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エッチバトル戦争第3話「戦争の中」

「くっ…」
僕はチロに馬乗りにされた状態になり、明らかに危機的状況だ
「フフ、一気に溶かして裸にすることもできるけど…じわじわと弄ってあげる」
知性的に眼鏡が光る、そこに淫魔としての影を見ることもできる
僕はなんとかこの状況を脱出しようと、右へ左へと体をひねってみる
「へぇ、並の男なら私に馬乗りされただけで抵抗する気力もなくなるのに…さすが精鋭ってところかしら?」
チロは感心したように呟くと白衣のポケットから何か青い液体の入った小さな瓶を出す
それの蓋を開け、少し飲む
そして僕の唇にキスをしてくる
「んっ…!」
「んふ…」
抵抗しようと顔を左右に振ろうとするが、チロはそれを見越したかのように僕の頬に両手を添え、顔を固定する
これで逃げられなくなってしまった
「んぐ、ぐ……」
「………」
口の中で抵抗しようともがくが、チロはその中にさっき自分の飲んだ青い液体を口移しで飲ませてくる
キスの上手さはチロの方が数段上だった、成す術なく強制的に飲まされていく…
やがてすべて飲ませた後、チロは僕の唇を解放する
「くっ、何を……」
「ちょっとあなたに大人しくなってもらうわ…」
「うぐっ……」
この感覚…体の芯から痺れてくる!?
「何、簡単な痺れ薬…5分もすれば回復するわ…」
そしてその間に防護服はどんどん脱がされていく…
「もっとも…それまでに君は私に命を吸い尽くされているわけだけど?」
「う、ぐ、…く」
抵抗しようにも、まるで力が出ない…
上級淫魔…明らかに普通の淫魔より知能も身体能力も数段上だ
「ほぉら、全部脱げちゃった…」
「!」
ついに僕はすべてを剥かれた
僕を守るべきものはない…
そしてペニスはすっかり元気になってしまっている
上級淫魔のフェロモンとでもいうのだろうか?
そのすべてが、僕の性欲を高ぶらせる…
「さぁ、私の手で果てなさい…」
そして、チロの手がペニスを掴む
「うわぁああああ!!」
僕はその質感、感覚に思わず悲鳴を上げた
さっき戦った手淫魔以上に綺麗に、さらさらとした手
まさに男をイカせるためだけに作られたような手だ
「新米のあなたが、玄米である私の手に踊らされて果てないはずもないでしょう?」
言いながら、5本の指先の爪でペニスを包み根元から亀頭までをやさしく引っ掻いてくる
「く、あ……」
その下から上へ移動する爪の動きを吟味する度、力が抜けていく…
まるで、精液を根元から引っ張りだしてるみたいだ…
「さぁ、我慢汁も出てきた…そろそろ限界も近いみたいね」
亀頭から透明な汁が出てきたのを確認し、チロは妖しく微笑む
「さぁ、私の爪でイキなさい?」
そしてチロは根元から亀頭へ移動する爪の感覚をどんどん短くしていく
最後には、亀頭を集中的に爪で弄ってくる
「や、めて…」
「ふふ、私は淫魔、あなたは人間…この状況でやめると思って?」
「あ、ぐぅ……」
あと一歩で射精してしまうのを、僕は必死に堪える
一度出せば後は死ぬまで吸われる…
それが人間の運命、ましてや相手は上級淫魔だ
さっきのように一度回復してもう一度戦える、なんてことはありえないだろう
「…………」
もはや声を出すことさえできない
出してしまったら気を緩めて生の象徴さえも出してしまうだろう
だが、チロはそんな僕の希望を無慈悲にも打ち砕く
「私の計略にあなたは支配されるしかない…トドメよ」
チロは人差し指の爪で先端を優しく引っ掻く
それが最後だった
ドピュピュピュピュピュピュッピュピュッ!!
白濁液がまるで噴水のように亀頭から飛び出る
それはチロの白衣や顔を汚していく
「フフフ…我慢できなかったわね」
「あ、あぁぁぁ……」
僕はヒクヒクと痙攣し、チロの汚れた姿を虚ろな目でしか見ることができない
「あなたのその絶望した顔、最高ね…いえ、むしろ希望?」
チロは顔にかかった精液を舐めとりながら嬉しげに言う
「私と最後のエッチが出来ることを光栄に思いながら死ぬことね…彼のように」
チロはそう言うと横たわり息絶えているイートルさんを一瞥する
「イー…トルさん…」
「フフフ、死ぬのが怖い…?でも安心して、一切の痛みなく、楽に死ねるから…」
そしてチロは僕に覆い被さる…





やっぱ、僕なんかが上級淫魔に勝てるわけなかったんだ…
ちょっと普通の淫魔に勝ったからって、調子に乗りすぎたかな…
でもいいさ、僕の敵はきっと…先輩達が…討って、くれる…
もう…眠くなってきた、かな…
だから僕は目を閉じる…




………何だ?

