がしたから
アキを救う、そのことばかりを考えてきたが
(もしかして…僕は道を間違えているのか?)
町並みが夕焼けに染まる





続く
バトルはなくてしかも短いです、すいません

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