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スライムバスター 八戦目 その1

晴れてスライムバスターとなった僕に、早速仕事の依頼が来た。
「試験あけで疲れているところすまないな、ウィルくん」
いつもお世話になっている村役場の人が、僕に依頼書を届けてくれた。

この付近の洞窟に住み着いた淫魔数匹を、戦士たち一行が討伐に向かった。
しかし旅立ちから一週間以上経つが戻ってこない。
そこで僕に洞窟の様子を見てきて欲しい・・・というのが依頼内容だった。

普通に考えて、パーティーは全滅している可能性が高い。
つまり、危険な仕事だ。
また、淫魔たちの構成もわからないのではスライムバスターの僕じゃなくてもいいような気がするが・・・
「すまんね、人手不足なんだ。報酬はいつものところに預けておくから、何とか引き受けてくれ」

彼から報酬額の書いてある紙を受け取ってみると、なんといつもの50倍くらいの金額だ!
スライムバスターになると仕事の料金体系も変わるものらしい。
「急な仕事依頼だから、出来る限り金額は弾ませてもらったよ。なあ、頼むよ。」
僕は金額に驚きつつも、この危険な仕事を引き受けることにした。


洞窟に近づくと、まず中が明るいことに驚かされた。
永久式のたいまつが壁にいくつも取り付けられている。僕は慎重に奥に進んだ。
中はけっこう曲がりくねっていて、歩きにくかった。
4つ目の角を曲がったところで、淫魔の死体を2体見つけた。

道を進むにしたがって、死体の数が増えていく。
中に入ったのは、かなりベテランのパーティーなのだろう。
もしかしたら今も戦っているのかもしれないな。

一時間ほど歩いたところで、急に視界が広がった。水の流れる音がする・・・
僕は大きな滝の裏側まで来てしまった。おかしいな? この辺には滝なんてないのに??
「あら、今度はまたかわいい男の子がきたこと!」
不思議に思う僕の耳に、透き通るような女性の声が響く。

声のする方向に目をやると、濃い青色の髪をした女性が僕を見て微笑んでいた。
「お、おまえはっ!」 僕はその容貌に見覚えがあった。
とたんに僕は養成学校の教本の1ページを思い出した。
水辺の妖精。その美しさで人を惑わし、水とともに人間を飲み込む。
スライムを作り出した元になっている古典的な存在。

ウンディーネ・・・人はその淫魔をそう呼ぶのだった。
今回はちゃんとバトルになります(きっと)。

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