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【修平×乱菊】




晴れ渡る青空。芽吹く緑。
太陽から降り注ぐ光は穏やかにして爽やか。
麗らかな昼下がりとはこんな日の事を言うのだろう。
凍てつく寒さは最早跡形も無く去り、待ちわびたように花々が咲き乱れる。
動物達が彼方此方で愛を育む喜びの季節、春。

そんな、全ての魂が二度目の生命を謳歌するこの尸魂界に置いて、
魂を統括する役目を担う死神の総本部、瀞霊廷は護廷十三隊。
その九番隊隊舎の屋根の上で、一人、季節にそぐわぬ陰鬱な空気を漂わせる男が一人。
今年、新入隊員としてめでたく九番隊に配属された、檜佐木修平である。
統学院での高成績により、今期入隊員筆頭として迎えられた彼であるが、
取りあえず現在は平隊員として配置されている。

それでいても他の新人は未だ厳しい入隊試験合格の興奮冷めやらぬ様子で、
学院の後輩に自慢したり、真新しい死魄装で流魂街へ繰り出したりと、
若々しくも大はしゃぎしていると言うのに、彼は生気もなく虚ろに空を見つめていた。
実の所彼は、その近年希に見る才能を認められ、入隊試験を免除されていたのだ。
そのため、他の隊員よりも一月ほど早く入隊していた。

入隊よりはや三ヶ月。若い彼は正直な所、性欲を持て余していた。

護廷十三隊では隊内恋愛は原則禁止とされている。
戦闘に置いての集中力の散漫を防ぐ為。
そして、片方が殉職した際、もう片方が戦闘不能に陥る事を防ぐために、
規則に活字でこそ記されてはいない物の、暗黙の鉄則と言う形で守り続けれている。
これは即効性があり、違反者は移動や降格、最悪除隊と言う処罰を与えられる為、
戦闘能力や心構えを認められた隊長格や上位席官を除く下級隊員を、
慢性的な欲求不満に陥らせているのだ。

古株の隊員などは、こっそりと流魂街郊外の春街へ行ったりしたりと、
上手い事発散している様だが、初心な新入隊員の事である。そんな事などつゆ知らず。
特に男性隊員は、悶々と不毛な日々を過ごしているのが過半数である。
もちろん彼も例外ではない。




「・・・・・・・はぁ・・・・・・・・。」

重々しい溜息が漏れる。
全てが生気に満ち満ちたこの季節。
こうして景色でも眺めていなければ、
すぐにまた発散されるあての無い欲望がわいてくる。
新人にあてがわれる宿舎の壁は薄く、障子に鍵など付いているはずもない。
友人が酒だの世間話だの、夜中でも引っ切りなしにやって来るため、
おちおち自慰にふける事もままならない。
女性を知らない彼の日々は苦悩に満ちていた。

そして何より、報われぬ片想いが彼をよりいっそう苦しめた。

松本乱菊十番隊副隊長。
隊者が隣と言う事もあり、目にする機会も多かった。
気性は明るく、初対面の相手でも気兼ねなく接して来る人柄の良さ。
人望も厚く。「姐さん」と呼び慕う隊員も多い。
そして抜群のスタイルと美貌が男女問わず人を呼ぶ。
大きな瞳と長い睫毛、ぷっくりとした唇、
それらを包む緩やかに波打った山吹色の長く艶やかな髪。
浮世離れな程に豊満な乳房を包む死魄装の胸元は大きく開かれ、
いつもはち切れんばかり露出した絹の肌に刻まれた深い渓谷が惜しげも無く露になっている。
閑散とした流魂街育ちの少年には、いささか刺激が強すぎた。
今までにも彼女主催の酒の席に何度か呼ばれ、
その度何度かお近づきになれるかと思っていたが、
彼女はとんでもない酒豪な為、彼が幾ら頑張っても、最後は醜態を晒すはめになった。
彼女がその事を気にしないのがせめてもの救いではあったけれど。

彼女を想う男は多いが、皆修平のように、二の足を踏んでは諦めを繰り返していた。
禁じられる程に燃え上がるのが恋と言う物で。
あと一押し何かあれば。そんな事を考えていると不意に背後から気配が現れる。

