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【ザエルアポロ×チルッチ】

チルッチがザエルアポロの研究室に訪れたのは約束の時間を半刻ほど過ぎた頃だった。
扉の前に立ち、ノックをしようとして手を止める。
(やっぱり、行かなきゃならないわよね……)

手を止めて扉の前に立ったまま、研究室に来るようにと従属官から伝言を聞いたときの
ことを思い出していた。
「……これは、十刃としての命令ということです」
従属官はそう言い残してその場を後にした。

いくら命令とはいえ、研究室に行くのは気が進まなかった。あれこれと思い悩んでいるうちに
約束の刻限は過ぎ、チルッチは仕方なく重い足取りで研究室の前に来ていた。
(仕方ないわ……あの変態と二人きりになるのは嫌だけど、命令には逆らえない……)
意を決してノックをしようとしたとき、不意に扉が開いた。
「遅かったね」
ザエルアポロは無表情のままで言った。



肩に手を置かれて背中を押されるようにチルッチは研究室の中に入った。
「この僕を待たせるとはいい度胸だね」
「何の用なのよ」
ザエルアポロは答えずに、背後から腕を伸ばすとチルッチを抱きすくめた。
温もりが背中を包み、腕が腰と肩を抱き、髪に口づけをされる。

「待たせるつもりじゃなかったわ……」
顔を見せるのを拒むように、身体を抱いている相手は何も言わない。
「怒ってるの?」

抱いている男に問う。
「……そうだね。正直、怒っているよ。君を待っている間、僕がどんな気分だったか
 わかるかい……?」
低い声でザエルアポロは言う。
「命令には従えないとでも?」
「そういうんじゃないわ……今日はたまたま……」
言い訳をしようとして振り向いたチルッチの唇は口づけで塞がれる。
「う……んん……」
深く舌が入り込み、口内を蹂躙する。流れ込んでくる唾液に舌が絡みつき、吸い付くように
キスをされる。身体を抱いている腕が待たされた時間を取り戻すように這い、スカートの
中に入っていく。
「ん、もうっ……! 何のつもりなのよ……っ」
スカートの中に入り込んだ手から逃れるように身体を離す。
「僕は言い訳がききたいんじゃないんだ……待たされた分、楽しみたいんだよ」

その時、チルッチの身体を抱いていた手が拳を作り、みぞおちに深く入った。
「っ……うっ……!」
声をあげようとしたチルッチの言葉は、みぞおちに入った強い衝撃のために鈍い悲鳴と
ともにかき消える。
衝撃が全身に拡がり、視界が霞み、意識が遠のく。
(嘘……こんなことって……)
脚から力が抜け、抱いていた腕からも身体がすり抜ける。
薄れ行く意識の中で、みぞおちの痛みを感じながら静かに目を閉じた。
気を失って崩れ落ちた身体に寄り添うように膝をつき、倒れた身体を横抱きにして抱き上げ、
ザエルアポロはその場を後にした。



目を覚ますと、見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。
どのくらい気を失っていたんだろう、とぼんやりと思った。気がつくと、衣服は全て
脱がされていて、同じく裸のザエルアポロがチルッチの身体を抱いていた。

違和感を感じたのはそれだけではなかった。
自分の身体の上にいる男が上気した面持ちで余韻に浸っている。
すでに一度目の行為が終わったあとだと分かったのは、脚の間の粘ついた温かさと、
まとわりつくような精液の匂いが漂っていることから明らかだった。

「はぁっ……」
熱い息を吐いて、抱いている男が豊満な胸に顔を埋める。何もできずにその様子を
見ていると、目を覚ましたことに気付いたようだった。
「気がついたんだね」
「ここは……どこ」
「僕の部屋だよ」
「わざわざ呼び出したと思ったら……」
チルッチは小さな声で言う。
「命令だよ、これは」
胸の感触を頬で楽しみながらザエルアポロは言った。

「気絶させるなんて……何を考えてるのよ」
「言っただろ、僕は怒ってるんだよ。約束の時間に遅れた君が悪いのさ」
「だからって、こんな……つっ」
殴られたみぞおちが痛み、そこで言葉が途切れた。
「眠ったままの君も素敵だったよ……まるで眠りの森の姫を抱いているようで」



「もう、やめて……そんな気分じゃないわ」
意識がないうちに抱かれたことと、まだ残っている鈍いみぞおちの痛みに腹を立てた様子で
そう言うと、チルッチは身体を起こした。
身体の上の男をよけてベッドを降りようとすると、強い力で肩を持って引き戻され、再び
押し倒された。
「……放してよ」
男は無言で二度目の行為をするために脚を開かせようとする。気付いたチルッチは裸の身体で
激しく抵抗した。

