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【檜佐木×蟹沢】

雨は降る。
放課後の人影の無い時を良い方に見計らった様に、窓の外の世界を切り裂いて霞ませていく。
「あ、いたいた檜佐木君」
窓を叩く雨音以外は静かな教室に明日の実習に向けて復習していた俺に、来訪者とは。
聞きなれた心地よい声が
「あ?」
「あ?じゃない、蟹沢」
話しかけてきた彼女が言い返す。俺が言い返させた。
「蟹沢」
「よし」
そのままその名を復唱したら、俺の前の席を陣取って蟹沢は満足げに頷く。片方だけ結った髪が揺れた。
「何しに戻って来たんだよ」
「彼氏のお迎え?」
上がった語尾は恐らく適当な答えだ。
そのまま机に乗り出して俺の持つ本を上から覗き込み、その内容を捉えるとわざとらしくへぇ、と声を上げる。
「珍しく居残りかと思ったら復習なんて、意外と几帳面なのねー」
「分ったから近い、近い」
どれ程かと言えば俺の額と彼女の額がぶつかる程近い。
顔を上げそのまま俺の額のド真ん中にに唇を触れさせる。
伸ばしていた前髪がその感触を僅かに邪魔をした。少し後悔した。
勝ち誇ったような笑みを見せて、行儀悪く俺と蟹沢を隔てる机を乗り越え俺の隣りに腰掛ける。
「遠いより近い方がいいわよ」
にやりと笑みを湛えたその顔に、仕返しとばかり唇を奪う。

「なっ!?」
予想以上に驚き、みるみる頬を紅潮させるのを見て、俺も勝ち誇った笑みを見せてやった。
人が居ないことをいい事に少し手を出してみたくなり、蟹沢の帯に手を掛けてみる。
「ちょ、待った待った」
俺の腕に手をかけて狼狽える。
「何でだ?」
「明日は実習あるから駄目。現世は楽しみにしてるんだから痛いのは駄目」
「俺も明日お前と一緒だろ」
「自分の欲求だけ推さない。痛いもんは痛いの。入れて出すだけの男には一生わからない問題。
 …そんなに欲求不満なら下だけしてやらない事もないわね」
「いいのか?」
そう聞き返すとこくりと頷いた。
それを合図にぱたんと本を閉じて放った。椅子ごと横を向き、
「恥ずかしいから目は閉じててよ?」
言われた通りにすると、間も無く俺の帯が解かれる音と、
少し冷えた手のひらに触れられたものが熱くなり始めるのを感じる。
視覚を奪われて、敏感になるのは触覚と聴覚。
先ず、柔らかい唇が触れ、生暖かい舌が這い、指先で裏側をなぞる様にして。
先端を舌で刺激し、吸う様に。熱い吐息がかかり、
息継ぎの際に漏れる高ぶった吐息と混ざりあった水音にびくんと更に反応する。
「ふぁ…」
今日ばかりは雨に感謝したい。
誰にも聞かせたくない声を掻き消していくのに。

「ん……」
止められているのも拘らず、それでも見てしまうのは性の様なものだろう、
暗転していた視界を開くと、小さな体を更に小さくして色の薄い髪が自分の下で揺れている。
「はっ…ん」
自分の股間に顔を埋めて、口腔に押し込んだそれを根元までその口に埋め込んでは引き出して、
蟹沢のあられもない姿が映し出された。
彼女は見られていることに気付いていないのか、それとも気恥ずかしく見ようとしないのか、顔を上げはしない。
次第に唾液で潤滑さを増したそれを扱う口も慣れてきて、直接伝わる快感も強くなってくる。
限界突破は近かった。
「出すぞっ…」
「んんっ…!」
解き放った欲望を飲み干す、
喉がゆっくりと動くのを見て幾許か安心し、罪悪感が生まれた。
「……けほっ」
「悪ィ…大丈夫か?」
「大丈夫、ちょっと喉に引っ掛かっただけ」
ちゅ、と音を立てて、口角から伝った精を指で掬って蟹沢自ら舐め取った。
「別に飲まなくても良かったのによ」
「檜佐木君のだったら飲めると思ってたから」
「そんなの関係あるのか?」
「やる方には大ありね。気持ちの問題だわ」
雨はいつの間にか止んでいた。

俺の一歩が蟹沢の一歩半。
彼女にとってやや早歩きで隣りに位置する。
歩幅を狭めるかわりに少し速度を落としてやると、
横で分りやすい程単純に微笑んで手を繋がれた。やはり手は冷たかった。
「今日は…サンキューな」
「いーえこちらこそ。よくも見たわね」
不味い。ばれていたか。しかし語尾に笑いを含めていて、怒る様子は無いようだ。
先程までの乱れた様子は感じさせない、そんな足取りで家路を行く。
「あ、私家こっち」
分かれ道となり、名残惜しげに繋いだ手を離した。
「おう、明日な、蟹沢」
「明日は頑張ろうね!」
未だ温もりの残る手を振ってから、彼女は袖を翻し駆け出す。
なんとなくその後姿を目で追って立ち止まっていたら彼女は突然振り返って。

「修兵!」

「次くらいは名前で呼んで欲しいな!」
「…いつかな!」
逆光も相俟って表情は見えなかったがまた満足げに頷く。
黄昏に遠ざかるその背中を黙って見送った。やがて見えなくなるまで。


最近のエロ真っ盛りな高校生イメージ。でも恥を捨てられず(自分が)えろくない。
師匠はなんで蟹沢殺したんだろうなと何べん言ったら(ry

短いし展開早くてスマン。お目汚しスマーン。
でも読んでくれた人にありがとう。

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