1942

【京楽×卯ノ花】

雨が、降っている。
一週間前に降り始めた雨は、未だ止む気配がない。
ザァザァと降りそそぎ、強弱を繰り返しながら夜の闇を切り裂いていく。
ここは四番隊隊舎。隊長室の縁側に卯ノ花がぺしゃりと座っている。
時刻はもうすぐ日付が変わる頃。当直以外の隊員は皆床に付いている。
卯ノ花はそこから見渡せる中庭を虚ろな顔で眺めていた。

現世に虚数体の他に大虚が三体現れたので八番隊と十三番隊が虚退治に向かった。
「早く仕事を終わらせて帰ってくるから、帰ってきたらまたここで。」
そんな約束をして、十三番隊の隊長はニッコリ笑って出かけていった。
―――あれから一週間。
まだ彼らは戻ってこない。
百戦錬磨の彼らだから、2、3日もすれば帰ってくると思っていた。
一週間は少し長いのではないか?
「なぁに、心配せんでもよい。あの子らのことじゃ、時機に戻ってくるじゃろうて。」
山本総隊長はそう言っていたが。

(大事がなければ良いけれど。)
卯ノ花は、現世に向かった彼らの身を案じ、なかなか寝付けないでいた。
ふぅとひとつ溜息をついた時、四番隊副隊長、虎徹勇音が急いで部屋に入ってきた。
「申し上げます!只今八番隊と十三番隊が現世より戻りましたが、浮竹隊長が!」
「判りました、行きましょう。」
勇音が言い終わる前に卯ノ花はすくりと立ち上がり、口をきゅっと結んで救護室へ向かった。

救護室の前に八番隊隊長が胡坐を掻いて中の様子を伺っていた。
こちらに向かってくる卯ノ花に気づくと、彼は笠を上げ笑顔で手を振った。
「烈ちゃ〜〜〜ん!」
「・・・京楽隊長!」
「ごめん烈ちゃん、ホントはもうちょっと早く帰ってこれたんだけど、
相手さんがなかなかくたばらなくってさ。」
「お怪我など、なかったのですか・・!?」
「うん。僕はなんともない。他の隊員も大丈夫。でもアイツがさぁ・・くたばっちまって。」
普段は冷静な卯ノ花の顔色が青ざめる。
「浮竹隊長が、どうなさったのですか!?」
「息切らして血ィ吐いてるよ。仕事に行く前から具合悪かったんだってさ。
いつもの発作より酷くないみたいだけど、早く行って手当てしてあげてよ。」
「・・・はい。」

救護室には息を切らし、喀血で上半身血まみれの浮竹が横たわっている。
卯ノ花は、いつものようにてきぱきと処置を進めた。
京楽の言うように、浮竹の症状はそれほど悪くはなく、発熱もない。
点滴で薬を体に入れると、少しずつ呼吸が収まってきた。
「卯ノ花隊長・・・すまない・・。」
申し訳なさそうにつぶやく浮竹。
「無理をなさったんでしょう?」
卯ノ花は彼の口元に残った血をぬぐう。
「や・・約束を・・・。」
発作でやつれてしまった浮竹は悲しそうな顔で卯ノ花を見つめる。
「まずは、体を直していただかないと。」
卯の花は微笑み、彼の頬を優しく撫でた。
「お疲れになったでしょう、ゆっくり休まれて下さいね。」
「判った・・・。」
安心したのか、浮竹の顔に少し笑顔が戻った。
「明日の朝、また伺います。」
卯ノ花は浮竹の体に布団を掛け、彼の頭をひと撫ぜすると
あとの処置を当直の隊員に任せ救護室を後にした。

卯ノ花は自室へと歩き始めた。
あのまま夜通し浮竹の看病をしたかったのだが。
彼との仲は他の者には知られたくない。
あまり彼の傍にいると隊員達に二人の仲を感づかれてしまうのではないか?
そんな心配があって、卯ノ花は救護室を離れた。
それに今回の発作はさほど酷くはなく、あれ位ならば当直の隊員に任せても問題はない。

(本当は、十四郎様が帰ってきたら・・・)
卯ノ花は、浮竹との約束を思いだした。
約束・・・一ヶ月ぶりの逢瀬。
浮竹と肌を重ねる度に心地よさが増してゆく。
特に最近はそれが顕著で、彼との行為を思い出す度に自然に濡れてしまい
夜、一人ひっそりと寝室で自分を慰めていた。
(今宵は、仕方がないですね。)
逢瀬は延期だ。浮竹の体調が良くなるのを待とう。
しかし、久方振りに会った彼の顔を思い出すと
熱い欲が体の奥底から湧き上がってくる。
今から自分を慰めて気持ちを落ち着かせないと眠れそうにもない。
卯ノ花は彼を想いつつ、歩く速度を少し速め部屋に向かう。

