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【一護×たつき】

中学最後の夏休み、一護の家にたつきが遊びに、もとい夏休みの宿題を片付けるための
助太刀として来ていた。どちらが助っ人かはあえて問わないことにしておく。
しばらくの間はカリカリとシャープペンシルの走る音と、ブツブツと単語を呟きながら参考書をめくる音、
稀に解き方のヒントを聞く声がするだけの、全く真面目な午後の勉強会だった。
「…静かだね」
「…ああ」
「一護、おじさんは?」
「学会とかで出てる」
三時を回ったころ、たつきの集中力が切れだしたのか、ぽつぽつと無駄話が始まる。
「あーっ、いいなぁ夏梨ちゃん達は」
とうとう一護のベッドにどさりと身を投げ出し、水色と白の対比が美しい夏の空を見上げながらたつきが叫んだ。
夏梨と遊子は共に連れ立って遊びに出てしまった。今頃この青空の下、肌を焼きながら駆け回っているだろう。
「ヒトのベッドに寝るんじゃねえよ、つーか自業自得だろオマエは」
椅子をぐるりと回して呆れたようにぼやく一護だったが、時計を見上げるとまあ、休憩にするか、と立ち上がった。
一護が飲み物とスナック菓子を持って部屋に帰って来ると、たつきはベッドにもたれて雑誌をめくっていた。
一護の目当ては超人同士が戦う格闘漫画だったが、青年雑誌でエロスな描写が多い為、
ベッドの下に押し込んであったものだ。無論その漫画以外のページも見ていたが、そこは思春期中学三年生のサガだ。
たつきの足元にコップを置いて、自分のジュースを口に含んだ瞬間、たつきが口を開いて言った。
「ねえ、一護もこーゆーコトしてみたい?」
一護には一瞬意味が分からなかったが、合点が行くとブッとジュースを噴き出した。
たつきの言葉と、鼻に逆流したオレンジジュースに目を白黒させていた一護に、さらに言葉が浴びせられる。
「エッチってどんだけ気持ちいいのかね?つーか女だけ痛いって不公平じゃない?」
コップを置いて鼻をかみ、ようやく体勢を立て直した一護にたつきがさらりと言い放った。
「ねえ、あたしとしてみない?」
エッチ、と一護を見上げるその顔は小学校のころの、悪戯を思いついたときの顔とそっくり重なった。

「ば、馬鹿言ってんじゃねえよおまえ…」
「なんで?いーじゃん、予行演習…つーか実験?」
目を泳がせて情けないほどにうろたえる一護とは対照的に、
オレンジジュースを飲み干しながら、遊びに行こうと言うような気軽さでたつきは誘う。
「大体ゴムなしじゃアブねえ…つーか何言ってんだ」
しどろもどろに必死で逃げ口を探す一護の目の前に、ジャーンとたつきの手が掲げられた。
四角いギザギザした薄っぺらい物体を摘んでいる。
「持ってるよ」
「何でだよ!?」
「この前歩いてたら変なおっさんに声かけられてさー。無視してたらムリヤリ腕組んできやがんの。
気持ち悪いからブッ飛ばしたんだけど、うち帰ってポッケ見たら入ってた。多分あの時入れられたんだと思うけど」
「ああそうかよ」
こんな暴力女でもオンナとして見るような奴がいるのかと、一護は半眼でたつきを見やった。
たしかに顔の造りは悪くない、と思わないでもない。でも自分もそのように見れるかというと、と少し想像してみる。
自分の隣でゲーム画面に映るゾンビに嬉々として銃を向け、UFOキャッチャーを真剣に覗き込むその顔が、
青年雑誌の広告に載っているAV女優のような艶っぽい表情で、甲高くいやらしい声を上げる。
一緒にゲーセンに行くような仲であるたつきをそういう対象として見るには、何というかすごく抵抗がある。
たつきを睨むように見ながら一護が葛藤している。オレンジ色の髪をがしがしと掻いた。
しかしそんな視線に全く気づかずに、たつきの注意は手の中の薄い物体に注がれていた。
おもむろにぴり、と袋を破ると中から例のゴム製品が出てくる。
摘むように手に取ると、びろっと伸びてナニにぴったりなサイズになる。
「おお…」
一護とたつきの声が重なった。二人とも実物を見るのは初めてだ。
「これをアレにハメるんだよね…」
「アレってお前…」
コンドームを両手で摘んで引っ張っているたつきに軽く一護が突っ込むが、視線はたつきの手元に注がれたままだ。
クリーム色をしたそれは妊娠するかしないか、という超重要事項を左右する代物にしては、随分と頼りない感じだと思う。

