早いもので今年も半分が終わりました。
ついこの間まで除雪をしていたと思ったら、半袖を着ていても汗ばむ気候になってきました。ただ先月は例年と比べ、昼夜の寒暖の差が大きかったと感があります・・・まぁその分、夜は寝やすくて助かりましたが。でも月末には4月に続き、当地では震度4の地震に見舞われました。4月の地震と異なるのは、ゆっくり繰り返す長い周期の地震動である「長周期地震動」で、確かに4月の地震よりかはかなり長い時間揺れていました。地震の大きさもさることながら、長時間の揺れは非常に不安を増大させるものです。今回の地震は朝に発災しましたので、これを教訓とし速やかな火の元の対処や避難経路の確保など慌てずに行うことを、改めて認識した次第です。
さて本格的な夏を迎えますと、なす・きゅうり・トマトなど美味しい夏野菜が出回る時期でもあります。瑞々しい野菜を見ますと、なんだかビタミンがたくさん取れるような気分になりますよね。AIに「ビタミン」について聞いてみますと「体の中ではほとんど作れないのに、正常な働きに欠かせない少量の有機化合物で、食事からとる必要がある栄養素」で「身体の機能を調整したりする「潤滑油」「調整役」のような存在」とあります。産婦人科でなじみのあるビタミンとして「葉酸」がありますが、今回はこの「葉酸」についてお話ししたいと思います。
「葉酸(folic acid)」はビタミンC同様、水に溶ける水溶性ビタミンの仲間です。正式名称はビタミンB9ですが、ほうれん草から発見され、ラテン語の「葉=folium」が名称の由来になっています。成人の1日推奨量は240㎍とされおり、他の水溶性ビタミン同様、水に溶けやすく体内に貯蔵しがたいため、日々の食事からこまめに摂取する必要があります。「葉酸」の字のごとく、葉物野菜や緑黄色野菜での含有量が多く、夏向き野菜の可食部100gあたりの葉酸量をみますと、モロヘイヤ:約250㎍、つるむらさき:約125㎍、サニーレタス:約75㎍、シソの葉:約50㎍と報告されています。また果物のイチゴやオレンジ、緑茶・玉露などのお茶、また納豆1パックには50-60㎍の葉酸が含まれています。
葉酸は体内で①細胞分裂とDNA合成、および②造血機能に関与する重要な栄養素で、妊娠初期に葉酸不足に陥りますと、赤ちゃんの脳や脊髄のもととなる「神経管」がうまく閉じない「神経管閉鎖障害」という状態に陥ります。具体的には脳では「無脳症」、脊髄では「二分脊椎」という病状になって現れます。「神経管閉鎖障害」の日本での発生率は出生1万人あたり5~6人(死産を含む)と言われており、ヨーロッパ地域と並び日本をはじめとした東アジアでは低率で、一方東地中海・東南アジア地域では高率(出生1万人あたり15~20人)との報告があります。「神経管閉鎖障害」の誘因には、母体の葉酸の摂取不足もありますが、妊娠中に服用している薬の影響(抗てんかん薬など)、肥満や糖尿病といった母体の健康状態、さらには遺伝的背景(葉酸を代謝する酵素の働きが低下している遺伝子多型(MTHFR
677TT))もあり原因を葉酸欠乏のみと断定するのは困難ですし、遺伝子レベルで問題があっても、葉酸を摂取補充することで発症リスク回避されることも認められています。
以上から、各種学会では妊娠12週までは通常の食事による摂取の240㎍に加え、サプリメント等で葉酸を400㎍を上乗せ摂取することを勧奨しています。ではいつから・・・となると、俗にいう「妊活」、つまり赤ちゃんが欲しいと思ったところから、積極的に葉酸を摂るよう心掛けてください。でもたくさん取ればいいということではなく、葉酸の多量摂取は赤ちゃんの呼吸器疾患を誘発する恐れも指摘されていますので、1日1,000㎍と上限があることにもご注意ください。
葉酸摂取について以前問われたときは、「妊活中から妊娠初期までは十分摂るように、それ以後は不足しない程度に」とお話ししていました。しかし最近の研究で、妊娠中の葉酸不足により子どもの肥満リスクが高まるとの報告がされました。どうも葉酸が足りない母子では代謝に関わる遺伝子の働きが弱く、母の栄養状態が、胎児の代謝に関連する遺伝子に影響を与え、出生後に脂肪燃焼が十分にできなくなると考えられるようです。なので妊娠中後期でも、成人の1日推奨量240㎍の倍量の480㎍程度の葉酸の摂取を心掛けていただきたいものです(2026.7.1)。