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【平×ひよ】

空座町南西部、正に町の隅に小さな工業区がある。
濛々と白い煙を吐き出す不気味な煙突を無数に生やした銅の精製工場を中心に、
倉庫やバラック等が所狭しと密集し、街全体が鼠色に煤けている印象の何処か寂
しげな場所だ。

そんな、あまりに乱雑かつ複雑に建物が入り組んでいる為、区画整理もほぼ手を
付けられていない様な、人気の無くなった筈の雑居ビル群の一室に、ぽつりと光
が灯っていた。

ありふれた1DKの狭い室内は、畳は日に焼け、漆喰の壁は所々が剥げ落ち、正に
廃墟と言う響きが似合う。しかし、一応は一通り掃除が行き届いており、何者か
の生活している気配が感じ取れる。裸電球に薄明るく照らされた居間では、付け
っぱなしのテレビから当たり障りの無いバラエティ番組の、出演者達の下世話な
会話と鼻につく笑い声が垂れ流されていた。

玄関のすぐ隣に、申し訳程度に設えられた簡易キッチンで、家主である平子真子
は至極面倒そうな面持ちで夕飯の後片付けをしていた。
基本的に、町の中心部に作りだした巨大な【練習場】に集まって集団で行動する
彼らだが、地下深くにかなり強引に作った空間は、寝泊まりするには少々厳しい
事も有り、普段はその周辺で、各々が適当に見つけた寝床に、普通の人間として
不法占拠………もとい、仮住まいしている。
つまり、この廃屋の一室が彼の、否、彼らの根城と言う訳だ。




台所と薄いアルミのドア一枚で隔たれた風呂場からは、もう一人の同居人の、え
らく年寄りじみた盛大な鼻歌が漏れ聞こえ、彼の表情を益々曇らせた。

「ほんまええ加減にしとけよあのクソガキ……後片付けほったらかしよってから
に………。」

夕飯を作った自分を差し置いて先に入浴してしまった同居人、猿柿ひよ里の自分
勝手な行動に、沸き上がる怒りをぼそぼそと漏らしながら、それでも食器はしっ
かりと洗い上げて行く。子供相手に大人げないとは思いつつも、几帳面の部類に
入る彼としては、彼女のだらしない行動は目に余る物であった。出した物は元に
戻さないし、食事中には肘をつくし、今だって脱がれたジャージが床に脱いだま
まの形で散乱している。狭いながらも脱衣場がが有るのだから、何故其処で脱が
ないのか。一応女の子なのだからと口を酸っぱくして言っているのに聞こうとし
ない彼女に、彼はいささか苛立っていた。

洗い終えた食器を水切りカゴに並べ終え、真子はようやく一息ついてテレビの前
に腰掛けた。人間の娯楽に対して興味は無かったが、何か音が流れていないと、
どんどん苛立ちが募ってしまいそうだったので、特に見る訳でもなくただただチ
ャンネルを回していると、唐突に浴室の扉が開け放たれる。乱暴に扱われたノブ
や蝶番が悲鳴を上げ、勢い余って叩き付けられるアルミのドアと共に痛々しい音
を立て、更に彼の神経をすり減らした。
流石に一言叱らねばと、居間から台所を覗き込んだが、脱衣場から現れたひよ里
の、予想だにしなかった風貌に、驚くと同時に不覚にも見とれてしまう。




いつも小さな頭のサイドで括られている金の猫っ毛は下ろされ、バスタオルの間
から飛び出した毛先から水滴を滴らせている。
のぼせ気味に上気した肌は、少女であっても男の意識を引いたが、それよりも、
白いタンクトップと小さなパンツのみでしか隠されていない、確実に女性の体へ
と変化しつつ有るその華奢ながらも健康的なボディラインに、思わず目を奪われ
てしまった。
十分に体を拭かないまま着けられたのであろう薄い布地は、彼女な体から立ち上
る湯気を吸って、膨らみかけた胸の先端や、まだ毛も生えていない恥丘を薄らと
桃色に透かしている。

