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院長のカプリチョーザ

みなさん、あけましておめでとうございます。

 新しい年が明けましたが、あと数か月で平成から次の年号にバトンタッチとなります。昭和世代の私にとって「明治~大正~昭和」と3代過ごしてきた方々へ畏敬の念をもっておりましたが、長さは違うとはいえ自分が「昭和~平成~○○」と3つの元号の時代を過ごすとは、考えもしませんでした。新たな元号を迎える今年、どのような一年になるのでしょう?でもまずは健康が第一ですね!

 新年早々に何かを行うと「初○○」「○○初め」などと言いますね。「初詣」「書初め」「出初め式」など、なんか文字を見るだけ、思い浮かべるだけで、空気が澄み切って気持ちが「ピン」となる感じがします。気持ちを新たに今年一年が佳きものになるよう願いを込めて行うことで、「初め良ければすべてよし」のごとく一年の息災に通じるのでしょう。

 しかしながらはじめもあまり芳しくなく、終わりもさらに芳しくない事案が年末にありました・・・それは皆さん既に知っておられる「妊婦加算」です。「妊婦加算」は昨年4月の診療報酬改定から導入された妊婦さんへの加算で、窓口支払い3割負担の方であれば初診だと約230円、再診だと約110円が診療費に加算されるものです。妊婦さんの外来診療に対しては通常の診療よりもきめ細やかな対応が必要であるとの考えから創設された加算ですが、その趣旨が十分周知されないまま妊娠の有無と関係がない診療でも加算されたことで、「妊娠すると医療費が上がる」という情報が拡散しました。その結果「妊娠税」とか「妊婦税」とか呼ばれ「炎上」し、さらなる少子化に拍車をかけるものだとの意見もあり、昨年末で「妊婦加算」は一旦凍結となりました。

 妊娠することによって、多くの方はそれまでとの生活では比較にならないほど病院を受診することになるので、加算の総額も馬鹿にならないとお思いになられるのではないでしょうか?しかし「妊娠」は「生理的現象」ですので、加算が関わる診療報酬とは無関係・・・つまり「保険証」が使えない場合がほとんどなのです。そのため妊婦健診では市町村などから「妊婦健診補助券」というものが母子手帳とともに発行され、健診費用の軽減になっています。従って産婦人科で実際妊婦加算をいただくのは、切迫早産などのために健診外で診察の必要があるときや、風邪や便秘などのマイナートラブルといった「妊婦健診以外に外来を受診するとき」で、妊婦健診の時に投薬があっても補助券があるため妊婦加算は発生しないのです。妊婦さんを多くみる産婦人科でも、加算をいただく機会はそう多くないのが実情です。

 さらに妊婦健診補助券に関しては、現在ほとんどの市町村で15枚以上の補助券が発行され妊婦健診での経済的負担はかなり軽減されています。一方今の妊婦さんのお母さん方が妊婦さんだった時~平成7年以前では補助券は妊娠前期と後期のたった2枚だけでした。また分娩費用も以前は一時立て替えで分娩後出産一時金を申請するものでしたが、現在は「委任払い」という形式で一時立て替えすることなく健康保険から直接病院へ分娩費用が振り込まれる制度となっています。妊婦さんのお母さん方の時代に比べ、現在はかなり「お財布には優しい環境」になっているのです。なので私的には「妊婦加算」を「妊娠税」とか「妊婦税」とかと「こきおろしする」風潮には、若干違和感を覚えています。

 だからと言って「妊婦加算」を「妊婦さん」だけに押し付ける従前の制度にも、非常に違和感を覚えます。妊娠するまで社会の一員として高齢医療の負担の一翼を負わせられ、妊娠したら今度は妊婦加算で医療費が上乗せされる・・・といったら、女性へのエコノミカルなハラスメントと受け取られても仕方ありません。また私達産婦人科医としては妊婦さんへの日々の診療がやっと評価されたと思ったら、半年ちょっとで凍結されるといういきなりの方針転換にも幻滅してしまいます。お上の皆さんには、今一度しっかりとした制度設計をしていただいて、みんなが納得するような妊婦さんへやさしい医療を提供できる制度を構築していただきたいと願っています(2019.1.1)。

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