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院長のカプリチョーザ

みなさん、こんにちは

 6月・・・水無月です。今月末で開院して「丸15年」ということになります。先月・・・令和元年最初の月に新患数も1万人を超えることとなりました。1万人に至るまでの年月が早いのか遅いのかというのが全くもってわかりません。しかしながらアバウトではありますが当地の女性の2人に一人が当院を受診していただいたこと考えると、地域医療に従事しているものとしてはうれしいやらありがたいやら、ポジティブな気持ちになるものです。

 さて6月・・・女性を対象とする診療科ですので、6月といえば「ジューン・ブライド」という言葉が真っ先に頭に浮かびます。現在本邦にあまねく広がった「ジューン・ブライド」ですが、もともとはご承知の通りヨーロッパが起源です。・・・気温の差が激しい毎日ですが、気持ちのいい好天を見せてくれるのもこの時期です。そしてこの6月は婚姻を司る女神である「Juno」が守る月で、「Juno」は女性と結婚の守護神である「Jupiter」の奥様です。このため西洋では「June bride」は女性の憧れとなって「June marriages are happy.(=六月の結婚は幸せ)」とまでいわれます。・・・これは2008年の本稿からの抜粋で、この後ブライダルチェックについてお話したのですが、10年の時を経て今回また改めてブライダルチェックについてお話ししたいと思います。

 ブライダルチェックをネットでググりますと、「結婚予定の男女が、妊娠・出産に関連する疾患の有無を調べること。風疹(ふうしん)抗体検査や性行為感染症検査のほか、女性は子宮・卵巣・乳がん検診、男性は精子検査などを行う」とありました。当院は婦人科なので当然女性のブライダルチェックを行っていますが、内容的には「妊娠出産に直接関わる婦人科系臓器の検査」と「妊娠出産に影響を及ぼす病気の検査」に大別することができます。

 前者である「妊娠出産に直接関わる婦人科系臓器の検査」は市町村で行っている婦人科検診と大差ありません。本稿でも都度都度述べてきましたが、検査は①内診、②子宮頸がん検診、③超音波検査の3本建てで行っています。①や③の検査は子宮・卵巣の腫れなど妊娠に関係があるけれども、がん検診は・・・と思われる方も未だ多いと思います。しかしながら子宮頸がんは20代の女性が罹るがんのうち、最も発症率が高く(人口10万人当たり約13)、それは乳がんの約4倍となっております。その一方で子宮頸がん検診の受診率は低く、現在もアメリカの半分程度です(84.5% vs 42.1%:2013)。当地域で見ましても、2009年度から子宮頸がん検診にクーポン券が導入されましたが、導入以前の20代の検診受診率は0%でした。諸事情から子宮頸がんワクチンの普及も進んでいない現在、子宮頸がんの予防は従来からの細胞診による検診に頼らざるを得ないのです。

 後者の「妊娠出産に影響を及ぼす病気の検査」についてですが、昨今の風疹の流行により、成人への抗体検査やワクチン接種のシステムが構築されています。当院では風疹を含め肝炎や梅毒そしてAIDSウイルスの検査を血液で、またクラミジアや淋病といった疾患はおりものをサンプルとして検査しております。皆さんも耳にしておられると思いますが、昨今梅毒が爆発的に流行しており、秋田県でもその災禍から逃れられているわけではありません。梅毒は「偽装の達人」と言われるぐらい典型的な病状に欠く例が多く、性感染症でポピュラーな病気であるにもかかわらず診断に非常に苦慮する病気でもあります。梅毒を見逃したまま妊娠が進行すると「先天梅毒」といって赤ちゃんにも爪痕を残すため、スクリーニングは非常に重要となります。

 みなさんの中には「ブライダルチェックの中には、なんで不妊に関する検査が入っていないの?」と思われる方もいらっしゃると思います。確かに不妊に関する検査も行っているクリニックもありますが、当院では行っておりません。その理由は「生殖年齢の男女が妊娠を希望しておよそ1年以上の性生活を行っているにもかかわらず、妊娠の成立を見ない状態」と定義されているからです。夫婦の価値観から必ずしもすべての夫婦が妊娠を希望しているわけではありません。仮に「不妊症の種」を持っていたとしても、妊娠の希望がなければ不妊症の定義は満たしませんし、「種」を持っていたために新婚早々生殖管理下に置くことがベストであるとも思われません。今現在私はこのように考えております・・・しかしながら晩婚化に伴い高齢初産の傾向に歯止めがかからなければ、このスタンスを見直さなければいけないかもしれません(2019.6.1)。


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