そんなあられもない姿に、不意に心拍数が上がってしまったりしたが、板の間に
無数に作られた水たまりを見て、幸か不幸か真二は腹立たしい現実に呼び戻され
る。取りあえずもう一度体を良く拭わせようと広げられた真二の腕をすり抜けて
、小さな体は一直線に冷蔵庫へと足跡を残しながら向かう。
ああと声を荒げるも、彼女はこちらへ一瞥もくれることなく、最早飲み物を物色
するのに夢中だ。
込み上げる怒りをぐっと飲み込み、まずは水浸しの床をどうにかせねばと脱衣場
に目をやると、追い討ちをかけて彼の逆鱗を逆なでする光景が飛び込んで来た。
恐らく新しい下着を探したのであろう。綺麗にしまわれていた筈のタオルや真二
の下着が乱雑に散らばっている。

「こるぁ!こんガキ!! 大概にしとけよ!? 」





堪えきれず、遂に怒号が飛ぶ。
しかし、小さな白い扉の向こうから現れた顔に反省の色は皆無。それどころか、
若干腹立たしげな表情が張り付いていた。「あぁ?」とドスの利いた唸りと共に
荒々しい霊圧が投げつけられ、思わず尻込んでしてしまう。そのまま気迫で押さ
え込まれてしまい、怒鳴りつけるタイミングを逃してしまった真二は、やむなく
まるで台風でも通ったかの様に荒らされた脱衣場の片付けに取りかかった。無論
、腹の虫は収まってはいない。少女に黙らされてしまうのも大変癪だったので、
ぐしゃぐしゃに散らばったタオルを畳み直しながらも抗議を続ける。

「大体なぁ、普段からおどれはがさつ過ぎんねん。ええ加減、もうちょいおとな
しゅうせぇや……。一応女の子やねんさかい………。」

ふと、背後の沈黙に違和感を感じる。普段なら「うっさいわ」とか「うっとおし
いんじゃハゲ」等の罵詈雑言がぶつけられている筈のに。いやな予感がして、振
り向こうとした瞬間肛門に激痛が走る。あまりの衝撃に涙が滲んだが、何をされ
たのか理解するのに時間はかからなかった。

「毎回毎回、同じ事何度も言いくさってからにィ。おどれにそないな事言われる
筋合いあらへんわっ!保護者面すんなやハゲ!」

けたけたと笑い声が聞こえる。涙でぼやけた視界に、両方の人差し指だけ伸ばし
て手の平を組み、しゃがみ込んでいる少女が浮かべる悪戯じみた笑顔が飛び込ん
で来た瞬間、彼の中で何かが切れた。






無言のまま振り返る。にやにやと笑みを貼付けたまま少女は、いつもの様に顔を
真っ赤にして反撃して来る真子を想像してふざけた様に身構えたが、彼の全身か
ら漂ういつもとは違う雰囲気に表情を曇らせた。

「し、………真子?」

返事は無い。少々やり過ぎたか、不安げに顔を覗き込んだ刹那。視界が揺れ、気
がつくとひよ里は真子の脇に抱えられていた。彼から発せられるただならぬ殺気
を感じ取り、慌てて逃れようとするが、腰をがっちりと拘束迫れている為、幾ら
足をばたつかせても無情に空を蹴るばかり。

そんな中、真子の肩越しに、彼女を捕まえていない方、つまり右手の中指と人差
し指が高く掲げられているのを見て青ざめた。その二本の指は確実に、小さいな
がらも形の良い双臀の谷間に向けられ固定されている。それは、これから我が身
に敢行されるであろう少々下品な鉄拳制裁を意味していた。

「しっ真子っ……お、女の子にそんな事してええと思っとんのかっっ!!」

少女の懸命な生死は意味をなさなかった。

「あ、あかんぞ真子っ…ちょっ、やめっ、ひやぅわーーーーーーーーっっつ!!!!」

非常にも振り下ろされた二指は唸りを上げ、頼りない柔布に隠された慎ましやか
な菊座に突き刺さり、布ごとその小さな門を押し広げる。敏感な粘膜をコットン
で摩擦され、痺れにも似た痛みが少女を貫く。吊り上がった目は大きく見開かれ
、桃色の唇はぱくぱくと言葉にならない悲鳴を上げている。




