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【一護×越智】

「……で、何スか?」
「何スか?じゃないよ、全く。分かってるだろ、呼ばれた理由くらい」
俺は今、生徒相談室にいる。
俺は別に何か相談したい訳じゃないし、更に言ってしまえばここに呼ばれた大抵の奴はみんなそうだろう。
相談室じゃなくて、反省室とか説教室にすればいいのに、と俺は思った。
どうも最近の大人は目に見えた嘘くさい建前をベタベタと塗りたくるのが好きらしい。
一体誰に対する建前なのか、疑問に思うけれど、それは結局自分達に対してなのだろう。彼等は自分達の行為を正しいことにしたいのだ。
そしてそれは、自分達の行為が正しいという確信が持てないと、心のどこかで気付いている証拠なのだ。
ややこしいな、と俺は思った。だから、もう相談室について考えるのをやめにした。
「聞いてるか?黒崎」
越智サンは言った。
「いくら私の寛大な心をもってしても、目に余るんだよねぇ、最近のお前」
「……ハイ」
確かに調子に乗りすぎた、と俺は思った。抜け出し過ぎたのだ、虚退治の為とはいえ。
「みんなの手前、そろそろ怒らない訳にもいかないんだな。ま、お前がそんな悪い奴だとは思ってないんだけども」
越智サンは言った。
ところで、何で彼女は髪を切ったのだろう。少し気になったけれど、俺は尋ねるのはやめにした。今はそういう状況じゃないのだ。
「スンマセン」
ああ、と俺は思った。
あと何時間ほどこんな風にうつむいていればいいのだろう。説教というのは、長いから嫌いだ。
一回やめろと言われればわかるのに。俺だってそれくらいの聞き分けは、ある。
「…………よし、もういいよ?帰んな」
「…………へ?」
予想外だ。この部屋に入ってまだ──────三分二十六秒。最短記録だ。
「もう、いいんスか?」
俺は言った。
「いいよ、もう反省したんだろ?」
越智サンは言った。
「それとも、長いことそこで下向いてんのが好きなタチ?だとしたら変わってるね」
この人はこうだからやりやすい、と俺は思った。だから教師の中では珍しく好感が持てるのだ。
「失礼っした」
俺は席を立ち、軽く頭を下げてドアノブに手を掛けた。
「でもさ」
越智サンは思い出したように言った。俺は手を止めて後ろを振り返る。
「他に何かあるなら、相談していきな。一応ココ、そういう部屋らしい」

「………はぁ」
確かに、悩みならある。
けれど、虚がどうの、もう一人の自分がどうのなどと言おうもんなら俺はきっと良い精神病院を紹介されてしまうだろう。
「大丈夫っス。特に問題ないんで」
俺は笑った。それを見て越智サンも笑った。
「そうか、ならいいよ。行きな、ほら」
「ありがとうございました」

「あと」
越智サンはまた俺の退出を声で遮った。
「大丈夫も、問題ないも、大丈夫じゃなくて問題ある奴の言葉だっていうの、覚えとくといい」
俺は少しドキッとした。始めて教師もスゴいと思った。どんな形にせよ、ガキと向き合っていれば心の内を読むのは容易いのかもしれない。

その日の夜、俺はベッドに転がったまま天井を眺めていた。
「くそ、眠れやしねぇ」
どうも最近、寝てしまうとそのまま起きた時には『あいつ』に体をのっとられているんじゃないか、という不安が拭えないのだ。
今、日付がちょうど変わった。俺は散歩にでることにした。
通りがかりのコンビニにで、雑誌とジュースを買った。別段その雑誌が読みたかった訳ではない。
ただ何か買うことで現実逃避気味なこの散歩を正当化したいのだ。その時、ふと俺の頭をある言葉がよぎった。
「……相談室」
ああ、と俺は思った。
一緒じゃねえか、まったく。俺だって自分の行動が正しいかどうか、心のどこかで不安なのだ。ややこしいのだ。
何だか教師の気持ちが少し解った気がした。これが大人になるということなのだろう、と思った。
次の信号を渡ったところで、俺は若い女性が似たようなコンビニ袋を提げて歩いているのを見掛けた。
暗くてよく分からなかったが、すれちがう寸前になって、二人はお互いが教師と教え子であることに気が付いた。
「………あ」
正確に言えば、あっちが先に気が付いて、その声で俺もそうだと認識した。
何故なら目の前の女性は眼鏡を掛けていなかったし、何より普段は見たこともないくらい、沈んだ顔をしていたのだ。疲れている、というのはこういうものだと思う。