「クククッ。」

嘲る様な、小馬鹿にする様な、様々な意味合いを含んで聞こえる独特な笑い声。
突如として何の脈絡も無く出現した霊圧に困惑しながらも、
その笑い声には一度ならず聞き覚えがあった。

「黄昏れているネ。新入生筆頭の檜佐木修平君。」

「・・・・・・・・・涅隊長殿?」

不自然に白い作り物の様な歯を剥き出しにして浮かべられる不気味な笑顔。
瀞霊廷最高の開発機構、技術開発局の二代目局長にして十二番隊隊長、
涅マユリは、全てを見透かした様な眼差しで立っていた。
一体いつからそこにいたのだろうか。そんな疑問が表情に出ない様、
修平は自隊の隊長にそうするのと同じく跪いた。




「畏まらなくても良いヨ。楽にして結構。」

「はっ。本日はどういったご用件でしょうか。」

「いやネ、何やら悩み事でもある様な顔をしていたのでネ。寄ってみただけだヨ。」

「お心配り、痛み入ります。しかしながら・・・・・・」

そう言いかけるとマユリは皆まで言うなと言った感じで修平の言葉を遮った。

「恋煩いではないかネ?」

ギクリとした。
この男は一体何処から嗅ぎ付けて来るのか。
思わず表情が怪訝と規則違反の恐怖に曇る。

「まぁまぁ、そう身構えなくても密告したりはしないヨ。
 若い内は仕方が無い事だ。生物学に置いてもその事は証明されているヨ。
 しかし今の君ではその想いを叶える事はできい。そこでだ・・・。」

マユリはごそごそと胸元を探ると透明の液体が入った小さなアンプルを取り出し、
修平の目の前に掲げて見せた。

「これは体内で酒気を分解する酵素の働きを鈍らせる物でネ。
 どんな人間でもこいつの混ざった酒を一口飲めば、意識は混濁し、
 深い眠りに落ちてしまう。もちろん人体には無害だし、
 半日もすれば効果は切れる。その間何をしようが君の思うがままだヨ。
 寝ている相手になら恋愛が成立する事も無いし、性欲だけを発散させる事が出来る。
 何、気に病む事は無いヨ。相手は夢の中だ。ダイジョウブダイジョウブ・・・・」

流石に最初こそ拒んだ物の、マユリの巧みな話術の前に、
経験の浅い少年が言い包められるのは時間の問題と言う物で。
暫くして正気に戻ると、そこにマユリの姿は無く。
財布の中身の殆どの代わりに、硝子のアンプルが一つ、手の中で光っていた。




今日はは緊急の出動も無く、任されていた簡単な事務作業を済ませ、
酉の二つ時には夜の勤務の者と交代し、自室に戻る事が出来た。
例の薬は未だ懐に押し込まれたままである。

冷静になれば、そもそもこの薬がマユリの言っていた通りの物なのか疑わしかったが、
どうやっても拭い去れない期待感が後ろ髪を引き、捨て倦ねいていた。
今朝起きたままの状態で敷かれっぱなし布団に横たわり、
東大の弱々しい光に悩みの種を透かし、その中身を覗き込む。
だが全くの無職透明の液体は、是とも非とも答えてはくれない。

これはもしかして、もの凄いチャンスなんじゃないか?

不意に脳裏をそんな言葉が過ぎる。
しかし、共に沸き上がった儚い喜びは直ぐに猜疑心に変わる。
あの涅隊長の事だ。
若い自分を騙してどこかでせせら笑っている可能性は否めない。
けれども、相手は病的な程の合理主義かつ完璧主義で有名な超天才科学者。
幾ら根性が捻曲がっているとは言え、娯楽の為だけに自ら労力を使うとは思えない。
実際、新人には手痛い代金を巻き上げられ・・・もとい、支払ったのだ。
それに見合った価値はあるのではないか?

