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届かない【恋次×雛森】

わかってた。
こんな不毛な恋、しちゃいけないって。

初めて話をしたのは入学した次の日。
珍しい真っ赤な髪に目を奪われたのを覚えてる。
たまたま席が隣で教科書見せてくれって頼んできたよね。
しばらく経って、貴方とあたし、吉良君三人で行動する事が多くなった。
剣の稽古も鬼道の特訓も。
いつも三人一緒だった。
あの時、まだ自分の気持ちに気付けなかったあたしだけど
貴方の横に居れるだけで幸せだった。

でも。
貴方の眼差しの向こうには常に彼女がいた。
「ルキア!」
彼女の姿を見付けてはスグに駆け寄って行った
貴方の笑顔は私達“友達”に見せる笑みでは無く
“愛しい人”に見せる優しい笑顔。

彼が朽木さんに笑顔を向ける度、胸が締め付けられる感じがする。そして絞り出される様に溢れてくる嫉妬と言う名の汚い感情。

やだよ。
いかないで。
あたしをみて。

おねがい。

あばらい、くん。

学院を卒業して隊に入り副隊長になった今でも
この気持ちは変わらない。

*・*・*

「じゃあ雛森君、ここに書いてある資料持ってきてくれないかな?」
そう言うと藍染は山の様な書類の間から、
数字の沢山書いた小さな紙を雛森に手渡した。
「はい。」
にっこりと笑顔を返す。
「すまないね。こんなに沢山」
「そんなこと無いですよ!全然平気です。じゃ、行ってきますね!」
トタトタと部屋を出る雛森を藍染は笑顔で見送った。
そして山の様に積み上げられた書類を見て溜め息をついた。

*・*・*
(確か、この番号の資料がある資料室ってこの先だよね)
小走りにその資料室に急ぐ。
(早く藍染隊長に資料をお届けしないとっ)
雛森が副隊長になって二週間位経った。
ずっと憧れていた人の下に着けた雛森は只、
彼に精一杯尽そうと必死になっていた。

「おい、雛森!」
後ろから名前を呼ばれ振り向くとそこには
良く知っている赤い髪の男が立っていた。
「阿散井君」
雛森は足を止め名前を呼んだ彼に駆け寄った。
阿散井 恋次。
学院時代からの友達で雛森と同じ時期に別の隊の副隊長になった。
そして、        
雛森の密かに想う相手。
「んなに急いで何処行くんだ?」
「うん、藍染隊長に資料取りに行くように頼まれたの。」
ペラリ、と藍染に手渡された紙切れを恋次に見せる。
「お、雛森もか。どうせだし一緒に行かねェか」
突然の誘いに頬が熱くなる。本来なら友達が友達を誘っただけの事なのだが、
雛森にとってはそうで無かった。
「う、うん」
頷き、恋次の横に並ぶ。
「さっさと取るもん取って、仕事終らせないとな!」
そう言って笑う恋次をみて、願わくばこの時がずっと続けば良いと雛森は思った。

「雛森、そっちに560番無いか?」
「ん…。あ、あった。これだよね?」
分厚いファイルを棚から抜き出し恋次に手渡した。
「お、サンキュー。」
「阿散井君、それだけ?」
「ああ。でもお前の分見つかるまで待っといてやるよ。」
再び恋次の笑顔。
胸がジンジンする。「いいの?早く仕事終らせたかったんじゃなかったの?」
「いや〜、終らせたいと思う半分、やっぱり戻りたくねぇんだよな…」
駄目じゃない、雛森は笑った。
正直、雛森も彼と同じ気持ちだった。
ただ雛森はサボりたいのではなく恋次と一緒に居たかった。
勿論、藍染の元に戻らないとという気持ちもあったが恋と云う
気持ちには勝てなかった。

でも、この幸せの時も彼の一言で終わりを告げる。

「そろそろだなー。ルキア帰ってくんの」
ズキリ。
どうして、ソコで彼女の名前が出てくるの。
「アイツびっくりするぜ。俺達が副隊長になった事知ったら」
言わないで。
呼ばないで。
聞きたくない。
「どっちが先に出世するか賭けてたからな。鯛焼―」
「聞きたくない!!」
思わず叫んでしまった。
恋次は驚いた顔で雛森の顔をいている。
「え、あ、悪かったな」
(あれ、こいつら仲悪かったのか??)
ポリポリと頬を掻きながらよそを向きながら考える。

「…阿散井君」
名前を呼ばれ再び雛森の方を向いた。
「阿散井君が悪いんだからね」
そう言うと雛森はゆっくり恋次を指差した。

「縛道の一、塞」
人さし指を恋次に向け、静かに唱えた。
その瞬間、恋次の体が動かなくなりその場に倒れこんだ。
「いっ!?いきなりなりしやがる雛森!!」
恋次は術を破こうともがくが、強大な力に押さえ込まれているようでびくともしな
かった。
「無駄だよ阿散井君。阿散井君じゃあたしの術は解けない。」そう言いながらガチャ
ンと資料室の鍵を閉める。