「何やってんだ、こんな所で」
越智サンはすぐにいつもの顔付きに戻った。まるで、さっきまでのは別人だとでも言わんばかりに。
「……散歩っス」
『こんな所で?』俺は疑問に思った。
普通なら『こんな時間に』じゃないだろうか。少なくとも法律的には高校生にはもう遅い時間だ。
やはり、越智サンはどこかおかしい。まぁ、こんな所でこんな時間に会うのだから俺もおかしいのかもしれない。
俺たちはその場に立ったまま暫し無言で向かい合ったが、先にそれを破ったのは彼女の方だった。
「ウチ、来るか?」
俺には意味が解らなかった。だが、家に帰る気にもなれず、俺は黙ってついていくことにした。
学校の外のせいか、それとも疲れた彼女の姿を見掛けたせいか、随分と俺は越智サンに親近感を覚えていたような気がする。
「ココ。ま、入んな?」
普通のマンションだった。当たり前だが、教師だって普通の人間で、普通の暮らしをするものだ。どうも実感はわかないけれど。
「相談室、だな。今からココは」
越智サンは言った。
「お前、やっぱり大丈夫じゃないし、問題もあるだろ」
「…………そっスね」
俺は言った。
この際、打ち明けてしまおうか。勿論、詳しいことはぼやかして、抽象的に、だけれど。
「待ってな、今お茶入れるから」
リビングに俺は独り座って、部屋を眺め回した。
適度に整理されてて、適度に散らかっていた。けれど、その適度さが妙にバランスがとれ過ぎていて、どことなく悲しいかんじのする部屋だった。
程なくして戻ってきた越智サンに、俺は自分の今の感情を打ち明けた。
「……そっか」
越智サンは言った。
「よくわかんないけど。大変なんだねぇ、色々と」
少し話をぼやかしすぎた。確かによくわかんなかっただろう。
「まぁ」
越智サンが眼鏡を外した。そういえば、いつの間に眼鏡をかけていたのだろうか、よくわからなかった。
「話しただけでもスッキリしたろ?」
「………ハイ」
「じゃあ、今度は私の番だ」
「………ハイ?」
「言ったでしょ、ココ相談室」
「………ハイ」

越智サンは色々と話をした。それも、かなり具体的に。

夏休みに三年付き合っていた彼氏にフラれたこと。
まだそれを引きずっていて、精神的に少しまいっていること。それに伴う不眠症のこと。
「ああ、スッキリした」
越智サンは言った。
とにかく不思議な気分だった。目の前の彼女が担任だなんてまるで信じられない。
「なぁ、黒崎」
越智サンは言った。
「今日、泊まってきな」
「………!?」
「私は今、あんたの教師じゃなくて、ただの寂しいお姉さん。あんたは今、ただの不安に怯える高校生」
俺は慌てて目をそらした。だが、その先には下着が干してあって、俺は変に追い詰められた気分になった。
今俺は、担任の下着を見て勃起してしまっている。これは事実だ。
「お互いさ、一回全部忘れよてみよ?」
越智サンは言った。その声はひどくかすれていた。
彼女だって、一人の人間で、一人の女なのだ。どうにかなりそうなくらい寂しい夜も、ある。
そして、どうにかなりそうなのは俺も、同じだ。
俺は静かに頷いた。
俺は先にベッドに潜り込んでいた。一体何故こんなことになったのだろう。考えても無駄なようで、俺は全部忘れることにした。
やがて、シャワーを終えて彼女もベッドに入ってくる。首筋からはなんだか甘い香りが漂い、それだけで俺は緊張した。大人の香りってヤツだろうか。
「こっから先は美諭さんて呼びなよ?今は先生じゃないんだから」
先生じゃない、と『美諭さん』は繰り返した。
俺たちは最初は背中合わせに寝ていたが、美諭さんは俺に手を重ね、向き合って静かに俺を抱きしめた。
「こういうのは、初めてかな、少年?」
俺は答えなかった。
初めてだ、と正直に答えれば彼女の罪悪感を誘うことになるだろう。教師が教え子の童貞を奪うというのはあまり気持ちのいい響きではない。
そしてまた、今ここで嘘をつく意味も見つけられなかった。だから俺は黙っていた。
「……優しいな、黒崎は」
美諭さんは囁いた。
「アイツも、これくらい優しかったら、とか思っちゃうよ」
美諭さんはそっと俺の頬を舐めるように唇を寄せて、舌を口の方まで這わせていった。
今、はっきりとわかるのは。俺は、この異様な状況に興奮している。そして、目の前の女としての彼女に、欲情していた、ということだった。