と、彼女の部屋の前に一人の男が座っていた。

「よ〜う烈ちゃん、お疲れ様〜。」
「京楽隊長・・・!?」
「そんなに驚いた顔しなさんな、なんでここにいるかって?
心配したんだよ。烈ちゃんがあんな青い顔しててさー。」
「あ・・・、申し訳ありません・・・。心配をお掛けして・・・。」
「なーに、浮竹は大丈夫だから!ね?あんな事日常茶飯事なの!
それより僕の事は心配じゃないのかい?」
「ご自分で『大丈夫だ』って、おっしゃったでしょう?」
「あれ?僕そんなこと言ったかな?」
京楽がおどけてみせる。卯ノ花もつられてくすくすと笑った。
「京楽隊長もお疲れでしょう?お茶でも飲んでいかれませんか?」
倒れた浮竹を救護室まで運んできたのは京楽だと聞いていた。
卯ノ花は彼を労い(ねぎらい)たかった。
「お、いいねぇ。ありがたくいただくとするよ。」
そういって、卯ノ花は京楽を自室の客間に招き入れた。

「今お茶を入れてきますから。」
京楽を座らせた卯ノ花は、茶を入れる準備をしようと席を立ち後ろを向いた。その瞬間、

ふわり

桃色の羽織が目の前をよぎる。
「え・・!?」
あまりにも急で、一瞬何が起こったのか判らなかった。
卯ノ花は京楽に後ろから抱きすくめられた。
「帰ってきたら、会う約束してたんだろ?」
「何故・・それを・・・」
「浮竹に聞いていたからね。アイツは僕の前では隠し事はしないんだ。
もちろん僕も彼の秘密は他の人にしゃべらないけど。」
「・・・・離して・・・ください。」
「抱かれたくて、堪らなかったんだろ?」
「いやっ・・・離して・・・・」
卯ノ花は束縛から逃れる為にジタバタともがいたのだが、
京楽は抱いた腕を解こうとはしない。
「烈ちゃん。」
京楽の吐息が優しく卯ノ花の首筋にかかる。
自室で自らを慰めようとしていた卯ノ花は、その吐息を敏感に感じてしまった。
「・・・ん・・・んっ・・・。」

「今夜は、僕が浮竹の変わりになってあげようか?」

「私は・・・十四郎様以外は・・・・。」
と卯ノ花が言おうとした所で、京楽は彼女の首筋に唇を落とした。

「・・・ぁあ・・・っつ・・・。」

卯ノ花の背中にぞくりと甘い電流が流れた。
剣の道にも長けているが、色の道にも長けている。
そんな京楽の手にかかると、どんな女でも落ちてしまう。
「十四郎様との約束は・・破れません・・・。」
「烈ちゃん・・・ホントは我慢できないんでしょ?」
「・・・いやっ・・・そんなことおっしゃらないで下さ・・・」
「ほら、着物の上からでも、乳首が立ってるの、わかるよ。」
そう言いながら、京楽は卯ノ花の胸を掌で撫で回す。
「はぁっ・・・うう・・。」
卯ノ花の口から艶やかな声が漏れた。
(十四郎様・・十四郎様・・・。)
彼女の理性の糸を繋ぎとめているのは浮竹の存在。
彼の名を心の中で何回も唱え、この京楽春水という波に
のまれないよう必死にもがいていた。
ここで耐えないとすべて押し流されてしまう。
そんな彼女に止めを刺すかのように、京楽は卯ノ花をこちらに
向かせると彼女の眼底を深く見つめて言った。

「大丈夫。これは夢だと思えばいいから。
明日になったら、君も忘れるし、僕も忘れる。これでいいだろ?」

いつもの屈託のない、笑顔。
必死に繋いでいた理性の糸が、ぷつりと切れる瞬間だった。
(十四郎様・・・申し訳ありません・・・。)
浮竹に対する罪悪感と、じわじわと体の奥から溢れ止まらなくなった情欲の中で
卯ノ花は京楽の体に身を委ねた。