ただ無機質に透き通った硝子の小瓶を指先で揺らしながら、
そんな自問自答と自己完結をひたすら繰り返すばかりだった。

所が、優柔不断な彼が決断を下すより先に、好機は訪れる。

「修平っ!!姐さんが飲みに来いってよ!!」

無遠慮にいきなり入り込んで来た同期の友人に、修平は慌ててアンプルを懐に戻した。
同時に今までのもやもやは何処かへ吹き飛び、自らの悪運の強さに感謝した。
やはり、年頃の少年は欲望に素直であり、ここまで好条件を並べられてしまうと、
最早彼の頭の中から「薬を廃棄する」という選択肢は完璧に除外されていた。




十番隊上級隊員宿舎。
その南側、個別に入口が設けられた一際大きな部屋が乱菊の自室である。
お付きの世話係に通された大広間は修平の自室なら軽く三つは入ってしまう。
流魂街の暮らしに比べれば、今の生活も決してぞんざいな待遇と言う訳ではないが、
それとこれとは話は別。初めてではないにしろ、毎回驚いてしまう。

乱菊の趣味か、朱に金で揚羽蝶の描かれた襖を開けると、宴はもう始まっていた。
中には既に赤ら顔の新人隊員が十五人程居て、
肴や徳利が所狭しと並んだ大きな座卓の上座で、乱菊が酔った一人の腹踊りに大笑いしていた。
彼女を含め皆死魄装のままで、仕事終わりに直ぐさま始めた、と言った感じだ。

挨拶すると、いつも通り少女の様に無垢な笑顔で迎え入れられる。
乱菊以外は全員男だが、彼女は何ら危機感を見せる事は無い。
幾ら女性と言えど彼女は紛れも無く隊長格。
シタッパがどんなに変な気を起こそうが、彼女に敵うはずが無い。
事実、未だかつて何人も彼女に指一本触れる事は出来ていないのだ。

それでも諦めの悪い輩が乱菊に群がり、何とか酔い潰そうとどんどん酌をするのだが、
結局先に畳みに沈むのは彼らの方である。
彼女が無理と踏むと、今度は男達同士での飲ませ合いに変わる。
少しでも敵を減らそうと言う醜い争いが展開され、そうなると逆に乱菊が一人になり、
いつもそこへ修平がハゲタカ・・・ではなく、ハヤブサの様に酌に付くのだ。
此処までは行けるのだが、これ以上が難しいのだ。


「どいつもこいつも柔ねぇ・・・。」

修平が空の徳利や皿をまとめ、散らかった食べ零しや誰かが割った食器を片付けていると、
猪口に並々と注がれた甘露を啜りながら、乱菊がぽつりと言った。
子の刻を回ると大広間は正に死屍累々。
自力で帰れた者はほんの僅か。残りの者は皆酷い泥酔状態で、本物の屍の如く眠っている。
いつも外の渡り廊下に並べて夜風に当たらせておけば、昼頃には皆、幽霊の様な顔で帰って行く。
今日は少し冷えるので、納屋から蓆を出して被せてやった。
そして乱菊の横に付いて、残ったうなぎを突きながら、修平は心の奥底でほくそ笑んだ。
邪魔者は消えたのだ。
とは言え、正直修平も限界が近い。
気合いで何とか踏みとどまってはいるが、世界は既に倍速で回っている。

「悪いわねぇ、いつも片付けしてもらっちゃって。置いといてもらえばこっちで片付けさすのに。」

「とんでもないっす。お呼ばれしてるのは俺らですから。これくらいやらせてください。」

「もぉぉお、かぁわいいこといっちゃってぇ。ホント、しゅーへーは良い子なんだからぁ。」

とろんとした瞳に見つめられ、修平は腹の底がゾクリとするのを感じた。
肌はうっすらと桃色に染まり、体も気持ち良さげに左右に揺れている。
一見、かなり出来上がっていて、今ならちょっとぐらい触っても大丈夫な気がするが、
その実、意外と意識がしっかりしていて、不用意な行動に出ると、
容赦なく肘や膝が飛んで来るのは経験済だ。此処はぐっと我慢する。