ベッドに入ってくる時に、美諭さんは電灯のスイッチを切ってしまっていた。
今は部屋の隅で小さな間接照明だけが彼女の姿を照らしている。
陰影のくっきりついた顔は普段よりもシャープに、そして凛として俺の目に映った。それは、俺が今唇を重ねている人が自分の教師であるというのを忘れさせるには充分なのだ。
俺の頭にふと疑問がよぎる。美諭さんは今一体どんな格好をしているのか。
先程まで背をむけていたせいで自分には必要以上に状況を掴むのが難しくなっている。下着姿なのか、バスローブを羽織っているのか、それとも裸なのだろうか。
思いを巡らせている内に俺の手は無意識に美諭さんの体のラインを確かめるようになぞっていた。
「………あ……ん」
美諭さんは声を漏らした。それは今まで俺の聞いたことのない声色で、俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。
「くすぐったいな」
美諭さんは言った。
「大胆なんだね、黒崎は」
美諭さんは反射的に離れてしまった唇をまた俺の顔に近づけていく。
その時の間近に迫った彼女の目が、俺の思考を一瞬止めた。ぼやけた自分の意識をザラザラとした温かい感触がまた呼びさましてゆく。
ああ、と俺は思った。
そういえば、こんな風に女性とキスをするのさえ初めてなのだ。そんな当たり前に意識される情報までもが一段遅れて脳に届いている。
ぴちゃ、ぴちゃ、とまだ幼い仔猫が皿に注がれたミルクを舐めすするように、美諭さんはそっと愛らしく、だが貪欲に俺の舌を舐めている。
そういえば、美諭さんは一体どんな格好をしていたのか。そうだ、下着だけだった。俺は今しがた彼女の体を自分が撫でて確認したのをようやく思い出した。
仕方のないことだ、と俺は思った。
何もかもが初めてで、俺は少し緊張しているのだ。しかし、その緊張も美諭さんの長い口付けによって溶けるように気分の高揚へと変わっていく。

「困っちゃうよ」
美諭さんは唇を離して耳元で囁いた。
「そんな固いの、ぐりぐり押し付けられたら」
俺は勃起している。それも、自分でも驚くほどに。はりつめすぎて少し痛い。
俺たちは体が触れ合うか合わないかの際どい距離にいるのだ。彼女の太腿に当たってしまうのも仕方ない。
けれど、俺はどう答えていいか解らずに顔を枕にうずめた。
「もしかして」
美諭さんは続けて囁いた。
「キスだけで興奮しちゃったのかな?」
わざとに息を耳に吹きかけながら、美諭さんは俺の反応を楽しむように微笑んだ。
「……すんません」
そして、顔を背けながらも俺のペニスは彼女が一言一言囁く度に固く、膨張しつづけていく。俺はどうしていいかわからずに黙って深呼吸をした。
「でもさ」
美諭さんは言った。
「……私も興奮してる」
彼女の腕が背中に回り、柔らかい温もりが俺を包んだ。髪が俺の頬を撫でる。抱きしめていると、美諭さんが予想以上に華奢なのがよくわかった。
俺は、布団の中で俺の全身を愛撫していた美諭さんの右手が、次第に中心へと近付くのを感じた。
やがて、美諭さんは俺自身をその手で包んだ。細くしなやかな指が波の様にうごめく。表面を微かな刺激が走り抜ける。
「手の中で大きくなるのがわかるよ……気持ちいいんだ?」
「……はい」
申し訳なさそうにしなくていい、と美諭さんは俺の耳の裏にまた小さく唇を落とした。しばらくその手はそのままになり、勃起は最高潮に達する。
「……ね、ねぇ」
美諭さんは尋ねた。
「黒崎のって随分……お、大きくない……?」
大きいのだろうか。俺にはわからないが少なくとも彼女にしてみれば大きいのだろう。
「それよりも」
俺は言った。
それよりも、女性にペニスを掴まれて、大きい、と耳元で囁かれて理性を保っていられるほど俺はストイックではないのだ。
「もう、我慢できねぇよ」
俺は美諭さんの上に乗るように体勢を反し、突然のことに驚く彼女の口を強引に塞いだ。

