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院長のカプリチョーザ

令和元年も最後のひと月となりました。

 先月は東京オリンピックのマラソン・競歩のコースが急遽札幌市に変更になるという話題が席巻しました。真夏のオリンピックということで、暑さ対策を講じてきた都内の関係者の皆様方の無念さは如何ほどかとお察し申します。また急遽指名された札幌の方々も、突然のことで混乱しているのではないかと思います。本格的な雪のシーズンを迎え、測量等の作業も文字通り「フリーズ」せざるを得ない状況ですが、大会の成功を心より願っております。

 さて私の出身である北海道からは、あまり漫才師さんが出てはいませんが、「全国区」の漫才師さんといえば「タカアンドトシ」さんがいらっしゃります。先月の本稿で月経困難症とピルのことについて若干触れたのですが、最近「タカアンドトシさんの「トシ」さんの画像を見ると、生理痛に効果がある」という「噂」がネット上にまことしやかに流れておりました。思うにトシさんの画像を見ることで痛みによる緊張が緩和し、生理痛が和んだ・・・それが拡散して「私も効いた!」「私もよくなった!」という流れになったのではないかと想像します。専門用語で「プラシーボ効果(プラセボ効果)」というもので、日本語では「偽薬効果」といいます・・・「効く」という思い込みによって、薬じゃないものでも症状が改善する、という現象です。

 科学が未達な時代、生理(月経)は年頃になった女性にあるものだということは認識されていましたが、そのメカニズムまでは当然理解されていません。健常な女性から理由もなく血液が流出する現象なので、日本特有の考えである「晴れと穢(はれとけ)」でいえば、生理は「穢」の現象となり忌むべきものというスタンスでした。そのため私の住む秋田県でも生理中の女性に制限をかけていた迷信などが残っています。たとえば「生理中に神仏にお供えをすると罰があたる(由利本荘市鳥田目)」「神参りを慎む(鹿角市十和田)」といったものとか、また「月経の間は家人とは別の火で炊事をする(鹿角市尾去沢)」「月経中は夫の弁当を作らない(横手市平鹿町醍醐)」というものもありました。このように生理にまつわる迷信というのは日本以外にもいろいろあるもので、今回は「世界の生理にまつわる迷信」について、4つのクライテリアに分けてみていきましょう。

 まず「1. 生命・神仏に関すること」としては、「礼拝堂に入ってはいけない(ただし生理4日目以降で洗髪してからならOK)(インド)」「生理中セックスすると相手が死んでしまう(ポーランド)」「花に触ると枯れてしまう(ルーマニア)」「植物を触ってはいけない(イタリア)」などがあり、「2. 飲食に関すること」として、「生理中にピクルスを作っても、うまく出来上がらない(アメリカ/イギリス)」「冷たいものを飲むと生理痛になる(コロンビア)」「キッチンへの入室禁止&他人に料理を振舞ってはいけない(インド)」「ホイップクリームが上手く作れず固まってしまう(アルゼンチン)」「パンが膨らまない(イタリア)」「どんな料理も失敗する(イタリア)」「マヨネーズが凝固してしまう(フランス)」というものがあります。

 さらに、「3. 清潔に関すること」としては「生理中はお風呂に入ってはいけない(アメリカ/イギリス)」「生理中に熱めのシャワーを浴びると、生理が重くなる(イスラエル)」「入浴すると血が出なくなり、身体に良くない(アルゼンチン)」「ビーチやプールに行ってはいけない。水に触ってもいけない(イタリア)」、また「4. 頭髪に関すること」には「初潮が来るまで、髪にパーマをかけてはいけない(アメリカ/イギリス)」「生理1日目は必ず髪の毛を洗って体を清めること(インド)」「髪を洗うと、生理が軽くなって、後々妊娠しやすくなる(インド)」「生理中に髪を洗ってはいけない(ブラジル・コロンビア・ドミニカ共和国)」「髪を洗ったら必ずブローしないといけない(台湾)」といったものもありました。

 こうみると日本だけでなく諸外国も生理中の女性に対し心身ともに制限をかける迷信が多いように思いますし、これらのことが女性の社会進出の足かせになっていたことも推察されます。先の本稿で述べましたように、現代は女性が自分の生理をマネージメントできる時代です。また生理を擬人化した「生理ちゃん」という映画も先月公開となっております。生理が「穢」というイメージを払拭しオープンに論じられことができる社会となり、また翌年の東京オリンピックでは女性アスリートがハイ・パフォーマンスを発揮できることを祈念しつつ、今年のカプリを閉じたいと思います。本稿も含め、今年もご愛読ありがとうございました。皆様よいお年をお迎えください(2019.12.1)。

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