「…のぉ砕蜂。ココはちっとも変わっとらんの」
旅禍達が現世へと帰る日の前夜、二番隊宿舎の奥、
長らく開けられていなかった刑軍の軍団長室に、夜一は砕蜂を伴って訪れていた。
木で拵えられた部屋に冴え渡る静けさと冷たい空気は、
いかに今までその場所が人を拒み続けてきたのか、図らずも証明していた。
人の気配など、欠片ほどもない。
それにも関わらず今なお綺麗に保たれているのは、部屋中に張り巡らされた微かな霊子のお陰だろう。
「ワシが七面倒臭さからこんなズボラな手段を考えたというのに、
まさかそれを咎めたお主が使っておるとはのぉ」
部屋の上座…かつて自分が座していた蓆に座り、振り返って夜一は笑った。
「…この部屋は、長い間立ち寄る事すら禁じてきました」
「む、そうか…しかし、そんな部屋にワシが入ってよかったのか?」
「……構いません、夜一様。私はそのために、この部屋を空室として保ってきたのです」
――貴女が帰って来た時に、あの日の朝から間違いなくやり直せるように――
平素と変わらぬ…冷血と言われる表情で其れを、淡々と言ったはずだった。
だが現実には砕蜂の声は震え、目には僅かに涙が浮かんだ。
「…ッ夜一様……この通り、この場所は…空けております……私に、私にとっての軍団長は、…」
「砕蜂」
震える言葉を遮って、人を殴るとは思えぬ艶やかな黒い手が、少女を手招いた。
「…参れ」
其の一言で、充分だった。
砕蜂は僅かにためらうようにゆっくりと歩み寄り…長年夢で思い続けた夜一に、ようやっと、抱きついていた。
「夜一様…夜一様っ……」
しなやかな女二人の影が、日の高い時刻の室内で蠢く。
口付ければ舌を入れて貪り、音を立てて舐め上げ、唾液を啜る。
「ん、ッ……なんじゃ砕蜂、ちと巧くなったな…?」
「いいえ…貴女様がお姿を消して以来、どうして他の者になど……ッん…」
泣きそうな顔で首を振って否定しようとした言葉は、鎖骨から胸へ下る夜一の舌の感触に阻まれた。
ざら、と、猫のように僅かにざらつく舌が、はだけた服からのぞく砕蜂の小さな膨らみの輪郭をなぞり、
肋骨の辺りまで下ったかと思えば、胸の中心めがけて上ってくる。
砕蜂はその感覚にびくびくと震え、切なげに目をぎゅっと閉じた。
ちゅっ…そんな可愛らしい音を立てて、夜一の唇が砕蜂の胸の先を含んだ。
「あっ…!よ、夜一様っ、そんな…」
ぴちゃっ、ぺろ…かぷ…ちゅ、ちゅぅうっ…
夜一の唇は容赦なく桜色の突起を責め立て、ぴんと硬く立たせていく。
甘い吐息を零す砕蜂の鳴き声に、夜一は目の前で震える砕蜂の腰…其の袴の中に、手を突っ込んだ。
下着の上から、既に愛液に濡れる砕蜂の秘所を容赦なく指でなぞり、押し上げる。
最も敏感な肉芽を指先で探し上げ、下着越しに擦り上げて、ぴん、と弾く。
まるで楽器でも奏でるかのごとく、触れられるたびに砕蜂の体は跳ね、ただただ嬌声が上がった。
「ふ、ぅッ……あ、ぁ…」
「声なぞ抑えるな…ワシの前で全てさらけ出せ…何も残さず、すべて」
はしたなく声の上がる口を手で押さえ、喘ぎ声を必死に押し留めようとする砕蜂の理性を打ち壊すように、
下着の淵から指を滑り込ませると、充分に濡れそぼった砕蜂の蜜壷へ無遠慮に指をねじ込み、
ぐちゅ、にちゅう…と淫靡な音を立てさせながら、止めることなく快楽を与える。
あぐらをかいた自分の上に跨った砕蜂の胸と蜜壷を犯しながら、夜一は喘ぎ続ける砕蜂の顔を見詰めた。
「砕蜂……」
「ぁ、あぁッ、夜一様、夜一さまぁっ…私、わたしもぉッ…!!」
頬を薄紅色に染め上げ、痙攣するようにがくがくと震えだす其の姿を見れば、
自然と夜一の口元に笑みが宿り…慈しむように、見据える。
「構わぬ…お主も言うた筈じゃ…全て……ワシに捧げる、と」
蜜壷に捩じ込んだ指を、ぐ、と深く曲げ、一気に壁を擦り上げ、頂へ上り詰める。
「――ッ、あぁっ、ひゃあああッ……!!!」
其の瞬間、背を弓なりに撓らせ、びくびくと打ち震えながら、砕蜂は全てを夜一の前に曝け出し、達していた。
「……夜一様…刑軍団長への復職、お考えいただけませんでしょうか。
実力においても貴女様が適任であるのは、今回の騒動で立証されています。ですから…」
「…砕蜂、ワシが何の為に今回、捕まる可能性を考えた上でコッチに来たと思う?」
交わった気配の僅かに残る軍団長室の上座で、着衣も整えぬままの砕蜂に、
少々ばつが悪そうに頬をかきながら、夜一は切り出した。
「確かに喜助は縁もあるし、崩玉のことを何とかして欲しいと頼まれたのも確かじゃ。
で、ついでに一護たちのお守をしたのも確か…だけどそんなことは全部ついでに過ぎぬ」
「ついで……ですか…?」
きょとん、と不思議そうに己を見詰める砕蜂に息が触れるほど顔を近づけ、夜一は言った。
「そう、ついで…ぜーんぶ、お主に会って愛しとると伝えることのついでじゃ!」
僅かに気恥ずかしさに赤く頬を染めつつ、夜一はそう言って…小さく、笑った。
「……砕蜂、ワシは素直になったぞ。今度は…お主が素直になってはくれぬか?」
手を伸ばし、腕の中にぎゅっと抱きしめて…艶やかな黒髪を撫でながら、返事を待った。
「…ワシは罪人である過去は変えられぬ…だけど、今なら、変えることも変わることも出来るのじゃよ」
「……夜一様……私は………貴女が、好きです……ずっとお傍に、居たい、です…」
END
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