「ん・・・、ちょっとお手洗い行ってくるわねぇ〜。」

そう言って起ち上がる乱菊はふらふらしてはいたが、やはり足取りはしっかりした物で、
このままならば結末はいつもと同じなのは目に見えている。
しかし、今日はいつもと違うのだ。
廊下側の襖が閉まるのを確認し、懐から例のアンプルを取り出した。
砂時計の様に細まったくびれに力を入れると澄んだ音と共に硝子の頭が取れる。
一応においを嗅いでみたが、やはり全くの無臭。少し躊躇したが、
此処で行かねば男の恥じ、と、半ば酔いに任せて飲みかけの徳利の上でゆっくりと傾ける。
一体如何程入れれば良いのか分からなかったが、手の震えで三分の二程入っしまった。
いよいよ後には引けない。

やがて、乱菊が帰ってくる。
そして修平の希望が籠った徳利に手をかけ、澄んだ中身を猪口に注ぐ。
そして口元へ───────自らの鼓動が聞こえる程高鳴った。白く滑らかな喉が上下する。

「ん、おいし。──なぁに、どうしたのしゅーへー?見つめちゃっ・・・て・・・・・」

瞼が徐々に下がって行く。
───とさり、と柔らかな音を立てて、乱菊の小さな頭が、
緊張のあまり正座していた修平の膝の上に落ち、修平が乱菊を膝枕する形になった。

「・・・・・乱菊さ〜〜〜ん・・・。」

返答は無い。
ただ、その重力だけで形を変えてしまう程に巨大で柔らかそうな双丘が、
呼吸にあわせて揺れるだけだである。

酔いなど一気に吹き飛んでしまった。
あの難攻不落とまで言われた松本乱菊が、自分の膝の上で寝息を立てているのだ。
今まで味わった事の無い、何とも言えぬ幸福感が修平を満たして行く。
乾いた心がみるみる潤って行くようだった。
ただこうしているだけで天にも登る気持ちであったが、
眼下に無防備にも晒される白い肌を見て、先ほどまで眠っていたドス黒い欲望が蘇って来た。
そう、このまま満足しては意味が無いのだ。

(そうだ、俺は今夜乱菊さんを─────────)


【犯す】


その単語が浮かんだとたん、今度はとてつもない罪悪感と自己嫌悪に襲われた。
一体何をやっているのだ。自分が想いを寄せる女性に薬を盛って、眠らせて、
あまつさえ体の自由が利かない女性をどうこうしよう等と───────────。
何と言う卑劣漢、何と言う卑怯者なのだ。



暫く、自分を責め抜いて、出た結論は、
起きるまで待って、全てを正直に打ち明け、謝ろう。というものだった。
涙を拭い、乱菊の前髪を整えながら、その端正な顔を愛おしげに眺める。
酔った彼女を介抱すると言う行為だけで彼は十分幸せだったのだ。

しかし、彼女の肉体は余りにも誘惑的で、
欲望にとことん素直なな少年の決意を容赦なく揺るがす。
上気したほほ、濡れた唇、うっすらと汗ばんだ白磁の肌、呼気と共に立ち上る酒と彼女の匂い。
そして身悶えする度、たぷん、と揺れ動くその大きな乳房、上向きの張りのある尻。
彼女の全てが脆弱な彼の理性に大打撃を与える。

(・・・・ど、どうせ謝るんなら、ちょっとくらい触っても、良いよな?・・・)

自らに向けた問いである。答えは当然良し。
有り余る圧力でぱんぱんに張りつめた死魄装の上から、乳房にそっと触れる。
少し高めになって居る彼女の体温と弾力が布越しに伝わってきた。
頭の芯が一気にかっと熱くなった。苦しい程に鼓動が早まる。
今度は剥き出しになった丘の中腹を指で押してみた。
指先にうっすらと汗を感じる。力を入れれば何処までも沈み込んでしまいそうに柔らかい。
柔らかいだけではない。もゆん、と押し返して来る表現し難い弾力があるのだ。
触れば触る程、歯止めが利かなくなって行く。

好奇心は徐々にエスカレートし、今度は両手いっぱいにこの感触を楽しみたくなった。
乱菊の上体を起こし、羽交い締めする様に脇から手を入れ、釣り鐘状の美しい双丘を、
下から持ち上げる様に揉んでみる。目を覚ます様子は無い。
ずしりと予想以上の質量感、持ち上げれば重みでみるみる手の平が飲み込まれて行く。
揺すれば、たぷん、ゆわん、と波打ち、その度に指がより深く沈み込んだ。
手の平全体に感じる包み込まれる様な圧力と暖かさで指が溶けてしまいそうに感じる。
更に、体を起こす力の無くなっている乱菊は修平にもたれ掛かる形となり、
顔の真下に近づいた滑らかな首筋から、甘い女性独特の香りが鼻腔を抜け、
修平の細い理性の柱はどんどん削り取られて行った。

