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院長のカプリチョーザ

新年度となりました。

 入進学・就職と新たに動き始める時期なのですが、今年はそういう躍動感が全くと言っていいほど感じられません。ご存じのように新型コロナウイルス感染症がそうさせています。国内感染者が出て2か月以上経過しておりますが、今もなお朝のワイドショーはコロナ関連の話題でいっぱいです。人の動きが停滞すると、それはすなわち経済にも影響して、国内に元気がありません。ある感染症専門医の先生は国内の現状を「濡れた地面の下の枯れ草を這うように火が回り始めたところだと思います。一気に燃え広がることはなく、あちこちで燻ぶっています。ところどころ乾いたところがあって、そこから火の手があがるでしょう。クルーズ船のようなメガ・クラスターが発生することも想定しておくべきです。そして、次のクラスターへと火が燃え広がる。それをいかに防ぐか、あるいは早期に発見して封じ込めるかが課題です。」と話しておりました。メディアは連日大騒ぎをしていますが、データを見ますと日本のコロナ感染対策は頑張っていると思います(PCR検査の実施数が注目されておりますが、諸外国と比べ死亡者数が圧倒的に少ないのです)。その根底には日本人特有の「きれい好き」「几帳面」さがあるのではないでしょうか?「明けない夜」はありません・・・手洗い・咳エチケットを励行して、身近なところから感染拡大を抑えていきましょう。

 さて西暦の偶数年度には「診療報酬改定」が行われます。「診療報酬」とは、保険診療における医療行為の「公定価格」です。2年に1回の割で価格の見直しを行ったり、新たな医療技術に対する価格を設定したりします。前回の改定では「妊婦加算」という項目が新設されましたが、「妊娠税」とか「妊婦税」と受け止められない風潮が起こり、非常にまれでしたが途中で凍結されました。今回の改定で凍結された「妊婦加算」は復活することはありませんでしたが、産婦人科関連で新設された項目がありますので、お話しします。

 一つ目は「診療情報提供料(Ⅲ)」です。診療情報提供料とは、いわゆる「紹介状」です。提供料(Ⅰ)は普通の「紹介状」、提供料(Ⅱ)はいわゆる「セカンド・オピニオン」のための紹介状です。通常提供料は紹介元の施設が算定する・・・つまり紹介状をもらった病院に患者さんが払うのですが、提供料(Ⅲ)はそれとは異なります。妊婦さんがかかりつけの病院から紹介状を持参して紹介先の病院を受診して、診察後の報告を書面にして紹介元の施設に情報を診療提供した場合に提供料が発生します。よく経験することなのですが、妊婦さんに皮膚のトラブルが生じて自院でなかなか改善しない時、皮膚科専門医に紹介して専門的な診察・治療を行った情報を返信していただいたときに、紹介先の専門施設に支払うというものです。窓口支払いは450円になりますが、以前の「妊婦加算」の精神?であった「産婦人科以外の診療科でも妊婦さんを細やかに診察する」という理に適うものとして新設されました。情報提供を受ける私たちにとっても今後の妊娠経過を診ていく上で非常に有益であり、ひいては妊婦さんのためになるものと考えています。

 二つ目は「婦人科特定疾患治療管理料」です。子宮筋腫や子宮内膜症といった病気のため生理が重くなる「器質性月経困難症」の患者さんの治療にホルモン療法行っている場合、3か月に1回の割で管理料を算定することが可能となりました。昔は器質性月経困難症の患者さんには、「痛み止め、それが効かなければ手術」という二択しかありませんでしたが、いまは病勢を抑え症状を緩和する薬剤がいくつも出てきました。それらの薬剤を患者さんのライフスタイルによって使い分け、副作用にも配慮するといった「きめ細やかな対応」が要求されています。患者さんには将来の妊娠を希望される方も少なくないので、管理料の算定に際しては経験ある医師が適切な研修を受けることが条件となっています。

 受診される皆さんにとってはお財布を直撃する問題で、非常に頭が痛いことと思われます。今回の「婦人科特定疾患治療管理料」の窓口支払いは3か月に1回で750円=ひと月当たり250円になりますが、高血圧症や糖尿病などに対する「特定疾患療養管理料(診療所)」は1か月670~1350円です。確かに高血圧症や糖尿病と比べ器質性月経困難症は生命予後を左右する疾患ではありません。しかし女性のライフスタイルを増悪する疾患に対し積極的に治療を行うことに国が目を向けていただけたのは評価したいですし、管理料を算定する立場としては今まで以上によりきめ細やかな対応と医学的管理が要求されると身を引き締めなければなりません(2020.4.1)。


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