光が見える
僕は死んだんじゃないのか?
だが、僕の体はその光に感応するかのように動こうとしている
「僕は…まだ、動ける…のか?」
まだ希望はある
「戦えるなら…戦うよ、僕は……」
そうだ
僕はまだ死ぬわけにはいかない
帰るべき場所があるから
そして、守るべき人がいるから――






「………ぁぁぁああああああああああっ!!」
「!?」
突如大声を上げた僕に驚愕の表情を見せるチロ
思わず後ろへ飛び退く
僕は……立ち上がった
「何……馬鹿な、完全にイったはずじゃ!」
「僕は……」
僕は、ゆっくりとチロに近づく
「僕はレジスタンス精鋭の一人、スーク・グレイヴだ!!」
そして、僕の手が
チロの体を捕らえて
その胸を白衣越しに揉む
「い、いやぁああ!」
初めて聞く、上級淫魔、チロの悲鳴
それにも構わず、僕は彼女の胸を揉み続ける
「そ、そんな…この上級淫魔である私が、胸だけで!?」
「おおおおおおおおおおっ!!」
その満ち溢れる闘志に
チロは恐怖した
「くっ……覚えておきなさい!」
チロはなんとか僕の攻撃をかわし、距離を取ると、そのまま音もなく消えた
後に残ったのは、僕だけ
僕は、静かになった戦場を、息を絶え絶えにして、見やる
「僕は……勝った、のか…上級、淫魔に…」
さっきまで彼女の胸を揉んでいた自分の手を見る
「嘘みたいだな…なんだろう、あの光は…」
自らの意識が混濁とした中で見た、あの光
あの光に導かれるかのように、僕は立ち上がったんだ
「僕は…」
そして僕の意識は
途絶えた





ここは手淫魔軍勢の本部、レジスタンス本部からは遥か南の大陸に位置する
“エストイル山”
「…そうですか、人間であなたを退ける程の能力を持つ人がいるんですか…」
「申し訳ありませんテオナ様、主力部隊も我が部下達を撃破し、電波塔奪取は失敗に終わりました」
一室
報告をする者と聞く者
する者は、チロ、手淫魔勢の幹部
そして、聞く者は…
「人間はもう壊滅的だと思ってましたが…そうでもないようですね?」
まだ何処か、子供っぽさが残る声
黒い髪のウインド、そして体つきも、まだ中学生ぐらいだろう
彼女は制服のようなものを着ている
一つ異質な点…それは自らの手を、黒い手袋で保護しているところか
少女には似合わぬ無骨な印象を受ける
「わかりましたチロ、あなたはもう下がっていいです、次の命令があるまで待機してください」
「了解しました」
チロは敬礼のようなポーズを取ると、そのままその部屋を去っていく
一人残された少女は、ニコリと純粋に微笑む
「私も会いたくなっちゃいましたよ…スーク、ですか…」
この少女は、テオナ
淫魔、だがこの手淫魔勢を統べる者
“極淫魔”でもある存在だ





「任務、ご苦労だった」
レジスタンス本部の出頭所、カーリッジ隊長の前に僕と先輩、後はサバウト隊長率いる4人の増援部隊がいる
…ただ一人、イートルさんの姿はなかった
報告をするのはサバウト隊長だ
「電波塔内部で手淫魔の一派を確認、首謀者は幹部のチロでしたが、全員撃退に成功しました」
「うむ、任務は成功だな…特にスーク、お前は英雄レベルの実績だ、上級淫魔を退けるとはな」
「はい、しかし逃してしまいました」
「いや、初任務でそこまで出来るものは未だかつて一人もいなかったよ…お前はこれからもっと強くなるだろう、期待させてくれ」
「はっ、ありがとうございます、隊長」
カーリッジ隊長は満足げに微笑む
「残念ですが、イートル隊員の犠牲がありました…」
サバウト隊長からの犠牲者の報告
喜びの空気は、そこで途絶える
「そうか…残念だ……」
「………」
鎮痛な空気、増援部隊の隊員の中には涙ぐんでる人もいた
「ここで彼に、黙祷をささげる」
カーリッジ隊長の言葉は、悲しみだった




「先輩」
「なんだ、スーク?」
報告が終わった後、僕は先輩に声をかける
「こんなに簡単に人って、死ぬんですね…これが、戦争なんですね……」
「……………」
「ほんの数分前までは、仲良く話をしていたのに……」
「………一人でも犠牲者を減らし、全ての淫魔を倒す、それが俺たちレジスタンスの役目だ」
「………はい」
「犠牲を忘れるな、その人の存在を、決して忘れるな…」
僕はショックだった
あのイートルさんの死んだ顔、すべてを吸い尽くされ絶望に歪んだ顔…
僕は忘れない、この戦いの日々を
そして戦う、すべてが終わる時まで……




続く
電波塔編終了
短くするとかいいながらプロローグみたいな話で随分長くなってるなぁ

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