「あかっ、あかんっっ!ぁぐっ、あっ!ぃいっ、やめっっ、やめぇえっっ!!」

何とか逃れようと体をよじり、真子の腕や背中を叩くが、腕に力が入らない為、
拘束はびくともしない。先ほどとは一転し、今度は真子の方が邪悪な笑みに薄い
唇を三日月型に歪めている。その実、腹の底は言葉も出ない程に煮え返り、その
怒りは眼下にある発達途上の臀部に深々と突き刺さる二指に、力となって込めら
れて行った。第一関節と第二関節の半ばまで突き込んだ指に更にひねりを加えて
募りに募った憤懣を少女の体にぶつける。
柔らかいとは言え、繊維で直腸を擦られ、ひよ里は益々涙を浮かべて悶える。

「はぁあっっ、んはっ、おしっ、あっっ!おしりっっ!ぐっ、めくれるぅっ!」

指二本でもう目一杯に張りつめている菊門は、異物を排除しようと、回転し、前
後運動を繰り返す指を喰いちぎらんばかりに締め付ける。指先に熱と湿り気を感
じた。呼吸は荒くなり、もがく腕も徐々に力なくずり落ちて行く。いつしか真子
の中に、復讐心や怒りとは別の新たな感情が産まれていた。それは彼の理性を麻
痺させ、行為を更にエスカレートさせていく。ゆっくりと指を引き抜くと、固く
閉ざされていた蕾は口を開き、ひくひくと蠢動しているのが布越しに解った。し
っとりと湿気を帯びた布をずらすと濃いピンク色に上気した恥孔が露になる。再
びイソギンチャクの様に口を窄めた菊座に指を立てがい、力を込めると、今度は
すんなりと指が飲み込まれて行った。とたんにひよ里の細い体が弓なりに跳ね上
がる。




「ひぅあっっ!ひっ、くぅぅうっっ!!」

声の質が変わる。理性を揺るがす甘い叫び。これは少々悪戯が過ぎる悪ガキに灸
を据えているだけ、と自分に言い聞かせ、何とか理性を持ちこたえさせながらも
、好奇心の赴くままに指先を蠢かせる。二本の指を交互に抜き差しし、屈伸させ
、熱を孕んだ腸壁を撫で上げる度、喰い絞められ、華奢な肢体が踊る。所が、や
がて抵抗も無くなり、いよいよ真子の理性が危うく軋み始めた頃。

「……ひっ……ぅぐっ………うっ……ずずっ………ふぐっ………」

啜り泣き。顔は見えないが、ほんのりと上気した肩が小刻みに震えている。

(しまった!)

慌てて戒めを解くと、小さな体は板の間に力無くへたり込んだ。怒りと欲望が支
配せんとしていた思考を、今まで封印し、無視していたほんの少しの罪悪感が、
増殖し、瞬く間に満たして行く。自己嫌悪ですっかり青ざめた真子がおろおろと
ひよ里に近づいた瞬間、鳩尾をとんでもない衝撃が突き抜けた。危うく先ほどの
夕飯と再会しそうになる。悲鳴も出せぬまま倒れ込み、何が起こったのか確かめ
ようと何とか顔を上げると、其処にはいつの間にか起ち上がった少女。しきりに
手の甲で顔を擦っている。一体どんな泣き顔をしているのかと思ったがそれを確
認する事は叶わなかった。何故なら────────

「い、いや、その……おっおどれが悪いんやぞ!?そもそも…………あ。」

何故なら少女の顔は、最早禍々しい霊圧を放つ面に覆われていたからだ。既に手
には斬魄刀まで握られている。眼の部分に口を開けた闇に浮かぶ金色の瞳からは
明らかな殺意が漂い、益々真子の顔色を蒼白に染め上げた。頭上では白刃が煌め
く。

「いやっ、そんなごめんなさいすんません許してイヤァァァァァアアアア!!!」

月夜。
絹を裂く様な少年の悲鳴は、灰色の街並を駆ける乾いた風に飲まれ行った。


(終)
エロ少ないです。

短くてすんません。
何か重めなやつが結構投下されてたので、箸休め的な物になれれば幸いです。
誤字脱字は脳内変換でヨロ。

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