「ぅむ……んんっ!?」
美諭さんが身をよじらせようとするのを体重で押さえ付けて、俺は右手を背中に回した。
手探りでホックを探すが見つからない。もどかしくなって俺はブラをそのまま少し上にずらした。
二つの乳房が不規則に揺れて放たれる。大きさも丁度よく、予想以上に美しい乳房だ。
ああ、と俺は思った。
もう、何がなんだか自分でもわからない。けれど、もうわからなくていいのだ、そういうことにした。
戸惑う彼女の舌を追い掛けながら、俺は両手で乳房を鷲掴みにする。
もう美諭さんの右手は俺のペニスを離れ、俺を引き剥がそうと躍起になっていた。
止められない。誰が何と言おうと、欲しくてしょうがないのだ。
自分にぽっかりと空いた穴のようなものを埋める何かが、欲しくてしょうがないのだ。
俺は先程まで股間に感じていた美諭さんの温もりを求めて、固く勃起したそれを彼女の太腿の辺りに激しく擦りつけた。
「んぅ……く……ろさ……きっ!やめなって!」
急に体を返した美諭さんのせいで、俺はバランスを崩して彼女の上から退いてしまった。
その次の瞬間。脳天に鈍い衝撃が走った。彼女の右手だった。
その痛みは神経を伝わって俺の脳に正常運行の刺激信号を与えた。丁度、古いテレビを叩くように。
「まったく」
美諭さんは言った。
「ダメだね、少年。強引すぎる。こういうのは一人でするもんじゃないんだから。それじゃあ女の子は相手にしてくれない」
「はぁ」
俺は頷いた。
「ま、私はそういうのも嫌いじゃないけどさ」
溜め息交じりの深呼吸に、俺は目が覚めた様に意識がハッキリとしてくる。
俺は何をやってるんだろう。後悔の念は非常に深い。けれど、それとは無関係にペニスは天井を仰いでいる。
「でもね」
美諭さんは言った。
「気を落とさなくていいよ。あんたはまだ若いんだし、仕方ないものね」
彼女の右手がまた俺の頭上にやってくる。だが、美諭さんは今度は優しく俺の髪をくしゃくしゃ、と撫でてくれた。
「おいで」
美諭さんは微笑んだ。
「教えてあげる。気持ちいいこととか、いろいろ」
頭をくるりと回り込むように彼女の右腕が俺を絡めとる。美諭さんは俺を静かに引き寄せた。
言い様の無い安心感。それはなんとなく、だがその分何よりも確かに俺を温かく包みこんでくれた。