卯ノ花の唇に京楽の唇が重ねられる。
降りしきる口づけの中で卯ノ花は考えていた。
強引に事が進められようとしているのに
この男に微塵も嫌悪感を感じないのは何故だろうか。
気が付くと口内に侵入してきた京楽の舌に自らの舌を
絡ませていた。
「あふっ・・・。」
互いの唇が離れる。口づけを惜しむかのように京楽は
卯ノ花の頬や鼻先にも唇を落とした。
「ここじゃぁなんだから、場所を変えるよ。」
彼女の耳元で優しく囁く。
京楽の顔を見上げると、満面の笑みをたたえている。
「・・・京楽隊長・・?」
京楽は卯ノ花を軽々と抱きかかえ、部屋の外に出る。
中庭が望める廊下を何かを探すかのようにスタスタと歩く。
「・・・あの・・・京楽隊長・・どちらへ・・?」
「んー、ちょっとまっててね。あ、いい所見つけた。」
満足そうに微笑むと、廊下の一角に向かった。
「お待たせしました。どうぞ。」そう言って、京楽は彼女を廊下に座らせる。
顔を上げた卯ノ花は、凍りついた。
外は相変わらず雨が降り続いている。
雨煙の中、そこから中庭を挟んで反対側に見えるのは、浮竹がいる救護室。
緊急時に卯ノ花がすぐに行けるように、救護室はここから左程離れていない場所にある。
「・・・・いや・・・嫌です・・・せめて部屋の中で・・・」
京楽は、すがりつき懇願する卯ノ花を廊下の床に押し倒すと
彼女の首筋に口づけを落としてゆく。

「烈ちゃん、ここの近くに・・・救護室あるよねぇ。」

そう言いながら京楽は卯ノ花の着物の合わせを緩める。
たわわに揺れる柔らかい乳房が顔を覗かせた。
両手で円を描くように揉みしだくと柔らかい乳房はふにふにと掌に纏わり付いてくる。

「あそこにさぁ、・・・浮竹いるよね。」

凍りついて震える卯ノ花に、京楽はゆっくりと話しかけた。
「烈ちゃんがさぁ、今僕とここでやらしい事してるって判ったら・・・
アイツ具合悪くても点滴自分で抜き取ってさ、君んとこに来るだろうなぁ・・。」

「・・・そんな」

京楽は揉みしだいている乳房の一つに唇をよせ、コリコリと固くなった頂に吸い付いた。
「・・・やぁああっ・・・。」
「そんな大きな声出しちゃうと、浮竹にも、君の部下達にも聞こえちゃうよ?」
「・・・ぁあ・・・。」
卯ノ花は今にも泣き出しそうな顔をしている。
「おや?どうしたの?目に涙浮かべて。
浮竹が本当にここに来ると思った?あんな状態で来る訳ないでしょ。」
確かにそうだ。卯ノ花は、浮竹を安静に眠らせる為に睡眠導入剤を点滴の薬に少し加えておいた。
今頃薬が効いて、すやすやと眠っているはずだ。
「少しキツイこと言っちゃったかな、心配しなくていいよ。ごめんね・・。」
怯えた卯ノ花を慰めるように彼女の目尻に唇を寄せて溜まった涙を吸い込む。
「ま、これだけ雨が降ってるから烈ちゃんの声も消されちゃうかな?」
そう言って京楽はさらに乳首を深く咥え込んだ。
空いているもう片方の乳首は親指と人差し指でくにくにと捏ね回す。
「・・・ぁあっ・・・はぁあっ・・・あぁぁっ・・・。」
自分の声を押し殺すかのように喘ぐ卯ノ花の声が雨音の中に溶けてゆく。

京楽が何故彼女をここに連れてきたのか。
浮竹の間近で痴態を晒させて、感情を高ぶらせる為。多分そう。
傍からみると強姦されている風にも見えるだろう、こんな状況なのに、
何故自分は彼を振りほどいて逃げないのか?それは判らない・・・。
卯ノ花は京楽に翻弄されつつも冷静に事態を解析していくが、それもままならなくなってきた。
京楽は閉じている卯ノ花の足をM字に曲げ救護室の方に向けて開かせる。
「ほら、もうちょっと大きく開かないと、浮竹に見えないよ。」
「ぁあ・・・・・」
卯ノ花は恥ずかしさのあまり目をギュッとつぶり甘い溜息をつく。
京楽の中指が膣内に侵入してきた。
「あれ?烈ちゃんの中、すっごいことになってるねぇ。」
「だって・・・先ほどから・・・京楽隊長が・・・あぁっ・・。」
「もしかしてさ、浮竹に見られるかも、とか思ったら余計に感じたんじゃないの?」
膣内の指が少しずつ動き始め、それに併せて、くちゅ、くちっ、と水音が聞こえてきた。
卯ノ花は顔を火照らせて喘ぎつつ京楽に訴える。
「イヤ・・・十四郎様のいる・・救護室の前で・・・こんな姿・・・見せたくな・・・んはぁあっ!!」
「口ではそんなこと言ってるけど、体は正直だよ?ほら、中はぐちゃぐちゃいってる。」
いつの間にか下着は取り除かれ、卯ノ花は京楽の指を3本のみ込んでいた。
京楽は、浮竹が数ヶ月かけて探り当てた卯ノ花の感じるポイントを即座に見つけだした。
膣壁の、少し上のほう。
「ほら、浮竹に見てもらいたいんだろ?烈ちゃんが沢山感じるのをさ。」
「・・・嫌ですっ・・んんっ・・・そんなの・・・ぁああっ・・・ダメぇっ・・・。」
卯ノ花の耳元で京楽は優しくささやいた。
「烈ちゃん、イこうか。」
蜜が奥からどんどん湧いてくる感触を確かめると、一気に攻めたてる。
「ぁあああっ・・ああぁあああっ・・んんんんんんっ!!!!!!」
卯ノ花は自分の指を口に咥え声を出さないように、果てた。