「ふーん…よし、ハメてみるか!一護!アレ出して!」
「お、おう!」
思わずズボンのベルトに手をかけてかちゃかちゃやり出したが、はっと動きが止まった。
「ってやるかンなコトぉ!」
ノリ突っ込み専用机をドバァンとひっくり返してぜえぜえと肩で息をする。
「一緒にお風呂入ったじゃん、今更気にすることないって」
「何年前の話だコラァ!」
「…忘れたけど、結構前?」
「止めとけって、な?」
どうどう、とたつきを抑える。人相悪くむっとしていると思ったら、にやぁっと口の端を吊り上げて笑った。
次の瞬間、一護の喉にたつきのラリアートが決まる。突然の攻撃にごふっと苦悶の息を吐き出して倒れる一護。
ゴツッと、不幸なことにベッドの足が後頭部に直撃した。
「ぐあぁっ」
頭を押さえて悶絶する一護のベルトにたつきが噛り付く。
ベルトとボタンを外し、ジッパーまで降ろされ、ズボンと下着を同時に引き摺り下ろしにかかる。
あわやといった所で回復した一護がたつきの脳天にチョップを振り下ろした。
「いたっ」
「ヤメロって言ってんだろこのチカン女!」
「あぁん?ビビってんの?このヘタレ!」
「このヤロ人が大人しくしてりゃチョーシに…」
言うが早いか股の間にいたたつきに足を絡めてひっくり返す。ちょうど馬乗りの体勢になった。
男の力で無理矢理押さえ付けられているたつきは心底悔しそうで、不愉快だというように顔を歪めている。
思い切り睨みつけるたつきの視線を受けながら、一護はたつきの顔の横にばんっと手をつく。
「どうだ、思い知ったか?」
一層鋭くなるたつきの瞳に優越感を覚え、一護はずいっと顔を寄せてにやりと笑った。

一護がさらに言い募ろうと、たつきが罵倒と反撃に出ようと口を開いたその瞬間。
「なに騒いでんの一兄?」
「駄目だよちゃんと宿題やんなきゃ…」
ノック無しで部屋のドアが開けられ、夏梨と遊子が顔を覗かせた。いつの間にか帰って来ていたらしい。
その場を支配する静寂。外の道路を走る車のエンジン音まではっきり聞こえた。
「…お邪魔しましたっ」
「きゃあっ、ごめんなさいっ」
二人揃って顔を真っ赤に染め、大慌てでドアをバタンと閉めた。
ドタドタと階段を下りる音を響かせながら、わあわあと意味不明な事を喚いている。
たつきを押し倒したように見える一護、ベルトが外されて微妙にパンチラなズボン、更にそばに落ちたコンドーム。
どう言い訳しても言い逃れ不可能な状況。事実は全くのおふざけなのに。というか一護が襲われていたのに。
「あいつら…ノックしろってあれほど…」
一護は遊子と夏梨の物凄い表情を思い出しながら、絶望的な響きで呟くとがっくりと首を垂れた。
ゴンッと傷心の一護に更なる痛手が降りかかる。頭突きをかましたたつきが一護の股間を蹴り上げた。
「さっさと退けってこのバカ!」
「おうっ!?」
どさっと横倒しになり、体を丸めて深手を負った股間を押さえて悶え苦しむ。
たつきはそんな一護をげしっと踏んづけると、イライラと肩を怒らせながら部屋を出て行った。
「さっきのは違うんだって!」
階下に小さくたつきの叫び声を聞きながら、一護は込み上げて来るものを押さえることが出来なかった。
そもそもの原因はたつきなのに。どうして自分がこんな目に遭っているのか。
ちょっぴり涙の浮かんだ顔に、風に吹かれて舞って来たコンドームがぺたりと張り付いた。
「ああチクショー!」
一護はコンドームを引っ掴むと床にぺしりと叩きつけ、夏梨たちの誤解を解くべく階段を駆け下りていった。

おしまい
前スレだかに書き込まれてた「思春期に偶々そばにいた相手とヤッちゃいました」な
一たつを書こうとしたのにどうしてかエロな方向に進まないorz
読んでくれた方ありがとう。少しでもリビドーの足しになれば幸い。

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