俺の鼻先が美諭さんの柔らかい肌に沈み込んでいく。石鹸の香りに先程とは違う匂いが混ざっている。おそらく汗の匂いだろうか。
美諭さんは軽く唇を合わせる程度に口付けてから、回りこんで俺を背後から抱いた。
両手が俺の脇腹を滑っていく。指から少し高めの彼女の体温が肌に伝わる。
くすぐったいな、と俺は思った。
そして、俺はあることに気づく。くすぐったいという感覚は、気持ちいいという感覚に一番近い。それも、ひどく性的な興奮を伴う気持ちの良さに。
ここに肌を寄せあう二人の男と女がどんな背景を歩いてきて、どのようにして直線が交わったのか、そしてこれが何をもたらすのか。
俺はそれを意識から消し去るだけの激しい衝動を持つ“現在”に身を任せている。
“今”この一時の前では、抱えてきたモノなど総て色褪せるのだ。
それが束の間の悦楽であれ、現実からの逃避であれ、よい。忌むべきこと、恥ずべきこと、そんな建前はこの瞬間だけを考えるのなら塵と消え失せるのだから。
美諭さんの両手は俺のペニスを包み込み、やがてゆっくりとそれを扱きはじめた。
「どう?」
美諭さんは言った。
「なかなか、悪くないでしょ」
扱く速度を上げると共に、彼女は指を細かく動かして俺のペニスを愛でていく。
「すごく」
俺は言った。
「気持ちいいです、すごく」
「うん」
美諭さんは言った。
「そういう素直なの、かわいいな」
背中から首筋に向かって登っていくぬるりとした感触がした。美諭さんの舌だ。彼女の口から漏れる吐息が微かに肌を撫でる。
「うぁ」
俺は思わず首をすぼめたが、彼女の舌は、止まらずに俺の耳の裏を通り、そしてそのまま耳の表面の凹凸を確かめるようになぞっていく。
なんともいえない快感に思わず息を吐ききってしまった。
そんな俺の表情を楽しむように美諭さんは右手を俺の胸板の方へと滑らせた。左手はもちろん直下立った俺自身を弄びつづけている。
「!?」
俺は驚いた。美諭さんは俺の乳首を転がし始めたのだ。
しかし、なんというか。初めての感覚だが、予想に反して悪くない。というより、予想に反してその刺激は俺を限界へと駆り立てていくのだ。
「もしかして」
美諭さんは言った。
「知らなかった?男の子も気持ちいいんだよ、ここ」

どうしようもない衝動というのは、本当に困る。
なにせ、どうしようもないのだ。言葉で表すこともできないし、自分が一体今どんな気分かさえわからない。
俺は今、俺のことがわからないのだ。
「俺っ……う…」
美諭さんは俺の様子を見て、口惜しそうに耳から舌を離し、また軽くキスを落とした。
そして俺と向かい合って下腹部に顔を埋める。くわえているのだ、俺のペニスを。
もう、驚きよりも、快感を求める心の方が強い。俺は腰を差し出すように彼女の顔に押し付けていた。
段々とスピードの速くなる彼女の口の前後運動。俺はそれを薄まった意識の中で眺めた。やがて彼女は舌で亀頭や裏筋を舐め始めた。
何か独立した生き物のように妖しく蟲めく舌と唇が俺を責める。
「み…さと……さ…、も………無理…す」
もう出してしまいたい。けれど流石に、口の中で出してしまう訳にはいかない。それくらいは朦朧とした俺の頭でも解るのだ。
しかし。しかしだ。
彼女は一向に止めようとはしない。まるで、俺の言葉が聞こえていない。違う世界にいるのではないか、そう思ってしまう程だ。
熱心に俺のペニスをしゃぶる美諭さん。それを見ていて、俺はふと思い出してしまった。彼女が俺の教師であることを。
「くぁ……!!!」
しまった。途端に上昇していくボルテージ。必死で自分を抑える方法を探すが、そんなものはなかった。
「……っ!!!!」
二度、大きく跳ねてから俺のペニスは大量の精液を美諭さんの口に吐き出した。こんなに心地好い射精は初めてだった。
美諭さんはさして驚いた様子もなく、ほとばしる白濁を受け止め、何度かに分けて全てそれらを飲み込んだ。
「……すいません」
俺はうなだれた。こんなことをしでかせばそれも当然だ。
「俺……我慢できなくて……その……」
少しの間沈黙が続く。俺は死にたくなった。
悔いというのはなぜ先に来てくれないのか。そうすれば少しは生きやすくなるのに。少なくとも、今こんな思いをせずに済んだだろう。
「おいおい」
美諭さんは困ったように微笑んだ。
「あたしは、イヤだったら飲み込んだりしないし、まず出そうになったら顔離すよ」
彼女は口の端に溢れていた精液を手で拭っている。
「……でも」
美諭さんは呟く。
「不思議。彼氏にもしたことなかったのにさ。さっきは、飲んであげたくてしょうがなかった。初めてだよ、こんな気持ち」

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