「阿散井君」
倒れている恋次に馬乗りになる。両手を伸ばし恋次の顔を包みこんだ。
「んっ…」
そのまま顔を近づけ優しく口付けた。軽く触れるだけの接吻。恐らく雛森にとっても恋次にとってもこれが初めての接吻だっただろう。ゆっくり唇を離し恋次の上唇をペ
ロッと舐めた。
「…雛、森…何で…!!?」
驚いた目で雛森を見上げる。
今だ恋次には理解できていなかった。
雛森は学生時代からの友達で。
それぞれの隊の、同じ立場にいる仕事仲間で。二度目の口付けは触れるだけではなく、自ら舌をさし込み恋次の舌に絡め、ねっとり
と舐めあげる。雛森は何度も角度を変え接吻を深めていく。その度二人のくぐもった
息と唾液が混じりあう音が耳に響いた。
「んっ…ん、ふ…」
初めての感覚に眉をしかめる。(何、だよ。何それがどうしてこうなっている?少なくともこんな事する仲では無い筈だ。
それなのに。何故?

「何で、って顔してるね。御免ね?でも、阿散井君が悪いんだよ。近くにいる全ての
人を友達と決めつけて、それ以上に見ようとしない阿散井君が。」
不意に目尻が熱くなる。
涙が溢れて来るのを必死に押さえた。
「雛森…?」
「今だけでいい。今だけは朽木さんじゃない、あたしの事だけ考えて。」
そう言うと雛森は再び恋次に口付けた。

軽蔑されてもいい。
どうせ叶わぬ恋ならば、何も分からない位めちゃくちゃにして、幕を引こう。

「…っ!!!」
初めて他人に触られ、自分で慰める以上の快感が全身を駆け巡った。
「男の人のって…こうなってるんだ…」
どうやら雛森も初めて見るらしい。ぎこちない動きで細い指を恋次のモノに絡める。
先走りのせいでにゅるにゅると指が上下に滑る。「阿散井君…気持ちいい?」
うっとりとした表情で恋次を見つめる。
「雛もっ…やめ…」
今にも崩れそうな理性を抑え再びび懇願する。
まだ一線を越えていない。
まだ間に合う。
だから止めろ。
手遅れになる前に。

「もう…遅いよ…」
雛森は身体を起こすと自分の袴の紐を解き自ら秘部を晒した。
思わずゴクリと唾を飲む。
柔らかそうな白い太股、その奥に続くには僅な茂み。
きっと術がかかっていなければ直ぐ様雛森を押し倒し自分が襲っていただろう。

「阿散井君…、御免ね」
雛森は恋次のモノの先に秘部を当てがった。
「はぁ、ん…」
雛森の口から艶のある声が漏れる。クチリと触れ合った場所を潤す液が混じりあう。
「んっ…」
ゆっくり腰を沈めて行く。
「あぁ…っ!!」
二人に今までに味わった事の無い快感に襲われた。
「雛森…っ!!」

「…あ、ばらいくぅ、ん…」
切ない声で愛しい彼の名を呼ぶ。いつの間にか雛森の鬼道は解けていた。
「…っ!!」
体に自由が戻ったことに気付くと恋次は雛森の腰に手を置き自ら腰を突き上げた。
「あぁあん!!」
さっきまでの背徳感は何処へ行ったのだろう。
気が付けば快楽に身を委ねていた。
「あっ、あ、んあ、あ、あぁあ…っ!!!」
恋次の上であえぐ雛森はとても切ない顔をして、泣いていた。
御免ね、御免ねと謝りながら。

快楽の波を全身に受けながら、二人は果てた。

*・*・*
「おや、雛森君。資料あったかい?」
執務室に戻ると藍染が雛森を笑顔で迎えた。
「…すいません、遅くなって」
雛森は藍染に紙に書いてあった番号のファイルを手渡そうとした。
が、藍染は受け取ろうとしなかった。
「隊長?」
「何があった…?」
藍染は立ち上がり雛森の前に立つ。
「え??」
「どうして泣いてるんだ?」
藍染にそう言われた瞬間。
雛森はその場に泣き崩れた。
「あ、ああ、あああぁぁあぁ…!!!」

わかってた。
こんな不毛な恋、しちゃいけないって。
でもね、抑えられなかった。
堪えられなかった。

御免ね。阿散井君。
大好きだよ。



終。
以上です。
いろいろ足りない部分もありましたが最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

濡れ場もっと書きたかったのですが力及ばす…
藍雛を知る前に本性を現した藍染を知ってしまったのでどうしてもラブラブな藍雛を連想できんとです…
精進します…

[mente]

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