「嫌だって……言ってるでしょ!」
肩を押さえている手を離そうとしたが、ザエルアポロは嫌がる様子すら楽しんでいるように
薄く笑いながら、もがく身体を押さえつける。
「い、やぁ……っ! あぁん!」
激しい攻防が続いたが、全て無駄だったとチルッチが悟ったのは、限界まで張りつめた男の
性器が身体に触れたときだった。抵抗する姿さえこの男にとっては興奮する要素なのだ。

屹立したものが激しい欲動を吐き出す場所を求めるように、ザエルアポロは柔らかな
身体を組み敷いた。激しく呼吸を繰り返すたびに上下する腹に性器が触れ、先走りが
わずかにチルッチの腹を濡らした。

「放して……」
組み敷かれた身体は甘える猫のように肢体をくねらせ、なめらかな肌の感触を擦りつけていた。
そのたびに二つの胸の果実が揺れる。
ねだっているようなその光景に男の欲情がそそられる。揺れる胸に静かに身体を密着させ、
暴れる脚を抱え、屹立した先端を嫌がる襞の間に押し付けると、快楽に屈したような呻き声が
白い喉から漏れる。
「……うぅっ……!」

ザエルアポロは迷うことなく組み敷いた身体に昂ぶった性器を沈めていく。
「やっと繋がれた……」
身体を密着させたまま男はささやき、ゆっくりと腰を動かす。
「あぁぁっ!」
すっかり陶酔した声でチルッチは喘ぐ。

「離れたくない……逃がしたくない……」
独り言のようにつぶやき、細い左手の指の間に自らの右手の指を入れて固く握り締める。
「できるなら妊娠させたいくらいさ」
片手を握り締めたまま、再度突く。
「ああっ……!」
抱えた脚から力が抜ける。その反応は抗えない悦楽への従順を示していた。



「チル……」
愛しそうに名を呼び、抽送をやめて深く挿入し、口づけを請うように薄く開かれた
花びらのような唇を見つめ、乱れた呼吸を見つめたままで整える。
「繋がっていたい……」
つぶやいたその声が愛情と狂気の狭間で揺れていた。
身体を交わらせる行為は愛情ゆえであることは理解していた。しかし、その裏に狂気とも
いえる歪んだ欲望が潜んでいることを感じずにはいられなかった。
狂気から這い出す欲望は揺れ動く感情を淫らに誘惑する。
禁断の果実にも似たその味に揺れ動く感情が滑り堕ちていくのを、交わる
甘い体温の中でザエルアポロは感じていた。

「……繋がって、いたいんだよ……」
低い声が狂気の始まりを告げていた。
男の左手がベッドの傍らに置いてあった自らの斬魄刀を鞘から抜くと、その切っ先を
チルッチへ向けた。

「君が僕から離れないように、僕らの身体を繋ぎとめておこう……」
「な……何する気……」
何とか逃れようとする身体を押さえ、斬魄刀の切っ先が固く握り締めた二人の左手と右手に
垂直に突き立てられた。

「嫌ああぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴が響き、男の左手に握られた斬魄刀が固く握り締められた二つの手を深々と貫いた。
「う……あっ……」
刃が骨に当たる痛みにチルッチは呻いた。その苦悶の表情さえ昂ぶった男の征服欲を刺激し、
深く挿入されている性器により熱い血流を送り込む。

悶えている身体が性感を高めるようにうごめいた。痛みと衝撃で膣はこれ以上ないほど
きつく男根を締め上げ、苦しみに喘ぐ様子は絶頂の快楽に酔っているようにすら見えた。
張り詰めた性器に膣内の襞が波打つように絡む。今すぐにでも腰を動かし、女の身体の
深部にこびりつくほどの精液の滾りをぶつけたかったが、何度も誘うようにうごめき
誘惑する射精感を途切れる呼吸の中で必死にやり過ごした。

「利き手じゃない方を選んだだけ感謝するんだね」
自分の右手もろとも貫いたために手が痛むのはザエルアポロも同じだったが、それよりも
身体の下で交わり、呻くチルッチを愛でている愉楽の方が上だった。
長い舌を差し出し、貫かれた手から流れ出す血を愛しそうに舐め取る。二人の
血が混じり合ったその味は、二人を結びつける斬魄刀の楔が悦びのあまり放出した
赤い精液のようだった。
流れ出す血をザエルアポロは喉を鳴らして飲み込んだ。溢れる血に呻く声を無視して
傷口から次々に流れてくる血を長い舌が啜り、飲み込むたびに嬉しそうに喉が動いた。



