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乳魔(5)

ぴゅる、ぴゅる、ぴゅるるっ  

幾分勢いの衰えた射精が、草にぶつかって弾ける。
コールは無様に突っ伏したまま、乳魔の嘲笑を聞くしかなかった。

「ほんとにもー、指一本ですよ指一本? それでイっちゃうってゆーならふつーに手コキなんかしてあげちゃったら発狂しちゃうんじゃないですか? フェラなんてしたら死んじゃうかもですよ? わたし、お兄さんに何してあげたらいいんですか?」

乳魔は呆れるほど無邪気に笑う。
子供特有の残酷さを含んだ無邪気さ。
それが、侮蔑のためだけに吐かれているはずの言葉に、素直さ正直さのエッセンスを加えて。
より耐え難い憎らしさとなった少女の侮蔑が、這い蹲ったコールの上に容赦なく降り注いでいく。

「………っ!」

それほどまでに侮辱されて、しかし、やはりコールには何もできなかった。

畜生! 畜生!! 畜生!!!

屈辱にハラワタは煮えくり返っている。
だが、コールの心を支配しているのはもはやそれだけではなかった。
煮えくり返った腹のさらに奥底から、重く冷たい塊が浮かび上がりかけている。

ダメだ!

コールは必死にその塊を抑えこもうとした。
それが浮かんだら、本当に負けてしまう。

コールは歯を食いしばって、必死にスティアの姿を思い出した。
不貞腐れたような顔で、でも赤い頬で、自分に寄り添ったままうつむいていた少女。
そのぬくもり。
あの約束。



ぱちん。

乳魔が指を鳴らした。

「かはっ!!」

腰を突き上げたまま痙攣していた体が、草の上に崩れ落ちることを許される。
コールは貪るように息を吸った。
自分の精液と草いきれで、ひどく青くさかった。

「ねぇ、お兄さん? わたし、どうしたらいいですか?」

呪縛を解いた乳魔が笑う。
あどけない笑顔の下で、艶かしく揺れる乳房。
この世のものとは思えない、凄艶たる光景だった。

「わたしがどんなふーにしてあげたら、お兄さんとの間にあるこのメチャクチャな実力の差が埋まるんでしょーか? わたしには全然分からないです。てへ♪」

ちろっと薄桃色の舌を出す乳魔の前に、コールは立ち上がった。

「…教えてやろうか」

残された気力の全てを込めて乳魔を睨む。

「ぜひぜひ♪」

少女は微塵も怯まない。
そんなことは分かっている。
オレを舐め切っているんだろう?
なら、今度こそ痛い目を見せてやる。

「そこの木に手をついて… 尻をこっちに向けろ!」

「あは、そんなのでいーんです? じゃー、さっそく」

乳魔は拍子抜けするほど素直に、手近な木に手をつく。
そして前かがみになると、コールに小さなヒップを大胆に突き出した。
ふるるん。真下に向いた乳房が揺れる。
一度重力に引っ張られて砲弾型になり、それに逆らって元の半球に戻る。その反動で揺れる。
常軌を逸した弾力を見せびらかしながら、乳魔の乳房が揺れる。

「これでいいですか? これでわたしとお兄さんが逆レイプじゃなくてバトルファックできるようになるんですか?」

少女が振り返って微笑む前に、コールは視線を胸から尻へと戻していた。

「……そうだ。そのままにしてろよ」

そうだ。そのままなら、
もうお前のその乳は、オレに押し付けられることは無い!

コールは少女のヒップに殺到した。
ぶらん、と揺れた腰の逸物が、一瞬のうちにびし、とその位置を定める。
こちらもまた、類まれなるペニス。
幾多の訓練、幾多の試合、幾多の実戦で磨きぬかれた男の勲章。

「今から、オレがイかせてやる!!」

ずちゅり。

コールのペニスが、背後から乳魔の膣へとねじこまれた。





「くすっ…… 正々堂々正面から勝負しても勝てないって認めたんですねっ♪」
「認めて欲しけりゃ認めてやるよ…… そらっ!」
「あんっ♪」

ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……

少女の中は、すでにしっとりと潤っていた。
愛液の渦をさらにかき回すように、コールは剛直を送り込む。
浅く、深く、深く、浅く、そして凄く深く。
まさに益荒男という言葉がふさわしい荒々しい突き込みの中に、繊細な緩急が溶け込んだ至高の絶技。
鍛え抜かれた筋肉のみが可能にするその腰さばきに、少女の細い腰は激流の笹舟のように跳ね回った。

「そら、そら、そらっ!」
「あんっ、あんっ、あぁんっ!!」

ずちゅっ! ずちゅっ!!