視線を下へ向けると死魄装と肌の間から、乳房の頂きが見えそうになっている。
最早修平の理性は限界であった。
いよいよその邪魔臭い薄布を取り払ってしまおうとした時────────────

「ん・・・しゅーへー・・・・・。」

乱菊の目がうっすらと開く。血の気が引く音がした。
慌てて手を引っ込め、謝罪の言葉を口にしようとした時、そのまま後ろへ押し倒されてしまった。




座椅子の角に強かに頭を打ち付け、瞼の裏に星を散らしながら再び目を開くと、
目前の状況は修平の理解力を完全に逸脱していた。
細い腕は首に回され、乱菊のふくよかな唇が吐息を耳に感じる程に近づいている。
修平の上に乱菊が覆い被さっていたのだ。
拍車をかけて鼓動は高鳴り、無意識に唾を嚥下してしまう。
息苦しさの原因は乱菊の体重のみでは無いだろう。

目だけを動かし横を向くと、極めてうっすらと開いた瞳が修平を見つめていた。
彼女は微かに微笑み、そして、呟く。

「・・・いーよぉ?・・・・しゅーへーなら・・・・・」

(あぁ、だめだ。)

くぐもった声が耳を抜け、最後の箍が外れてしまった。

きゅっと括れた腰を抱きしめ、ゆっくりと唇を重ねる。
こんな状況は幾度も頭の中で繰り返したが、そんな想像を遥かに超越した現実が、
今、自らの腕の中にある。この温度も感触も、全てが本物なのだ。
興奮は益々加速して行く。
角度を変え、啄み、歯列をなぞる。乱菊もその動きに答え、酔いのせいか辿々しく舌を蠢かせた。
その度に唇の愛だから甘い吐息が漏れ、顔にかかる熱気が彼の脳を潤ませる。
長い長い接吻の後、体勢を入れ替え、今度は修平が上になった。
帯を解き、襟に手を掛け、襦袢と共にその野暮なをはだけさせる。
ついの現れたその美しい上半身と晒された乳房に目が眩みそうになった。
乳房が大きな女性は、大抵、腕や腹にも少々肉が着いていると聞いたが、
目に余る様な肉など欠片も無く、胸の丸み以外は程よく引き締まり、その大きさをより強調していた。
暗闇の中、行灯からの柔らかに光で、その白い肉体が益々妖艶に照らし出される。

その膨らみにそっと手を添えると、赤子の様にきめ細かな柔肌が、しっとりと吸い付くようだ。

「ん・・・・はん・・・・・・・。」

手の平に収まりきらない乳房を両側から円を描く様に揉み上げると、
その手の動きにあわせ、桃色の瑞々しい唇から切ない声が漏れ始める。
初めて聞く女の嬌声は修平の欲望を更に燃え上がらせた。



手の中で半流動的にその形を変えて行く乳房に、堪らず顔を埋めてみる。
汗で蒸れた乱菊の香りを目一杯吸い込んで、気が遠くなりながらも舌を這わした。

「ふぁっ・・・・んぅ・・・・あ・・・・んっ・・・・っ!」

小刻みに肩が震えるのが分かる。
滑らかな斜面を伝い、徐々に上へと移動する。
白い肌時折強く酸い、赤い痕を刻みながら、その頂点を目指した。
そうして、ようやく辿り着いた、全体の大きさに比べ、少々控えめな、美しい桜色の乳輪と、
既に固く起き上がった中心を口に含む。

「んぁあっっ!!」

口の中で転がし、吸い上げ、甘噛みすると一際高く腰が跳ねた。
修平はその反応が嬉しくてたまらない。しつこく責めていると徐々に声のトーンが上がって来た。

「ひぅっ・・・んあぁっ・・・・っ!・・・っっ!・・・ぅくっ!・・・!