「烈ちゃん、大丈夫かい?」
京楽は心配そうに彼女の顔を覗き込む。
「・・・ええ・・・。」
声を押し殺して達したので余計に息が上がっている。
京楽の体から立ち上る汗の香りが卯ノ花の鼻腔をくすぐる。
と、ふいに、心の奥底に隠された記憶が蘇った。
――――私は彼に何回か抱かれている。
はっきりとは思い出せない。
まるで誰かに記憶を無理やり消されたかのようだ。
ただ、京楽に抱かれている記憶がくるくると断片的に蘇る。

「何故・・・私を抱かれるのですか・・・・?」
「何故って・・?そりゃあれだよ、烈ちゃんが悲しい顔してたからだよ。」
とってつけたような返答が帰ってきた。
「まあ、そんなに考えなさんな。ほら、烈ちゃんがあんなにかわいい声出すから
僕のもこんなになったよ。」
京楽は固くなったそれを、卯ノ花の手に握らせる。
「これ、中にいれるから。」
京楽は体を起こすと、袴の紐を緩めた。
そして自分の下に横たわっている卯ノ花を抱え上げ、
互いの体が救護室のある中庭を向くような形で膝の上に跨らせる。
「こうしたら、さっきよりも救護室が見えるでしょ。」
そう言いながら卯ノ花の中に自身を突きたてた。
ずぶ。
「・・・・っんんっ・・・。」
卯ノ花の口から吐息が漏れる。
一回果てた彼女の中は熱く、ぬめぬめと京楽に纏わり付く。
「はぁあぁっ・・・はぁぁっ・・・」
「・・・動くよ?」
京楽は彼女の乳房を両手で包み、親指と人差し指で乳首をはさむと
下からゆっくりと突き上げはじめる。
「ぁああううっ・・・はぁああんっ・・・嫌ぁぁ・・・。」
「嫌じゃないでしょ。烈ちゃんの中、すごいよ・・・。」
くつっ・・・くちゃ・・・ぐちゅ・・・
京楽が動く度に、水音が卯ノ花にも聞こえる。
「嫌・・乳首は・・・駄目ですっ・・・はぁんっ・・。」
「あ、乳首気持ち良いんだ。じゃもっと苛めてあげる。」
突き上げながら、固くなった乳首をきゅっと摘み上げる。
「イヤーっ!・・いやぁああ!・・・はぁぁあああんっ!!」
「乳首イジメたら、中が締まるよ・・・たまんない・・。」
目の前の救護室に浮竹が寝ていることも忘れ、卯ノ花は快感に酔いしれていた。

と、彼女がふと顔を上げると
雨で煙ってよく判らないが、救護室の窓の傍に人影が見えた。
見覚えのある、綺麗な長い白髪。
「いやぁぁ!!十四郎様!!見ないでぇっ!!」
「烈ちゃんどうした?どっかに浮竹いる?」
「京楽隊長・・離して・・離して下さいぃ・・・嫌ぁ・・」
「ん?周り誰もいないよ?救護室の前だからアイツがいるような気がするんじゃないの?」
「で・・でも・・・」
「気にしすぎだよ。ほら、烈ちゃん床に手を付いて。イかせてあげる。」
京楽は卯ノ花の手を床に置き、膝を付かせ尻を持ち上げると
そのまま後ろから激しく突き上げた。
「いやあぁっ!・・いやぁあぁっ!・・京楽隊長っ・・止めてくださいぃ・・
ぁぁあっ・・十四郎様が・・・見てる・・・いやぁぁあ・・いやああああんっ!!」
「はぁっ・・・僕ももう、限界・・。」
「イヤぁぁぁっ・・・でも・・・イク・・・いやぁぁぁぁ・・だめぇえええぇぇぇ!!」