顔を上げた口元は手からの出血で濡れている。顎を滴った数滴がチルッチの白く弾けそうな
胸元にこぼれ落ち、赤い花を咲かせた。
「あんた……まともじゃないわ!」

「君が欲しいだけだよ……やり方がほんの少し、違うだけさ」
舐め取ってくれと言っているような、滴り落ちて咲いた血の花に再び長い舌が吸い付いていく。
顔が触れるたびに白い肌が顔についた血で赤く染まる。蹂躙した証拠のような
赤く染まった肌に男の興奮が更に燃え盛る。

「ああ、可愛いね……食べてしまいたいよ」
流れ出す混じり合った血を啜りながらザエルアポロはつぶやく。
「ふふ、食べられているのは僕の方か……」
深く挿入された結合部を見ながら微かに笑い、言葉を訂正した。
「もっと僕を食べて……」

卑猥な音を立てて二人の身体が交わる。
「あ……あっ……!」
繰り返す抽送に陶酔した喘ぎが漏れる。
「こんなことをされて感じるんだね……」
耳元でそっとささやく。
「……君がこんなにいやらしいなんて、知らなかったよ」
「な……んんっ……」
羞恥の色をたたえた表情で答えようとしたその唇は言葉を発する前に男の口づけで塞がれた。
「んっ……あ、ふぅ……っ!」
呼吸さえままならないほどに深く男の舌が入り込む。手の痛みはいつの間にか些細なことだと
思えるほどに遠く薄れ、目の前にたゆたう熱い口づけに、チルッチは夢中で舌を絡めた。

いつしか快楽だけが身体を支配し、チルッチは繊細な右手の指先を男の柔らかな髪に絡め、
もっと深い口づけを求めるように自らの唇を押し当てていた。
両手で男の頭を抱きたかったが、片方の手は強く握り合ったまま深く斬魄刀が刺さっている。
繋がっている身体をさらに深く繋ぎ合おうと両脚を開き、男の腰に巻きつけるようにして
身体を抱いた。



拡げられた身体の敏感な秘芽が男にさらけだされる。自分を迎え入れようと身体を
開いたチルッチとの結合部を、ザエルアポロは腰をくねらせて丹念に擦った。
「あ……あぁん……!」
敏感な部分を腰で愛撫された身体が更に悩ましい声をあげた。声に反応するように
開かれた結合部からは新たな熱い蜜が溢れ出す。

チルッチは刺された手の痛みと、それを凌駕する快楽に身動きが取れないまま
感じているしかなかった。

「君がどう感じているのか……聞かせて……」
唇を離すとまだ舌を絡め足りないと言うようにひくひくとふっくらした唇が喘いだ。
「……気持ちいい……」
髪に指先を触れさせたままで答える。
すっかり甘えた痴態をさらけ出している姿に男は満足そうに口角を上げると、その身体を
思い切り突き上げた。
「あ……あぁ……あん!」
一層激しい情動に悲鳴が切なく途切れた。

甘い声でチルッチは喘ぐ。
絶頂が近づくごとに、爪が食い込むほど強く斬魄刀で刺されたままの互いの手を握り締めた。

二つの身体が揺れるたびに、斬魄刀が刺さっている手から血が流れ出す。しかし、今は
その痛みが些細なことのように思えるほど、二人の身体はひたすらに享楽を貪っていた。

最後の滾りを放出すると、白く艶めく身体が抗えない快楽に激しく痙攣してのたうった。
震えるザエルアポロの腰にはさらに深く挿入されることを求めるようにチルッチの脚が
強く絡みついていた。



目を覚ますとチルッチは一人で自室のベッドに寝ていた。
(夢……?)
悪い夢であったことを祈りながら、左手を確認する。
傷跡は見当たらず、痛みもなかった。
(やっぱり、あんなのは夢だったんだわ……)
安堵して再び目を閉じた時だった。
「残念ながら夢じゃないよ」
あの男の声が響いた。

ベッドの足元にザエルアポロが座っていた。
慌てて跳ね起きると、服を着ていないことに気付いた。裸の胸元を急いで毛布で隠し、
震える手で押さえながら、やっと言った。
「どういう……ことなの……」
ベッドから立ち上がった男は白い上着を持っていた。胸元を押さえている身体の隣に座り、
起き上がったその肩に上着を着せかけながら淡々と言う。
「あの程度の簡単な傷なら僕が作った回復薬で十分治せるんだよ」
隣に座った男はなめらかな背中に手を伸ばす。
「君は僕のものだ……」
そう言うと強く上着を着せかけた身体を抱きしめた。

抱きしめられた身体にあの快楽が甦った。
「あんたみたいな変態なんか……」
抱きしめられながら腕の中で言う。言葉では拒んでも、身体があの快楽を欲している
ことを感じていた。
「嫌いなんだから……」
小さな声でつぶやいたチルッチの腕がザエルアポロの身体を抱いた。





終わり
陵辱注意。

ザエルアポロとチルッチの手を斬魄刀でぶっ刺す描写あります。
吸血描写有り。

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