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学生生活【夜一×砕蜂】

春特有のうららかな日差しの中、彼女は通学路を軽快に歩いていました。
 この暖かい気温には不適切なブレザーを肩にかけあまつさえ制服のシンボルでもあるリボンを解き、そのほどよく豊かな胸元を周囲に晒しています。
 その日に焼けた肌は美しく男をひきつけるようで、すれ違うたびに男共の視線が彼女に集中しますが彼女はそんな事は露知らず汗ばんだ胸元に風を送ろうとはたはたとシャツを前後させます。
 彼女の名前は四楓院夜一。猫のような双眸がチャーミングな、人より足が速いことが自慢の普通の元気な女の子です。
その艶やかな黒髪が風になびき、柔らかなシャンプーの香りを辺りに振りまきます。
 ふと、彼女が一瞬空を仰いだ時です。
 彼女の後ろに一人の人間の影が近寄りました。
どうやら少女のようです。その少女は夜一に気づかれないように忍び足で背後に立つと、ころあいを見計らって彼女に思いっきり抱きつきました。
「おはようございま〜す! せんぱ〜い」
「ぅおおう!」
 夜一に抱きついた少女の両手が夜一の適度に豊かな胸に「ぽにゅう」と埋まります。少女の両手は的確に夜一の胸を捉えており、夜一は突然の感触に驚きの声を上げます。
 少女が夜一の肩から顔を覗かせました。
「おはようございます! 夜一先輩!」
「お、おぅ、な、なんじゃ砕蜂か、驚かすではないわ」
 喋り方が少し変なのは夜一のご愛嬌。
「えっへっへ、すみませ〜ん」
 砕蜂と呼ばれた少女は舌を出し自らのこぶしで軽く頭を小突きます。
 彼女、砕蜂は中国からの帰国子女で夜一の部活の後輩です。
 その小柄な体躯によく似合った切りそろえられた髪とそんな中一組だけ長く伸びた後ろの髪がとても愛らしい少女です。
こちらは夜一とは違いきちんとブレザーとリボンを着こなしています。
「先輩、今日は部活何をやるんですか?」
「そうじゃなぁ、今日は先生がおらんから」
「いないから?」
「百メートル走りこみ、限界に挑戦」
「う〜〜わ〜〜、き〜〜つ〜〜い〜〜」
 二人は揃って陸上部に所属しています。二人ともかなりの選手でインターハイの常連でした。
余談ですが、そもそも二人の通う尸魂学園はさしてスポーツの強い学校でもありません、しいて言えば剣道が少し強いくらいのものでした。しかし彼女達の活躍により学園の陸上部は一気に全国区へとのし上がったのです。
 そのせいか砕蜂と夜一は仲が良く、いつも一緒にいます。そのため変な噂を立てられることもありましたが二人は別に気にせず、砕蜂に至ってはまんざらでもない様子でした。
 砕蜂にとって夜一は憧れの対象なのです。
 陸上選手としても、女としても。
 砕蜂は自分が女として夜一に明らかに負けていると思う夜一の身体の部分を見ます。胸です。
「先輩、胸おっきいですよね。私なんて本当に幼児体系で……少し落ち込んじゃいます」
「そんな事無いぞ、大きいと大きいで肩も凝るしな。陸上にも邪魔になる。ただの脂肪の塊じゃ」
「でも私の胸じゃ風の抵抗もろに受けちゃいますよぉう」
「ふむぅ、そうか」
 夜一は少し考え込みます、そして直ぐに唇の端をゆがめました。何かを思いついたようです。
 夜一は砕蜂の耳元に唇を寄せると囁きかけるように提案しました。
「なんなら、お前の胸を大きくしてやろうか?」
「え? どうやってですか?」
「揉むのじゃ。部活の後、二人でシャワー室に残ってお互いの胸を存分に揉み合えばよい」
「え!?」
「なんならその先にも、進んでみるか?」
 夜一の右手が砕蜂の足に伸びます。周囲の目など気になりません。
 不敵に笑う夜一に対して砕蜂は困惑します。彼女、もともとレズっ気があるのです。それを夜一のような美人、しかも憧れの人にそんな事を言われてしまうと彼女の頭の中はピンク一色でした。
「え、私と、先輩が、そんなことを?」