叫びながら卯ノ花は果てた。
京楽はすぐさま彼女から自身を抜き取ると、彼女の背中に精を吐き出した。
卯ノ花はその場にグッタリとうずくまった。
「烈ちゃん、お疲れ様。目を閉じて。」
言われるがままに卯ノ花は瞼を閉じた。
「これは夢だと思って。全部忘れて。」
朦朧としている頭の中に京楽の声が響く。
・・・忘れたい。京楽に抱かれたことも、浮竹への背徳感も。
目の前が少し明るくなったかと思うと、次第に暗くなり
意識がすぅと遠のいていった。
「記憶置換ほど便利なモンはないよねぇ。
消したい記憶を都合よく消しちゃえるからさ。
本当に、誰が考え出したんだろうねまったく・・・。」

―――京楽は気を失った卯ノ花を抱きかかえ、廊下を後にした。

「よーう、色男。調子はどうだい?」
「まあまあだな。」

ここは救護室。
京楽は、抱きかかえていた卯ノ花を
体を起こして布団に座っている浮竹の膝の上に横たわらせた。
「そこから見えた?」
「なんとか。雨で煙ってて顔まではハッキリ見えなかったが。
点滴に睡眠薬が入ってたみたいですごく眠たかったけど、我慢して起きてた。」
「・・・そうですか・・っと・・。」
笠を深く被り直し、窓にもたれかかって座る。
「言われる前に言っとくけどいつものように烈ちゃんの中には出してないから。」
「・・そうか。」
「浮竹ぇ・・・やっぱりさぁ、お前変わってるよね。
自分の恋人を他人に抱かせるなんてさぁ。」
浮竹は寝息を立てている卯ノ花の髪を撫ぜる。
「本当は、嫉妬で胸が締め付けられるように苦しいさ。
彼女が喘いでいるの見るのがすごく辛かった。
 でも・・・それ以上に興奮するんだよ。最初は自分でも信じられなかったが・・。」
「僕は未だに信じらんないよ。いろんな性癖があるってのは知ってるけど、
身近にこんな寝取られ好きのM男がいるなんてねぇ・・・。」
京楽がふぅーっと息を吐いた。
「でもさぁ、もう止めた方がいいんじゃないの?
君はもともとこういう事に疎いんだから、慣れない事はしない方がいいですよー。」
実はこれが初めてではない。・・・今回が3回目。
毎回、浮竹を仮病にし、彼に逢えないが為に体がうずく卯ノ花を京楽は抱いた。
そして浮竹はその行為を陰から覗き見て、嫉妬しながらも興奮し、
京楽に抱かれた後の卯ノ花を抱き、精を彼女の中に大量に吐き出し所有欲を満たした。
その都度京楽も浮竹も、彼女の記憶を消しているが、記憶置換はやはり対人間用である為
記憶のすべてを消す事はできなかったようだ。
卯ノ花が京楽との口づけにも愛撫にも抵抗がなかったのはこの為である。
「あんまり記憶置換に頼りきってると、烈ちゃんに事がすべてバレた時、
どうするよ?僕らにこんな事されてたって判ったら、烈ちゃんが悲しむぞ。」
「俺もまずいと思ってた所だ。今回でやめにするよ。
京楽、すまなかったな、わずらわしい事に巻きこんじまって。」
「そうだよ、僕だったから良かったけど、藍染なんかに頼んでたら、
寝取られるどころか、ヨメにもっていかれてたよ。」
「ははは・・・藍染は、ヤバイよなぁ・・。」
浮竹は頭をわしわしと掻きながらつぶやいた。

「・・・さてと、邪魔モノは退散しますかねぇ〜。」
すっくと立ち上がると京楽は救護室の出口へ向かう。
「浮竹ぇ、もうこんな事するなよ。
今度するって言ったら、彼女にこの事全部ばらしちゃうから。」
「もう二度としないさ・・・烈は大事にする。」
「ほいほーい。ごちそーさまでしたっと。
後は烈ちゃんと宜しくやってくれ、んじゃ、おやすみぃ〜♪」


―――京楽が救護室を去った後。
浮竹は彼の膝あたりにうずくまって寝ている
卯ノ花を自分の傍に引き寄せ、ぎゅうと抱きしめた。
「ごめんな、烈。もう他人に抱かせたりはしない。
辛い事させて、悪かった・・・。」

寝息を立てている卯ノ花の目から、涙がはらりとこぼれ落ちた。


おしまい
これでお終いです。
書き込み終わりましたので、またロムに戻ります。

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