愛液の音に粘りが混ざり始める。
それと比例して、少女の声に甘さが混ざり始める。

一度は乳魔を圧倒した、コールの腰技。
それが、乳房の無い無防備な背後から、少女にあらん限り叩きつけられている。
たくましい肉体のなすがままに踊る華奢な体。
誰が見ても、コールの優勢に思えた。
コールも、自分が有利だと思った。

それなのに。

笑っているのは少女で、歯を食いしばっているのはコールだった。

「そらっ! く… そらっ!! く…あ… 」
「あんっ、あんっ!! うふふ、あんあんっ♪」

コールの裏筋を、少女のカズノコ天井が擦っていた。
女体の天井、膣の上壁に群生し、侵入者を摩り下ろさんと絡みつく肉の粒。
擦る度に襞がよじれ、微妙に並びが変化する。
常に新鮮な快感を、一往復ごとに敏感な裏筋めがけてなすりこまれ、コールのペニスはぐんぐん膨れ、反り返っていく。

「ぐっ…… そらそらっ! そらぁ!!」

ヤバい。
正常位で入れた時との感覚の差に、コールは戸惑い焦りながら、腰を突き込む。
狙うは少女のGスポット。一度目の挿入ですでに探り当てた弱点!!

「あんっ… うふふ、ねぇ、どうしました? もっともっと。あぁんっ♪」

少女の笑い声。

一度目の挿入の時、反り返った亀頭で思う存分掻き回し、掠れた嬌声を上げさせた少女のGスポット。
それは、膣の上壁についていた。
どんなに力強く腰を動かしても、反り返った亀頭は自ら逸れて、少女の下壁を擦るばかり。

「そらっ…… このっ! そらぁっ!! あふぅっ!!!」

コールは泣きそうな顔で、腰を送り込み続けた。
腰技だけなら、一度は圧倒していた。
乳房さえなければ、自分が上だと思った。
油断は焦りに変わり、焦りは絶望に変わる。
コールは気がついてしまった。
自分がまたも少女の胸の内で踊らされてしまったことに。



乳魔の膣は、バックからの責めに特化されていた。



少女が首をねじって振り返った。
もちろん、笑っていた。
泣きそうな顔のコールと目があった。
コールは目を伏せ、必死に腰を送り込み続けた。
少女の細い腰を掴んで、少しでもその死の舞踏を押し止めようとした。

少女が膣を搾った。

「うっ!」

力が抜けた瞬間、少女の腰が跳ねた。
元気良く、リズミカルに、倍も大きなコールの腰に襲い掛かった。

「はぁぁ!!」

少女に見つめられながら、コールは喉を仰け反らせた。
たまらず腰を引いて逃げようとする。

腫れ上がった亀頭が、少女の狭い膣口に引っかかった。



「くすっ……♪」



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

鍛え抜かれたはずの精神が、少女の微笑でパニックを起こした。
狂ったように腰を振るコール。
速く力強く、だがガムシャラなだけのその攻撃は、文字通り淫魔の餌食だった。
少女の腰は柳枝のように優美に艶雅に舞った。

淫魔ハンター養成学校でも初歩の初歩によく見られる、男が女に敗れる構図だった。



「ウソだっ… そんなっ… ダメっ… あっ… ああっ……!!」

「どうしたんですかお兄さん? こうしたら勝てるんじゃなかったんですか? なんか全然勝負になってませんよ?」

「ちくしょうっ! お前、ずるっ、分かって… うはぁぁ!!」

「はい? なんですわたしがずるいんですか? どーして? わたしお兄さんの言うようにしてあげただけですよ?」

「このっ…… うあああああああ!!!」

「お兄さん? どうしたんですか? なんかお兄さんのおちんちんがわたしの中でピクピクしてますよ? これってイっちゃう前の感じにひじょーに良く似てるんですけどひょっとしてもうおしまいですか? まさか、入れる前はあんなに自身満々だったのにそんなことないですよね?」

「くっ…… まだまだ…… くぅっ……!!」

「あん。どーして腰、止めるんですか? わたしまだあんまり気持ちよくなってないのにー」

「……! …………!!」

「わ、お兄さん。おちんちんがぷくーってなりましたよ? ほんとにもうダメなんですか? お前をイかせてやるーって大見得切ったのに、こんな程度で終わっちゃうんですか?」



柔らかい体を捻って、少女がコールの顔を覗き込む。
顔をくしゃくしゃに歪めて唇を噛み、最後の抵抗を試みているコールに、少女は笑顔で囁いた。



「おっぱいなしでも、負けちゃうんですね」



どびゅううううううう!!!

コールは射精した。

食いしばった歯の間から悲鳴が漏れ、頬が緩み、目が虚ろになり、口が半開きになって涎が流れ落ちて、

そして、最後に目から涙が溢れるまでを、少女につぶさに観察されながら、

コールは盛大に、乳魔の中に敗北の証をぶちまけた。
いろいろ悩んだがまだ2、3話犯されたり無い感じだ。
全てを開き直りつつ投稿。一人でも多くの未来ある精子たちがこの乳魔たんの胸にかかって散って逝くことを願って。

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