断続的にしなやかな肢体が痙攣する。
その姿に、修平は体の底の方をぞくりと快感が駆け抜けるのを憶えた。

乱菊の体は全体が紅潮し、益々しっとりと汗ばんでいる。
潤んだ瞳に見つめられ、短い息が漏れる半開きの唇に再び口づけた。
そしてゆっくりと袴の中へ無骨な手を滑り込ませた。
空いた手ではどん欲に熱を孕んだ乳房の感触を味わいながら、
汗で張りついた茂みを掻き分け、道の場所へと指先を進める。

そっと指を這わせると、其処は火傷しそうな程に熱く、すっかり濡れそぼっていた。

「はぅんっ・・・ぅあぁっっ!!」

蕩けてしまいそうに柔らかい秘肉に節くれ立った指を埋め、入口を引っ掻くと、
細い体が強張り、修平の背中に回された小さな手が死魄装に皺を作る。

腰紐を解き、袴を取り去ると、綺麗な三角形に生え揃った茂みの下では、
蜜を称え、艶かしく光る桃色の花弁が、ひくひくと蠢動していた。
大人の女性に対する漠然とした畏怖感からか、もっと仰々しい物を思い浮かべていただけに、
その官能的な美しさには、暫く見とれてしまった。

いよいよ、と、生唾を飲み下し、修平も自らの戒めを解く。
既に鈴口からは透明の体液が迸り、限界まで張りつめ脈打っていた。

「乱菊さん・・・い、入れますよ?・・・・。」

返答は無かった。
ただ、今にも決壊しそうなまでに潤んだ瞳が、真っすぐと修平を捕らえていた。



くちゅりと淫猥な水音と共に、敏感な粘膜が接吻する。

「ふぁっ!・・・・んぐっぁあっっ!!・・・んくぅ・・・・っっ!!」

まるで別の生き物の如く滑り蠢く肉壁が、異物を体外に排除しようと波打ち、締め付け、
腰が蕩けてしまいそうな強い快感が修平を襲う。
直ぐにでも果てそうになるのを、鳩尾に力を込め、ぐっと堪えた。
狭い膣内を掻き分け、押し広げ、ようやく彼の全てが飲み込まれた。
片手で快感に浮き上がった腰を抱き寄せ、もう片方の手を畳みに突き、
乱菊に自らの体重が掛からぬよう気を付けながら覆い被さる。
彼女もその逞しい体を強く抱き返した。
胸板にはその巨大な乳房が押し付けられ、耳元で荒い息遣いが聞こえる。
修平の背骨を寒気が駆け抜けた。
溢れる蜜を潤滑に修平の腰が激しく打ち付けられる。

「あぁああっっ!んひぁっ!!ぅぐっっ!ぁああっ!!しゅぅへぇっ!ぁんっっつ!」

腕の中で柔らかな肢体が踊る。
速度を抑えようと勤めたが、体が言う事を聞かなかった。
下腹部から快感が迫り上がってくる。

「しゅっ・・んぁっ!・・へ・・・あんんっっ!!んぅっ!!ぁあぁぁぁあああっっ!!!!!」

一際高い声が上がり、玉の汗が浮いたしなやかな体が弓の様に反り返った。
うねる熱いひだが絡み付き、より強く修平を締め付け、乱菊が達する。

「くっ!・・・・・・・っ!!」

追う様に、滑らかな白い下腹に大量の性を吐き出して、修平は果てた。




艶やかな長い髪を解かしながら、修平は、一定のリズムで寝息を立てる乱菊を見つめる。
彼女は再び深い眠りに落ち、その間彼は体を拭き、死魄枌を直し、乱菊を元の状態に戻していた。
あのまま二回戦に突入したかったのが本音なのだが、生憎東の空は既に白み、
間もなく世話の者が起きて来そうだったので、慌てて後片付けにかかったのだ。
乱菊がぼんやりと口にしたあの言葉は果たして本心なのか、寝ぼけていたのか。
何にせよ、不可抗力と言う物だ、と自らに言い聞かせ、朝の静かな隊舎を後にした。

己の若さを嘲笑う様な、せっかち過ぎる黄色い太陽が、ただただ憎らしかった。



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