「そんな事とは、どういうことじゃ?」
「うっ……。そ、それは」
 砕蜂は俯き赤くなってしまいました。夜一は笑います。
「冗談じゃ、本気にするな。ただの酔狂よ、許せ」
「え、あ、はい」
 残念なような安心したようなそんな気持ちを心の奥底にしまいつつ砕蜂は夜一に頷きました。夜一は尚も笑っています。
「だいたいのう、胸が大きいなんてのはわしに言うべき言葉ではない」
「十分大きいですって」
「いやいや、巨乳とは乱菊ほどの胸を持って初めて言えるものじゃ」
「私がどうしたって?」
「「うわ!!」」
 二人は仲良く同時に飛び上がりました。気づけば後ろに長身の女性が立っています。彼女は胸元のボタンを大きく開け自慢のバストを覗かせていました。
 夜一と砕蜂は息をつきます。
「驚かせるな! 乱菊」
「何よう、あんた達が朝っぱらから仲良くレズってるから声をかけてあげたのに」
「お、おはようございます。松本先輩」
「おう、おはよう。今日も女の子らしくて可愛いよぅ。夜一が夢中になるのも分かるわ。んで、何の話?」
「くだらん胸の話じゃ。こやつが自分の胸が小さいと嘆くでな」
「あら、そうなの?」
 乱菊は砕蜂の制服に起伏を生んでいない胸元に目をやりました。砕蜂も自らの胸元を見下ろします。
「ちっちゃい……ですね」
「んん? いいんじゃない? 胸が大きすぎても肩がこるだけよ。そんなに気になるなら揉んでみれば? 大きくなるらしいよ」
「……夜一先輩にも言われました」
 砕蜂が苦笑いを浮かべます。するとそれに合わせて夜一が大きく唇の端を歪ませました。
「しかし砕蜂、わしが言うのと乱菊がのたまうのでは意味が違うじゃろ。なにせこやつはその検証の立証者じゃからな」
「??」
「どういう意味よ」
 首を傾げる二人に夜一はいやらしく笑いました。
「二人とも鈍いのぉ。解らんのか? 乱菊の胸が大きな理由が。教えてやろう、それはあの冬獅郎に毎日揉まれているからに他ならんのじゃ」
 冬獅郎とは夜一達と同じ学年、つまり砕蜂の先輩に当たる少年です。
「な!?」
「そうじゃろ? 毎日毎日揉みしだかれていれば、それは大きくなるわ」
「そ、そうなんですか?」
「ち、違!!」
 目を爛々に輝かせ興味津々に聞いてくる砕蜂に顔を真っ赤にした乱菊が首を大きく横に振り否定します。夜一はまだ笑っていました。
「恥ずかしがることは無い。それにぬしらが本当になんでもないというのならそこまで動
揺する必要も無いであろう。そのお前の同様が確たる証拠じゃ」
「違うって言ってるでしょう!」
「そういえば日番谷先輩は……。いつも一緒にいるのに」
「あんな奴置いてきたわよ」
「ほれみろ、置いてきたという事は出発点は同じところにおったということじゃろう。一体朝まで何をやっておったんじゃろうなぁ」
 ニヤニヤ、そんな擬音が聞かれそうな笑みが夜一の顔には張り付いています。
「大方、おかしなプレイでもさせられて不機嫌なのじゃろう」
「プレイって……先輩……」
「まあそんなくだらん事はどうでもいいわ」
「くだんないなら言うな!」
「ふん。時に乱菊。今日のプレイはなんじゃ?」
「えっと今日はねまず……って言わすな!」
「すまんすまん間違えたわ。今日の一時間目はなんだったかの」
「一時間目? えーと、あ、あいつの授業じゃな〜い」
 乱菊は大げさに頭を抱えました。砕蜂が彼女の顔を覗き込みます。
「あいつって?」
「市丸よぉ、あいつ嫌いなのよねぇ。私に色目使ってくるんだもん」
「松本先輩綺麗だから仕方ないですよ」
「じゃあ色目を使われないわしは不器量と暗に言っておるのか砕蜂」
「ち、違いますよぉ」
 キーンコーンカーンコーン
「てかチャイム鳴ってるし!!」
「走るぞ、二人とも」
「あんたら早いからずるいわよ!!」
 こうして、和やかな尸魂学園の一日が始まりました。

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