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【ウルキオラ×織姫】

避けようと思えばよけられたものを、何故避けようとしなかったのか。

打たれた頬に、対して痛みは感じない。人間の、それもこんな小娘の力などたかが知れている。
それなのに体の奥底が軋むように痛む。
扉を閉めると、白い壁越しに響く少女の嗚咽が鼓膜を震わせ、それがまた、体の奥底を掻き毟った。

仲間の力が弱まっている。死んではいないが、霊圧は微弱になりつつある。
放って置けば死に至る。
自分の力を信じ、必要だと言ってくれた友人の死が間近に迫りつつあるというのに、
この白い部屋に閉じ込められた自分は動くことも出来ず、死を迎える事実を拒絶した。
白い顔の男の言葉を思い出す。

「食事だ。食え」

死を目前にした友人がいるというのに、自らは生きる為に食事をするなんて、こんな理不尽なことはない。
仲間達は自分の為に命を削っているというのに、こんな部屋でのうのうと食事をするなんて出来るわけがない。

いっそ、縛り付けて、意識を奪って、植物のようにしてくれたらどんなに楽だろう。
自らの嗚咽に、余計悲しみが色を濃くする。
これではいけない。自分が悲しんでどうする。自分に出来ることを探さないとと叱咤し、涙を拭う。
目の前に置かれた食事。あと1時間後にはあの男がまたやって来る。
これを食べなければ何をされるか分からない。
縛り付けられること、自らが苦しむことに抵抗は感じない。
恐ろしいのは自分だけが生きることだった。

あの女は食事を摂っただろうか、と頭が思考する。
摂らなければ無理やりにでも口を抉じ開けて押し込んでやるだろう。
あの女は自分のことに関しては無頓着もいいものだった。


仲間の心配だけ。いつもそれだった。
命を繋ぐ食事も気まずそうに摂る。
考え込むような咀嚼をする。
石でも飲み込むように嚥下する。
呼吸すら苦しそうにしている。
だが、それがどうしたというのか。あの女が生きていればそれでいい筈。
あの女は我々にとって有益な人間である、ただそれだけだと言うのに、何故空虚な体が軋むのか。

「入るぞ」

白い扉が開き、白い男が足を踏み込む。
暗い翠の瞳は鈍く闇の深淵を映しながら少女を射抜くように見つめた。

「食ったのか?」

少女は顔を背けて応えない。卓上に置かれた食事を見遣ると、案の定手は付けられていない。
ふと、苛立ちが全身を駆け巡った。

「自分の体のことを考えろ」

少女は灰色の瞳に迷いを見せながら男を見上げる。

「食わなければ人間は死ぬ」
「…いいよ、死んだって」

そう言いながら微笑む顔は、酷く悲しげで。

「仲間が…友達が死ぬのに、自分だけ生きていたって意味がないよ」
「お前は藍染様の為に身も心も捧げた筈だ。戯言を言うな」

少女の手首を荒々しく掴むとそのままソファに捩じ伏せる。右足で体を押さえつけ、空いた手でスープ状の食物を乗せたスプーンを取り、
口元へと押し付ける。

「…食え」


少女は目を伏せ、唇をかみ締めて抵抗する。その代わり暴れたりはしない。ただじっと耐えるかのように、この世界を拒絶するかのように。
銀色のスプーンで唇を無理やり開かせ奥へと押し込むと、歯にカチリとぶつかった。
手の拘束を解き、少女の鼻へ持っていく。摘みあげて呼吸を止めさせると程なく耐え切れずに口が酸素を求めて開かれた。
そのままスプーンで無理やり口腔を犯す。口に広がる食物に吐き気を覚えて少女は首を横に振った。

「抵抗するな」

嚥下させるとまたスプーンが口に運ばれる。拒めば無理やり口を押し開いてくる。
抵抗するのにも、そして思考するのにも疲れ、少女はただ口に入ってくるモノをひたすら飲み込み続けた。
早く、終わればいい。食べても、後で戻せばいいだけのことだ。そう考えると気が少し楽になった。
不愉快なのは口の中を行き来する銀のスプーンだった。
冷たく、そして我が物顔で口の中に入ってくる。

程なく、卓上にあった食物は全て男の手によって少女の口に運ばれた。
天井をぼんやりと見つめる瞳を、翠の瞳が覗き込む。

「これ以上手を煩わせるな」

口元に零れたスープの残り、白い服についた食物の汚れ、涙の枯れた虚ろな瞳。
何か言おうと・・・多分罵りの言葉だろうが、開かれた唇に手を遣る。
青ざめた唇の輪郭をなぞり、そこに親指を押し込んだ。

それを食べ物か何かと勘違いしているのか、白い歯が指を噛む。熱い舌が絡み、唾液が飲み込まれる。
途端、指に軽い痛みを感じた。
少女の犬歯が指に食い込んでいる。無意識のうちの抵抗なのだろうか。
引き抜いた指にはうっすらと歯型がついている。
程なく歯型は消えるだろう。けれど、無い筈の心についたこの痛みは、何時まで残るのだろうか。
そう、彼女の手を避けなかったのは、傷を付けて欲しかったからなのだろう。





以上です。
今週号の軽いネタバレ有りのウルキオラ×織姫っぽいもの。
エロ度は低めというより皆無に等しいんで、申し訳ないけど

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